明白になったサリオスの距離適性
10月11日に行われたGⅡ・毎日王冠。3歳春までコントレイル以外には負けていない、世代における大関格のサリオスが古馬相手にどのぐらい走れるかに注目の集まる一戦だった。
個人的には「世代レベル」という概念は軽視している。世代トータルとしての評価ではなく、あくまで個々の能力が問題。コントレイルがいるから総じて高レベルというわけでも、コントレイル以外のレベルが低いというわけでもない。しかしながら、コントレイルの能力測定はサリオスを基準にするとわかりやすいのも事実。
そのサリオスが毎日王冠を快勝した。古馬はGⅠ馬不在で、重賞勝ち馬が4頭。3歳2頭を加えて重賞馬は計6頭、前走GⅠ出走馬はその3歳2頭のみ、メンバー構成は毎日王冠としてはやや迫力を欠く。さりとて、サリオスの圧勝はそれなりに評価が必要。東京の渋り気味の馬場で滅法強いGⅢ勝ち馬・ダイワキャグニーを子ども扱いした走りは、古馬GⅢレベルを大きく上回るものだった。
レースは夏の北海道を賑わせたトーラスジェミニが飛ばし、馬群は縦に長く、11頭立てとあって各馬バラバラの追走。どの馬も自分のタイミングで動ける競馬となった。前半1000mは、スタート直後以外に12秒台のラップがなく58秒0。回復傾向にあった稍重馬場を考慮すれば、平均より速め。
最後の600m11.8-11.9-11.7。サリオスはダイワキャグニーを加速ラップの中でしっかり捕らえた。ダイワキャグニーの内田博幸騎手は直線でしっかり馬にハミをかけながら左右を振り返り、サリオスを探していた様子。
外から来ると分かるや、左ムチを連打して併せに来たが、その隙すら与えない加速で一気に抜き去った。力差がなければ到底できない芸当であり、それを余裕の手ごたえでやってのけた。
懸命に追いすがるダイワキャグニーとの差は歴然。日本ダービーでは早めに追い出し、エンジンのかかりが悪いところを見せたが、今回はそれもなかった。やはり距離は中距離がベスト。
ハーツクライ産駒にしては、前で流れに乗れる自在性と加速力が最大の長所。天皇賞(秋)に出てくれば楽しみな気もするが、同馬主でルメール騎乗予定のアーモンドアイが予定する天皇賞(秋)にはやはり行かない様子。マイルCSか香港を視野にという話が出ている。当事者の事情は尊重しつつ、ファンとしては心に秋風を感じずにはいられないところだ。
今年のマイルCSは例年と違って阪神。阪神マイルは2歳GⅠを制した舞台。馬も成長しているので2歳当時とは比較しにくいが、ライアン・ムーア騎手が当時かなり大きなアクションで追い立てていたように、マイルはやや追走に忙しい可能性はある。ペースが極端に上がらなければ、という条件はつきそうだが、今日の結果からも当然、勝機は十分にある。















