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【府中牝馬S】「4歳馬7勝」「7枠5勝」 「前走後方組」大不振でサラキアに黄信号?

2020 10/11 18:00勝木淳
2020府中牝馬SデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

10回中7勝は4歳馬

エリザベス女王杯のステップレース府中牝馬S。11年のGⅡ昇格後も15年ノボリディアーナなど2桁人気馬の勝利もあり、ひと筋縄ではいかない。女心と秋の空という故事は女性に対する移ろいやすい男性の気持ちを示す男心と秋の空が語源。

女性の気持ちも読みにくいが、それに相対する男性の気持ちもいい加減なもので、秋に限らず牝馬限定戦はいつも難しいのだが、その傾向をしっかりつかみたい。なおデータはGⅢ、GⅡを問わず過去10年間のものを使用する。

年齢別成績(過去10年)ⒸSPAIA

秋華賞と同週にあるので3歳は過去10年でわずか3頭。うち2頭が3着なので見逃せないが、今年は現状の想定では出走がない。

もっとも成績がいいのは4歳【7-4-3-41】勝率12.7%、複勝率25.5%。4歳は10回中7勝とかなり強い数字。とはいえ、5歳【3-4-3-53】、6歳【0-2-2-15】。1着は4、5歳でいいが、3着以内を考えると4~6歳の3世代までしっかり検討すべきだろう。

枠番別成績(過去10年)ⒸSPAIA

同舞台の毎日王冠も同様だったが、イメージとは裏腹に外枠が優勢。1~3枠は10年間勝ち馬ゼロ、2、3着はそれなりにいるので消しは早計ながら、勝ちきれていないことは覚えておきたい。

勝ち馬は4枠より外から出現しており、特に7枠【5-0-1-14】は勝率25%、選択肢は8つあるにもかかわらず、10回中5勝は7枠から出ているのは気になるデータ。

どうも東京芝1800mは外枠が有利なのかと思いきや、過去10年全体の成績をみると、枠順による差は少なく、むしろ内枠の成績がいいぐらい。毎日王冠や府中牝馬S特有の現象であり、なおさら覚えておきたい。

ラヴズオンリーユーはデータ上でも強力

さらにローテ面から府中牝馬Sの傾向を探る。

 前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

10月のレースらしく夏場に出走した馬が多い。そのため前走GⅢ【5-7-5-56】が目立つものの、数が多すぎて絞りにくい。反対に、前走オープン特別は【2-1-0-7】勝率20%、複勝率30%。数が少ない割に好走馬を多く出す。では具体的にレース名を見る。

 前走オープン特別組の前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

前走・米子S【1-1-0-0】(15年2着スマートレイアー、16年1着クイーンズリング)は今年の想定にはいないが、小倉日経OP【1-0-0-0】(15年1着ノボリディアーナ)は今年の想定にサラキア(前走小倉日経OP1着)の名前があり、ちょっと注目。

データが1頭なのでこれをして必勝とはいえないが、久々に前走小倉日経OP組が出走するのは頭に入れておきたい。

数が多く絞りにくいGⅢ組も同じように前走レース別にみていくと、

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

牝馬限定戦のクイーンS【3-3-2-23】が着度数ではトップだが、これまた数が多い。ビーチサンバ、フェアリーポルカ、シャドウディーヴァあたりに注目といえば注目だろう。

ほかは新潟記念、小倉記念、関屋記念と夏場に行われる牡馬相手のGⅢに出走した馬の好走がみられる。鳴尾記念2着のラヴズオンリーユーはここに該当。1人気想定でもあるので、ここは軽視できない。

 脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

最後に脚質を検討する。まず逃げ【2-0-0-8】10年テイエムオーロラ、17年クロコスミアがこれにあたる。想定からは確固たる逃げ馬は見当たらないが、逃げて一発は考えておきたい。

残りはどれも似たようなものだが、後方は【4-2-3-32】勝率9.8%、複勝率22.0%なので追い込み一手もこのレースではそこそこ活躍する。

前走脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

当日の位置取りは読めないが、前走脚質ならデータがあるのでつかみやすい。前走後方の馬は【0-1-2-30】と不振。府中牝馬Sで後方から好走する馬はいるが、その前走も後方だった馬は少ない。前走は先行【4-3-2-29】、中団【5-4-5-49】だった馬の成績がいい。

小倉日経OPで後方からの競馬だったサラキアより、鳴尾記念で先行したラヴズオンリーユーを上に取るべきだろうか。人気は上位なので当然とは当然ではあるが、その当然にもデータのあと押しがあるのとないのとでは大違いではある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020府中牝馬SデータⒸSPAIA