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トップはブエナビスタの13億8643万円 上位4頭が一口馬主の所有馬!牝馬限定歴代獲得賞金ランキング

2020 9/10 06:00高橋楓
国内獲得賞金限定 獲得賞金歴代牝馬ランキングⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

牝馬限定国内獲得賞金ランキング

国内獲得賞金限定 獲得賞金歴代ランキングⒸSPAIA



1994年有馬記念。その年の三冠馬ナリタブライアンが圧勝で制するなか、私は一頭の牝馬に目を奪われていた。それはヒシアマゾンである。3歳(旧表記4歳)の牝馬が、6歳のライスシャワーを2馬身半も離し、牡馬の三冠馬に最後まで食い下がったのだ。その荒々しいまでの迫力はヒーロー列伝コレクションのポスターの「華やかな闘魂。」そのものであった。当時の重賞連勝タイ記録を達成するなど重賞9勝の活躍をし、6億9582万9000円を獲得した。

そのヒシアマゾンでも歴代牝馬獲得賞金ランキングでトップ5に入れない額である。では、歴代牝馬獲得賞金TOP5はどういったメンツなのか?

まず、驚いた事にベスト5のうち4頭が一口馬主クラブの所有馬となった。引退後に牧場に戻り、その後の繁殖生活まで計算できるだけに期待馬を提供しやすいのだろう。

堂々の第1位は「ブエナビスタ」となった。国内での総獲得賞金は13億8643万円でGⅠを6勝する活躍であった。クラシックでのレッドディザイアとのライバル対決は見るものを興奮させた。

第2位は「ジェンティルドンナ」だった。国内総獲得賞金は13億2621万円で、こちらも国内GⅠは6勝だった。この馬の場合ドバイでの獲得賞金も3億9982万400円あり、合算すると17億2603万400円となり国内外の総獲得賞金ランキングではトップに躍り出る事になる。ジェンティルドンナとはイタリア語で貴婦人という意味。美しさと強さを持ち合わせた稀代の名馬だった。

第3位はダービー馬「ウオッカ」。国内総獲得賞金は13億487万円。2008年天皇賞(秋)でのダイワスカーレットとのハナ差の叩き合いは忘れる事ができない。以下、近年の活躍馬「アーモンドアイ」10億6380万円、「リスグラシュー」8億8738万円と続く。

20世紀を彩った名牝ランキング

国内獲得賞金限定20世紀デビュー牝馬獲得賞金歴代ランキングⒸSPAIA

まだ牝馬路線が整備されていなかった時代にも、牡馬相手に堂々と戦いを挑んでいた名馬がたくさんいる。20世紀デビューでランキングを作ってみると、第1位は砂の女王「ホクトベガ」獲得賞金8億8216万円となった。当時は古馬のGIは全て牡馬との混合戦、ハンデ戦や賞金別定戦ではGIホースであるがゆえに重い負担重量を課されて苦戦が続くなかで、地方交流戦を機に伝説になった名馬だった。

第2位は我が国における名牝系を確立した才女「エアグルーヴ」で獲得賞金は8億2196万円だった。牡馬と堂々と渡り合い、1997年にはトウメイ以来2頭目の牝馬での年度代表馬に輝いた。それほどまでに当時、牝馬と牡馬の壁は厚かったのである。

第3位はメジロ牧場の結晶「メジロドーベル」獲得賞金7億3342万円となった。全21戦すべてを吉田豊騎手と共に戦い抜き、同期のメジロブライトと共にメジロ牧場復活を強く印象付けた。第4位は書き出しでも登場した「ヒシアマゾン」獲得賞金6億9582万円、第5位は「ファストフレンド」6億6126万円と続く。

2020年の賞金額へ変換しランキングにしてみると

2020年賞金額変換 獲得本賞金歴代ランキングⒸSPAIA

以前は現在ほど牝馬路線が整備されておらず、秋華賞ができるまではエリザベス女王杯が牝馬クラシック最終戦の役割を果たしており、古馬に牝馬限定GⅠは準備されていなかった。また、現在とは賞金額も違っている。

そこでファストフレンド(20世紀ランキング5位、歴代ランキング12位)をボーダーとし、すでに登場している10頭の他に歴代8位「ダイワスカーレット」歴代7位「スイープトウショウ」を加え、2020年の賞金額であればどの様なランキングになるのか調べてみた。

なお、公平にするため付加賞や奨励金などは考えず、1着から5着までの本賞金のみで再計算している。

それでもトップ3は変わらないのだが、第4位に「エアグルーヴ」変換本賞金10億9980万円、第5位に「ダイワスカーレット」変換本賞金10億3600万円がランクインしてきた。

意外な事に、ランキングの大きな変動はここだけとなった。要因は「有馬記念」「ジャパンカップ」の好走歴だ。この両レースは現在、1着3億円、2着1億2000万円、3着7500万円とほかのレースと比べても別格だ。今後も賞金面ではこの2レースが大きな鍵になるだろう。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。