マイラー資質全開だったトロワゼトワル
サマーマイルシリーズ優勝の可能性をかけた馬が7頭出走した京成杯AH。メイケイダイハードとスマイルカナ以外は勝利が必須条件と厳しい状況だったが、6位トロワゼトワルが昨年に続き京成杯AHを連覇、シリーズチャンピオンに輝いた。
昨年は先手を奪い勝ち時計1分30秒3の大レコードを樹立したが、今年は1分33秒9と過去10年(14年は新潟)で、もっとも遅い時計を記録した。昨年のトロワゼトワルの記録は、前後半800m44秒2-46秒1。スマイルカナが2角手前でハナに立った今年は、46秒7-47秒2。前後半のラップ差が少ない、よりマイル戦らしい総合力が問われる競馬で、時計面では劣るものの価値ある内容だったといっていい。
しかしながら、中山競馬場の芝は予想外だった。例年と変わらず春から夏にかけて更新作業を行った芝は1年でもっとも状態はよく、洋芝を使用しない野芝のみ。土曜日の雨で午後からやや重に変更されたものの、雨量は馬場にダメージを与えるようなものではなかった。この開催から発表されたクッション値もやや硬めだったが、実際には例年より1~2秒ほど時計がかかった。
冬の中山かと錯覚するような、タフな馬場は先行有利。差し追い込み馬には辛い競馬となった。スマイルカナが大外枠から遅れながらも、ハナを奪い切ってからゴール前200m地点まではすべて11秒台後半。そのラップは、12.4-11.1-11.5-11.7-11.6-11.7-11.7-12.2という緩急が一切ないスピード勝負。最後まで同じスピードで駆けることに長けた馬の展開となった。
そうなれば、トロワゼトワルに利がある。2着だった関屋記念は自らラップを刻み、12.2-10.9-11.5-11.7-11.5-11.3-11.6-12.4。ほぼ似通ったラップになったわけで、連続好走は納得だ。以前よりも抑えが効くようになった同馬、スマイルカナが外からハナに行ったとき、あっさり控えたあたりにポイントがあった。
ケンカすれば猛ラップを誘発、残り1ハロンで逆転されたかもしれない。かつてマイルから中距離戦線を沸かせ、昨年の有馬記念で、ターフを去ったアエロリットを想起させる走りとラップ構成。いよいよGⅠでも大仕事をするのではないか。















