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【京王杯2歳S】関東馬劣勢もリンゴアメ、リフレイムに追い風データあり! 当日まで覚えておきたいデータとは

2020 11/1 17:00勝木淳
2020年京王杯2歳SデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

関東馬劣勢

2歳重賞が充実したことでメンバーが分散するようになり、京王杯2歳Sは18年8頭立て、19年10頭立てと以前ほど頭数が集まらなくなった。半面、以前より2歳GⅠで好走する例が増えている。

前走京王杯2歳Sだった馬は、朝日杯FSで過去10年【1-3-3-29】と一見して不振だが、15年11人気3着シャドウアプローチ、16年7人気2着モンドキャンノ、17年2人気3着タワーオブロンドン、19年2人気2着タイセイビジョンとここ5年に好走馬が集中しており、暮れのGⅠを展望する上でも注目レースとなりつつある。

競馬にはトレンドが必ずある。かつては京王杯2歳S好走馬といえば軽視でよかったが、トレンドは変化しているので、しっかり京王杯2歳Sもチェックしたい。そこでレースの傾向について過去10年間のデータをもとに探っていく。

所属別成績(過去10年)ⒸSPAIA

関東の重賞で関西馬の成績がいい。これはもはやトレンドではなく、常識に近い。特に2歳戦での関西優位は顕著で、このレースも関東馬【3-3-4-64】勝率4.1%、複勝率13.5%に対し、関西馬は【7-7-6-36】勝率12.5%、複勝率35.7%と断然。

今年の想定馬は上位人気に関東馬が多いので、これは気になる。と言いつつ関東馬は壊滅ではなく、それなりには来るのでこれだけで消しとは言えない。そこで、関東馬と関西馬を前走クラス別成績で掘り下げてみる。

関西馬の前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

新馬、未勝利組は不振というほどではないが、前走GⅢ組が【4-3-2-8】勝率23.5%、複勝率52.9%と目立つ。

オープン組【1-3-1-12】も含め、関西馬は前走の格を重視したい。想定から新潟2歳S4着ファルヴォーレ、同7着ロードマックスあたりに注目したい。

関東馬の前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

関東馬も前走オープン【1-1-0-17】や1勝クラス【1-0-2-17】から好走馬が出ているが、新馬【1-1-0-7】は好確率で見逃せない。新馬勝ちたての馬がエントリーしてくれば注意したい。

新馬で外ラチまで行ってしまいながら次走でそれを解消、直線一気で1勝クラス快勝のリフレイムや函館2歳Sを勝ったリンゴアメ、新潟2歳S2着ブルーシンフォニーなどはそれなりに評価すべきだが……。

キャリアと前走距離が重要

東西に関係なく、2歳戦で重要になるキャリアについて調べていく。

キャリア別成績(過去10年)ⒸSPAIA

5戦【1-0-0-6】(11年5人気1着レオアクティブ)というデータもあるが、優位はキャリアが浅い組で、2戦【6-4-3-28】勝率14.6%、複勝率31.7%が最上位。1戦【2-1-0-12】、3戦【1-4-5-29】あたりが中心。

キャリアを重ねるにしたがって勝ち切る確率は下がり、よくて複勝圏内といった感じで推移していく。

前走との距離比較別成績(過去10年)ⒸSPAIA

キャリアという意味では距離比較も割とデータ的にはっきりしており、距離短縮組は【1-2-4-30】と好走率が低く、あって2、3着というケースが目立つ。その一方、同距離【5-3-3-37】、距離延長組【4-5-3-34】といった具合に前走で1400m以下を走った馬が好走する。

東京芝1400mは、マイル戦に比べると今春の京王杯SCをスプリンターのダノンスマッシュが逃げ切ったように、スピード志向の競馬になりやすい。このあたりがデータに反映されている。となると、新潟2歳S組よりカンナS組、函館2歳Sを評価したくなる。

同距離組の前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

1400m戦であれば前走新馬は【2-1-0-6】と存在感を増す。登録してきたら注意したいところ。

オープン【2-1-1-8】はききょうS組【1-0-1-4】が好走パターンだが、今年の勝ち馬ポールネイロンは阪神JF直行予定。今年は該当馬がいない可能性がある。

距離延長組の前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

1400m未満、つまり大半は1200m組となるわけだが、こちらは前走GⅢだった馬が【4-3-3-9】勝率21.1%、複勝率52.6%で抜けている。函館2歳S1着のリンゴアメは関東馬ながらキャリア2戦にも合致するので評価は必要だろう。

1200mのGⅢといえば、小倉2歳Sもある。前走が同レースだった馬は【2-1-2-5】で函館2歳S同様に評価したいローテだが、今年は想定を見る限り、上位馬が京王杯2歳Sに出走しそうにない。

想定メンバーをデータに当てはめていくと、今年は関東馬のリンゴアメ、リフレイムが関西馬にひと泡吹かせるような場面を作るかもしれない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年京王杯2歳Sデータ