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【スプリンターズS予想】今の馬場は「時計がかかる」「差し届く」 レッドアンシェルが戴冠へ絶好のチャンス

2020 10/1 17:00三木俊幸
2020年スプリンターズS馬場適性チャートⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

先週末は良馬場に近い稍重

10月に入り、いよいよ秋のGⅠシリーズが開幕。その幕開けとして中山競馬場で行われるのがスプリンターズS(GⅠ・芝1200m)だ。今秋の中山開催は、近年稀に見るタフな馬場となっているのに加え、今週が開催最終週となるだけに、馬場傾向をしっかりと見極める必要があるだろう。

今週も先週末のクッション値と馬場傾向を分析したうえで、予想を行なっていく。

中山クッション値



連日雨が降り、先週木曜日には10.0mm、金曜日には12.5mmとまとまった雨量を計測した中山競馬場。金曜日に発表されたクッション値は9.2と今開催を通じて最も低い数値となっていた。その後、土曜日に3.0mmの雨が降ったものの、馬場に影響を与えるほどのものではなく、土曜日のクッション値は9.7、日曜日も同じく9.7。

この9.7という数値は、9月21日のセントライト記念当日と同じ数値ではあるが、21日は良馬場だったのに対し、先週末は稍重発表だった。このことからも、馬場発表は稍重だったが、比較的良馬場に近い状態だったと考えられる。

中山芝勝ちタイムと上がり



そこで、良馬場で行われた先々週と稍重だった先週の1200mにおける勝ちタイムと1着馬の上がりを比較してみると、2歳未勝利戦では先々週のレースが1:10.4、上がり35.8、先週は1:10.2、上がり35.9。3歳以上1勝クラスの1200m戦を比較しても先々週が1:09.6、上がり34.7、先週は1:09.2、上がり34.8とほぼ同じタイムでの決着だった。

中山芝位置取り



脚質面では、先週土曜日の1200mの2歳未勝利戦とカンナSこそ逃げ切りが決まったものの、全体的には差し馬の活躍が目立っていた。中でも日曜日は4レースで馬券に絡んだ12頭中7頭が4角7番手以下と、その傾向がより顕著であった。先述した先々週に行われた1200m戦の比較対象レースの勝ち馬の通過順位は、2歳未勝利戦が9-9、3歳以上1勝クラスが7-5というように、先々週の時点から差しが決まりつつあったので、今週末も差し馬が台頭可能な馬場状態は続きそうだ。

週中は木曜日に雨が降ったものの、週末にかけては雨の心配がなさそうで、先週より硬い馬場状態となるだろう。それでも例年より時計、上がりとも遅い決着になる可能性は高い。

前走で見せた末脚は今の中山向き

それらを頭に入れたうえで、ここからは注目馬の適性について馬場適性チャートを用いて詳しく見ていく。 縦軸は高速馬場を得意とするスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場に強い瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

スプリンターズS馬場適性チャート



【グランアレグリア】
3走前の阪神Cが1:19.4、前走の安田記念が1:31.6と高速馬場に強く、上がりも33秒台の末脚が発揮できる舞台を得意としている。2走前の高松宮記念では1:08.7で2着(3位入線)と好走。初の1200m、重馬場も難なくこなす能力の高さを示したが、このときも重馬場とはいえ、上がり33.1が出る特殊な馬場状態だった。

時計のかかる今の中山の馬場も苦にしないとは思うが、上がりがかかれば取りこぼしがあるかもしれない。

【モズスーパーフレア】
高松宮記念は時計のかかる馬場でしぶとく粘り、繰り上がり優勝。前走の北九州記念も稍重で2着と健闘した。しかし勝ちタイム1:07.1の昨年スプリンターズS2着をはじめ、もともと高速馬場で結果を残していたタイプ。近走、時計のかかる条件で好走しているのは、昨年より力をつけている証拠だと見るべきだろう。

前走は56.5kgを背負いながら、前半600mを32.4で通過。今の中山は差し有利という傾向も出ているが、そのダッシュ力を見る限り今回もすんなり逃げることができそうなので、ノーマークにはできない。

【ダノンスマッシュ】
前走のセントウルSを完勝し、悲願のGⅠタイトル獲りへと挑む。前走と5走前のオーシャンSで共通しているのは、1分7秒台の決着でありながら、上がり34秒前半で勝利しているということ。

昨年の高松宮記念は34.0で4着(1着のミスターメロディは33.6)、同じく昨年のスプリンターズSは33.7で3着(1着タワーオブロンドンは33.5)。上がりが求められるような条件下では、詰めが甘くなる傾向にある。それだけに今回、例年より上がりのかかる馬場でのレースになることはプラスに働くはずだ。

【レッドアンシェル】
稍重で1:07.8、上がり34.2を使った前走の北九州記念は直線で末脚が爆発、強いレースだった。2走前のCBC賞も稍重で時計のかかる馬場で3着、5走前の昨年のCBC賞はゲリラ豪雨の中での不良馬場で勝利していることからも、時計がかかり、差しが届きやすい今の中山の馬場はピッタリ。ここは最大のチャンスだ。

【ライトオンキュー】
時計のかかる洋芝巧者。平坦向きの印象もあるが、昨春には今回と同舞台の船橋Sで勝利しているので問題なし。相手は強くなり、時計面を詰める必要もあるものの、馬券圏内に好走できる条件は揃っている。

【アウィルアウェイ】
4走前のシルクロードSを制した時の勝ちタイムが1:09.0、前走の北九州記念も稍重で55.5kgを背負って0.3秒差の3着となっており、時計のかかる馬場があっている。しかし、その2走とも4角通過順位は12番手、14番手と追い込み一辺倒の脚質。加えて中京、阪神と直線に坂のあるコースでは結果を残せていない点が不安ではあるが、条件的には大駆けがあっても不思議ではない。

▽スプリンターズS予想▽
◎レッドアンシェル
○グランアレグリア
▲ダノンスマッシュ
△モズスーパーフレア
×ライトオンキュー
☆アウィルアウェイ

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。