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【毎日王冠】サリオスはデータ上死角なし 東大HCが東京芝1800mを徹底分析

東京芝1800mデータⒸSPAIA
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東京芝1800mの概要

今週の日曜日には東京競馬場の芝1800mを舞台に、押しも押されぬスーパーGⅡ、毎日王冠が行われる。このコースでは毎日王冠をはじめ、エリザベス女王杯の重要なステップレースであるGⅡ府中牝馬S、2月の3歳戦、未来の優駿たちが活躍の第一歩を刻むGⅢ共同通信杯、GⅢエプソムC、過去3年の勝ち馬から2頭のダービー馬が輩出した出世レース、GⅢ東スポ杯2歳Sの5重賞が行われる。今回はこの東京芝1800mの特徴を過去のデータから分析していく。(使用するデータは2015年10月10日〜2020年6月28日)。

まずはコースの概要。大橋巨泉氏が生み出した格言「府中の千八展開いらず」で知られるコースで、スタート直後2コーナーへ斜めに切り込んでいく独特なスタート。そこからしばらく下りを進み、向正面での上りを通過すると再び2m程度の下り坂。直線に待ち受ける東京名物の「だんだら坂」をクリアしてゴールを駆け抜ける。大箱である東京競馬場の特性を生かしたワンターンのコース形態だ。

「展開いらず」は本当?

枠順

枠順別成績から見ていこう。全ての枠が複勝率2割を超えており大きな偏りがないものの、勝率・連対率・複勝率トップは4枠。内に切れ込みながら初角を向くコース形態上、スタートからスムーズに不利なく向正面へ入りやすいことが要因だろう。単勝回収率も105%と妙味も十分だ。

その他馬券的な見地から気になるのは8枠で、単勝回収率128%は4枠を軽く超えている。好走率は決して悪くないにもかかわらず、コースロスのイメージか嫌われてオッズが甘くなることが多く、お目当ての馬が桃帽を引けばむしろ買いだろう。また、過去5年の重賞に限ると1枠が【3-4-5-20】複勝率37.5%と走っており、2枠が【0-3-1-28】と芳しくない。

脚質


脚質別成績では逃げ(連対率20.5%)よりも先行(同21.8%)の成績が良く、通常低くなる後方勢の数値も、差し連対率15.4%など悪くない。強い馬が順当に走る「展開いらず」の格言が現代も通用することを示している。

重賞の1番人気馬に限定しても、前目のポジションを確保できる馬の方が信頼度は高いものの、差し・追い込み勢も50%台後半の複勝率をキープ。上がり3ハロン最速をマークした馬は【6-0-0-0】と全勝しており、確かな決め手がある馬は差しこぼさない。穴党の淡い期待は禁物だ。強いと思った馬を素直に買うことが的中に直結する。

サリオスで盤石か

種牡馬

種牡馬別成績ではディープインパクト・ロードカナロア・キングカメハメハの3強ムード。圧倒的な出走数ながら複勝率が36.2%と高いディープインパクト産駒は、重賞でも安定した走りを見せており、上級条件でこそ頼りにしたいところ。毎日王冠に出走するメンバーでは、週末の天気が心配ではあるものの、先行勢のコントラチェックは見限れない。

毎日王冠に出走はないがロードカナロアも複勝率35.6%とディープに迫る数字。その父キングカメハメハも複勝率35.3%と、さすがの好走率。回収率が単複ともに100%を上回っており、妙味が高い。しかし、下級条件での安定感は上位2頭に勝るとも劣らないが、重賞では【2-0-1-13】複勝率18.8%、GⅡは【0-0-0-8】と馬券になっていない。東京巧者で知られるダイワキャグニーにはやや荷が重い舞台設定かもしれない。

サリオスの父ハーツクライの産駒は勝率9.7%、複勝率27.4%とそこそこの数字。その他、スクリーンヒーロー・シンボリクリスエスなどロベルト系主力種牡馬が苦戦しているのも特徴的だ。

騎手


50回以上騎乗のある騎手では、ルメール騎手が複勝率トップ。前走から乗り替わりでは【17-10-12-22】複勝率63.9%と好走率が上がり、単勝回収率136%・複勝回収率116%と文句なし。春2冠コントレイルの後塵を拝したものの世代ナンバー2の座を守り続けたサリオスにデータ上の死角はない。

サトノインプレッサに騎乗予定の戸崎圭太騎手も、ルメール騎手の勝率25.4%に迫る同24.7%。騎乗馬の平均3.6人気(ルメール騎手は同2.2人気)を考慮すれば互角以上の成績で、単複回収率100%超えの数字に表れている。サトノインプレッサのダービー4着は内枠の利をフルに生かし切っての結果で、やや人気先行の感はあるものの、どのような騎乗を見せるか注目したい。

一方、カデナに騎乗する三浦皇成騎手は100回以上の騎乗機会でわずか1勝にとどまっており、アタマ勝負は避けた方が良さそうだ。

重賞では堀厩舎盤石

調教師

毎日王冠に管理馬が出走する調教師では、藤沢和雄師が最多の16勝。2勝クラス以下で抜群の成績を残しており、条件戦で頼りにしたいところ。ただし3勝クラス以上では【2-0-1-26】複勝率10.3%、重賞では【1-0-0-15】(唯一の勝利は19年エプソムCのレイエンダ)と不振が続いている。

大本命サリオスを管理する堀宣行師は外国人騎手とのコンビで管理馬を着実に走らせ、重賞でも4割を超える複勝率を叩き出す。信頼できる馬券軸の座は揺るがない。関西からたびたび東征に乗り出している矢作芳人師(サトノインプレッサ)も複勝率28.1%で、3番人気以内では【3-3-4-8】複勝率55.6%まで上昇。しかし前走から距離短縮となるケースでは【1-1-0-12】複勝率14.3%と不安が残る。

その他ではダイワキャグニーの菊沢隆徳師が堀師に並ぶ連対率30.0%。ザダルの大竹正博師は【6-6-7-30】で、勝率こそ平凡だが複勝率38.8%は侮れない。