ハイペース必至
10月4日（日）に中山競馬場で行われるスプリンターズS（GⅠ・芝1200m）。秋のスプリント王を決める一戦に16頭が集結した。
今年の安田記念でアーモンドアイを下してGⅠ・2勝目を挙げたグランアレグリアのほか、春秋スプリントGⅠ制覇を目指すモズスーパーフレアやスプリント重賞6勝の実績馬ダノンスマッシュらが人気の中心と目されるなか、真に狙うべきはどの馬か。
今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。
2010年から3年連続で前半3F33秒0を切るなど、一線級のスプリンターが集まるとあって、前半から激流になることも珍しくない。近年はその傾向も薄らいでいたが、モズスーパーフレアが逃げた昨年は一転して前半3Fが33秒0、後半3Fが35秒3と極端な前傾ラップとなった。今年も同馬の参戦でハイペースになると予想される。
脚質別の成績では、4角先頭の馬が連対率50.0%と安定しているが、一方で全体的に前が有利かというとそういうわけでもないようだ。2〜5番手の先団につけた馬は連対率6.1%に対し、6～9番手の中団から運んだ馬は23.7%を記録している。先行勢はハイペースを追走して直線で失速する場面も多く、脚質的にはむしろ差し馬のほうが信頼できると考えたい。
逃げ馬なら内、追込は外
このコースの過去3年の枠番別成績を確認してみると、連対率・複勝率ともに2枠が不振である点を除けば枠による有利不利は小さく、内と外で比べても大きなバイアスはないようだ。
そこで、各馬の脚質を併せてもう少し詳しく見てみると、内と外で比較した際に目を引くのは、4角10番手以下に控えた馬の成績。1～2枠の複勝率は3.3%に対し、7～8枠は11.5%を記録。後方待機勢を狙うのであれば、進路の確保が難しい内枠よりも外枠が吉だろう。逆に逃げ馬であれば、真ん中から内目の枠が欲しいところだ。
先週のオールカマーで外から追い込んだセンテリュオが勝利したように、直近の中山芝コースは比較的に外差しが決まりやすい傾向にあった。開催最終週ということも踏まえれば、今週も引き続き差しが利く馬場と推測される。比較的時計がかかる馬場と前傾ラップに対応できる差し馬を馬券の軸として考えたい。
前走で輸送を克服、デムーロ騎手の手腕にも期待
本命にはレッドアンシェルを推す。初ブリンカーで挑んだ前走の北九州記念では、トップハンデを背負いながら中団から堂々と抜け出す競馬で2019年CBC賞以来の勝利を挙げた。前半3Fが32秒4、後半3Fが35秒4という前傾ラップで強いレースを見せた点は評価でき、さらにこれまで結果を出せていなかった輸送を克服できたのは大きな進歩だ。
初のスプリントGⅠ参戦となるが、この調子を維持できていれば一線級を脅かす存在になりうるはず。レッドファルクスでこのレース連覇の経験があるM.デムーロ騎手の手腕にも期待したい。
対抗はモズスーパーフレア。前走の北九州記念では前半3Fを32秒4で通過、最後は追い込み勢に差を詰められたものの、牝馬でハンデ56.5kgを背負っての2着は強い内容であった。このコースでは【3-2-0-0】と相性は抜群であり、さらに1枠をゲットしたのも好材料。人気サイドではこの馬を信頼したい。
3番手はグランアレグリア。春は高松宮記念では一頭だけ違う脚色で追い込んで2着（3位入線）、さらに安田記念ではアーモンドアイを破りGⅠ・2勝目を挙げるなど、能力・実績ともに申し分がない。初の中山というのは一つの懸念材料だが、5枠10番とスムーズに運べそうな枠に入ったので、大きく評価を下げる必要はないだろう。
4番手はダイアトニック。前走のキーンランドCは重馬場のなか、道中で内を回らされ続けて15着と大敗を喫したが、敗因が明確なぶん悲観する必要はない。春の高松宮記念は不利を受けて3着（4位入線）、それさえなければという脚色であったし、再戦となるライバルにも引けは取らないはずだ。
以下、実績馬ダノンスマッシュと休み明け2戦目で上昇が見込めそうなミスターメロディ、穴ではアウィルアウェイに注目したい。アウィルアウェイは、どうしても展開に左右される脚質ではあるが、ハイペースで前が崩れることがあれば大外枠からでも台頭の余地はあるだろう。
▽スプリンターズS予想▽
◎レッドアンシェル
○モズスーパーフレア
▲グランアレグリア
△ダイアトニック
×ダノンスマッシュ
×ミスターメロディ
☆アウィルアウェイ
ライタープロフィール
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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