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【セントライト記念】今年のダービー組はレベルが微妙?本命は別路線から来る馬

2020 9/20 17:00坂上明大
2020年セントライト記念インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

高速馬場の持続力勝負

15年キタサンブラックはダービー14着、18年ジェネラーレウーノはダービー16着、そして昨年のリオンリオンはダービー15着からセントライト記念を制した。休養中の成長度も重要だが、中山芝2200mという特殊条件への適性も欠かせない。そんな一戦について、参考レースから出走各馬の潜在能力を見極める。

【青葉賞】
Aコース2週目。週中月曜日に1.5mmの降水があったが、それ以降は週末にかけて雨が降らず、さらにこの週から気温が一気に上昇したことで芝の生育が良化。一日通して平均より約2.5秒程速く、高速馬場といっていいほどだった。ただ、上がり3F4位以下の馬は1頭しか3着以内に入っておらず、末脚の重要度が非常に高い馬場状態だったといえる。

2着馬ヴァルコスは向正面から上がって行き、持ち味の持続力をフルに活かした形。直線追い風の後押しもあったが、上がり3Fを11.4-11.4-11.5程度でまとめた点も高評価。持続力勝負なら同世代ではトップクラスの一頭だ。

3着馬フィリオアレグロは最内枠から終始距離ロスのない競馬。直線もラチ沿いを突き、上がり3F最速を計時した。ただ、ラスト1Fは2位タイであり、道中の内容を考慮するとヴァルコスを上に取りたい。

巻き返し期待だが……レベル微妙?

日本ダービートラックバイアスインフォグラフィックⒸSPAIA


【東京優駿】
Cコース初週。コースが替わったことで馬場の傷んだ内側が仮柵でカバーされ、内々を回った馬の好走が目立った。3R頃に急に降り出したゲリラ豪雨が多少影響したせいか平均タイムは前日よりも0.5秒程遅くなったが、それでも時計がかかった印象はなく良好な状態といえる。

6着馬ガロアクリークは序盤の位置取りこそ良かったが、徐々にポジションが悪くなり3~4角は外々を回る形。一瞬の切れ味が魅力な馬だけに、さすがにラスト1Fは脚が鈍ってしまった。瞬発力勝負向き。

11着馬サトノフラッグは前に壁を作れず、前半はやや行きたがる面を見せる。外々を回る形でもあり、これといった見せ場を作れず。中山芝2200m替わりはプラスだろう。

14着馬ヴァルコスは積極策で先団につけるも、終始大外を回る形。距離ロスが大きく、直線に向いた時点で余力が残っていなかった。中山芝2200mに替わるのも悪くない。

巻き返しに期待したい馬が多いが、7着馬ブラックホールが札幌記念9着、8着馬ワーケアが新潟記念10着の結果を見ると、レースレベルはまだ何とも言えないところか。

スタミナ勝負で圧勝

【ラジオNIKKEI賞】
Aコース初週。開幕週でも月~水曜日に16mm、土曜日は朝から数mm、さらに土曜日開催後に17mmの雨が降って道悪での開催。時計は平均的だったが力のいる馬場だったことは間違いない。本レースは35.4-36.1-35.8と淀みのない流れ。馬場、ペースともにタフさが求められる競馬であった。

1着馬バビットは抑え切れない勢いで逃げて、上がり3Fもメンバー中最速。5馬身差の楽勝で3連勝を挙げた。新潟外回りの瞬発力勝負から福島替わりでパフォーマンス大幅アップ。渋った馬場も合っている。

遅咲きの素質馬

先週開幕した中山競馬は雨の影響で時計がかかり気味で、さらに週末も雨予報。

◎バビットはThatch=Specialの4×3の母に、重馬場の凱旋門賞で2着のナカヤマフェスタを父に持つ血統。タフさと馬力に優れ、道悪の中山芝中距離戦は絶好の舞台だ。春のクラシック組を打ち負かすならこの馬!

◎バビット

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではない。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。