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【京成杯AH】「関東馬8勝」「前走マイル戦出走馬はわずか1勝」など 当日まで覚えておきたいデータとは

2020 9/6 17:00勝木淳
2020年京成杯オータムハンデキャップデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

年齢、枠順に盲点あり

秋の中山開幕を告げる京成杯AH。9月は中山開催で唯一野芝オンリーでの施行。絶好の高速馬場だけに中山らしからぬ快時計が生まれやすい。

昨年はトロワゼトワルが逃げ切り、1分30秒3の世界レコードを叩き出した。サマーマイルシリーズの最終戦ではあるが、どうも関屋記念との相性が悪いレースでもあり、その傾向をデータでしっかりとらえてみたい。

なおデータは14年新潟施行を除いた過去9回のものを使用する。まずは年齢別成績から。

年齢別成績(過去9回)ⒸSPAIA

3歳【2-0-3-11】、4歳【3-1-2-11】、5歳【3-4-2-29】と主力にあたる3~5歳で9回中8勝、この3世代で偏りもなく、有用なデータとはいえないわけだが、あえて年齢別をあげたのは6歳【0-3-1-40】、7歳【1-1-1-15】と主力から外れるベテラン世代がときに馬券圏内に絡む点を押さえておきたかった。

6歳で馬券圏内にきたのは3、11、6、11人気。7歳は4、6、13人気。毎年人気が割れる混戦レースだけに主力世代から外れたというだけで人気が急落、盲点化すること多い。いくつかのデータに合致しながら年齢を理由に切るというのはいささか危険な予感がする。

枠番別成績(過去9回)ⒸSPAIA

中山マイルというと内枠有利、外枠不利が定番。まず内枠は1枠【0-1-1-11】、2枠【1-2-1-11】、3枠【1-0-2-15】と思ったほど数字はよくない。来ないわけではないが、いわれるほど内枠が強いとはいえない。

一方外枠は7枠【0-0-2-16】、8枠【0-2-0-16】でこちらは定番通りちょっと厳しい。上位人気馬が外枠に入った場合、消しとはいわないが、ワンランク評価を落とす必要はありそうだ。

ここで買える関東馬とは

なにか傾向としてはっきりしたものはないかと探したところ、東西別成績にいきついた。

東西別成績(過去9回)ⒸSPAIA

美浦所属馬いわゆる関東馬は【8-4-3-62】、栗東所属馬いわゆる関西馬【1-5-6-46】で関東馬が圧倒している。7、8月の2場開催時に新潟で関西馬が猛威を振るったように関西馬優勢の現下においてここまで関東馬が強いレースは珍しい。

関西馬も2、3着には顔を出すが、アタマは関東馬という思いきった戦略は面白そう。というのも関西馬は単勝回収値12、複勝回収値70、関東馬は単勝回収値121、複勝回収値64。勝利した関東馬は4、2、2、3、13、1、1、1人気でまあまあおいしい。

関東馬の前走着順別成績(過去9回)ⒸSPAIA

どんな関東馬がいいのか掘り下げると、8勝中4勝は前走で勝った馬だった。

我々は前走負けた馬のなかから巻き返す馬、いわゆるお宝を探しがちだが、このレースでは前走勝った関東馬が傾向として強い。勢いある関東馬がいればチェックしておこう。

関東馬の前走人気別成績(過去9回)ⒸSPAIA

関東馬の前走人気にも注目する。前走6~9人気【3-2-1-18】あたりからおいしい馬券にたどり着けそうだが、正直このゾーンから京成杯AHで激走する馬を見つけるのはまあ大変。

センスある方であれば見いだせるかもしれないが、その自信がない私は前走1人気【2-0-0-3】勝率40%、2人気【3-0-1-5】勝率33.3%に狙いをつけたい。関東馬、前走勝ち、かつ前走1、2人気馬という馬が出走してくることを祈りたい。

最後に関屋記念や中京記念などサマーマイルシリーズとの絡みから前走距離に注目した。

前走との距離比較別成績(過去9回)ⒸSPAIA

前走がマイル戦だった馬は【1-7-8-55】で9回中1勝しかしていない。サマーマイルシリーズ最終戦なのに関屋記念、中京記念などサマーマイルシリーズとのつながりが薄い。といっても2着7回3着8回はさすがで、サマーマイルシリーズ転戦馬を連軸または2、3着に置くといった馬券が理想かもしれない。

前走距離別成績(過去9回)ⒸSPAIA

前走1400m出走馬は【4-0-0-23】で勝ち切り傾向ではあるものの出走数も多く絞りにくい。であれば距離短縮組の1800m【2-1-0-18】、2000m【1-1-0-2】に注目。

2000m組の好走馬2頭はいずれも七夕賞組だった。京成杯AHは野芝施行の高速馬場ゆえにスピード勝負。イメージ的には関屋記念組など夏の高速馬場を戦ってきた組を評価したいわけだが、そう単純なレースではない。舞台はコーナー3回、急坂が待ち構える中山マイル、平坦中心の夏競馬とはやはり問われるものが異なる。ここは押さえておくべきだろう。

付け加えると今年の関屋記念は新潟改修後はじめて33秒台で決まった異例なレース。前週不良馬場で競馬が行われた影響をモロに受けたもので、これは高速決着の京成杯AHに直結しないのか、それともタフな競馬になったことでかえって京成杯AHに結びついていくのか、その判断にセンスが問われそうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年京成杯AHデータインフォグラフィック

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