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【紫苑S】「開幕週=先行有利」はもう古い 重賞に昇格してから注目度が一変 当日まで覚えておきたいデータ

2020 9/6 17:30門田光生
紫苑SデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

秋華賞トライアルで大切なデータとは?

3歳(当時は4歳)牝馬の三冠目が秋華賞ではなくエリザベス女王杯だった頃、前哨戦として中山のクイーンS、阪神のサファイヤS、京都のローズSと3つの重賞が存在していた。この頃は菊花賞の前哨戦も神戸新聞杯、京都新聞杯、そしてセントライト記念と3レースあったのと同じである。

今回データ分析をする紫苑Sは、北海道に移動したクイーンSの代わりとして新設されたレース。その前身であるクイーンSの勝ち馬はなかなか豪華で、古いところではトウコウエルザやビクトリアクラウン、1990年代にはシンコウラブリイ、ヒシアマゾン、サクラキャンドルなどの著名馬が名を連ねている。ただ、これが紫苑S(オープン)となってから目立つのはレディパステルぐらいだった。

実際、紫苑Sを経て秋華賞で連に絡んだのは2014年のショウナンパンドラ(紫苑Sは2着)だけ。しかし、これが2016年に重賞へ昇格すると立場は一変。いきなりその年の秋華賞で紫苑S組がワンツーとなってデータ屋を驚かせたものだ。2017、2019年にも連対馬を出しており、今ではローズSと同じくらい重要な一戦といっても過言ではないだろう。

今年の紫苑Sは2020年9月12日(土)に中山競馬場で行われる。上記で述べたように秋華賞に向けて要注目のレースである。まずはこの紫苑Sをデータで攻略し、本番へと備えたい。なお、2014年は新潟で行われているので、その年を除いた2009~2019年の過去10回で検証していく。

開幕週=先行有利はもう古い

紫苑S出走馬の枠順ⒸSPAIA
紫苑S出走馬の脚質ⒸSPAIA

紫苑Sは中山の開幕週、しかも初日に行われる。普通に考えると内枠有利、そして前有利となるのだが、結果は全く逆。1~4枠の2勝に対し、5~8枠が8勝。特に1枠と2枠からは勝ち馬が出ていない。脚質を見ても差しが14連対とほかを圧倒している。

聞いた話によると、エアレーションをすると開幕週は外がよく伸び、週を重ねるにつれてインがよくなるということ。開幕週の絶好馬場だから前が止まらない、というのは過去の話なのかもしれない。

紫苑S出走馬の所属別ⒸSPAIA

秋華賞トライアルといえば、この後に行われるローズSを忘れてはいけない。本番につながる最重要レースということもあって、栗東所属の有力馬はローズSを使うケースがほとんど。以前の紫苑Sは重賞でないし(賞金が安い)、輸送があるし、しかも本番につながりづらいということで、実績のある栗東所属馬が使うメリットは少なかったといえる。

実際、オープン時代の2009年~2015年(新潟開催の2014年を除く)は、栗東所属馬は14頭しか出走しておらず、連対したのも1頭だけだった。

しかし、2016年に重賞に昇格してからを調べてみると、この4年で栗東所属馬は16頭が出走し、3連対と数字を伸ばしてきた。ローズSより本番まで間隔が空くのはメリットだろうし、京都2000mの形態と似ているのはローズSよりも紫苑Sの方。しかも、重賞に昇格してから本番につながるレースときている。これからも栗東所属馬が積極的に使ってくる可能性は高いと思われる。

実績馬より勢いのある馬が有利

紫苑S出走馬の前走クラスⒸSPAIA
紫苑S出走馬の出走間隔ⒸSPAIA

ここでひとつ、トライアルらしいデータを。

前走で走ったクラスを調べてみると、1勝クラスを使った馬が最多の7連対。次いで2勝クラスが5連対。条件戦を経て挑んでくる、いわば出走権をかけての勝負駆けが成功している形。重賞に昇格してからも1勝クラスが2連対、2017年には1~3着の全てが前走2勝クラスを走っていたように傾向は変わっていない。

また、中2週で挑んできた馬は【3-1-0-11】で、勝率20%、連対率も25%を超える優秀なもの。逆に中9週以上開いた馬は【4-3-6-63】。頭数が多いのもあるだろうが、実績馬を多く含んでいることを考えると、勝率5.3%、連対率9.2%は物足りない数字である。要するに、条件戦で好走し、押せ押せのローテーションでも十分通用するということだ。

紫苑S出走馬の前走場所ⒸSPAIA

意外なデータもある。前走を函館、もしくは札幌で走った馬の勝率、連対率がやたらといいのだ。涼しい北海道から暑い内地の競馬となるのだが、気温の差は全く関係ないらしい。

紫苑S出走馬の父系ⒸSPAIA

最後に父系を見ていく。最多はシンボリクリスエス産駒の3勝で、ハービンジャー産駒も2勝を挙げている。この2頭は、どちらかというとパワータイプで力の要る芝を得意とする。

特にシンボリクリスエス産駒は圧倒的に牡馬優勢のイメージだけに、牝馬限定戦のこのレースで好成績を収めているのは驚き。よほど条件が合うのだろう。出走馬がいれば要チェックだ。

ディープインパクト産駒も4連対しているが、ほかの産駒より倍以上の頭数が走っているので当然といえば当然。しかし、連対した3頭が1番人気、残る1頭も3番人気と妙味は薄い。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。無観客のまま中央開催がスタート。まだまだ油断できない状況が続きますが、大都市に位置する大井競馬(東京)や名古屋競馬(愛知)では段階的に有観客競馬を実施(大井は9月19日から)。規模が違うとはいえ、成功すればJRAも何らかの動きを見せるかもしれません。改装前の京都競馬場の姿を焼き付けておきたいファンは多いはずですから。

2020年紫苑Sデータインフォグラフィック

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