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【小倉2歳S】「1~3人気9勝」「キャリア1~3戦9勝」など 当日まで覚えておきたいデータとは

2020 8/30 17:00勝木淳
小倉2歳SデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

オッズが割れるレースではあるものの……

普段よりちょっと短い夏の小倉、そのフィナーレは小倉2歳S。このレース、7週間の小倉開催が4週間になった影響をモロに受ける可能性が高い。なぜなら、小倉デビューのいわゆる小倉組が新馬戦の数が約半数になったことで減少するからだ。

例年のデータでは小倉組が強いので、小倉開催の日数減がどうレース結果を左右するか、この点についは注意しながら検討する。なお、データは過去10年間のものを使用する。

人気順別成績(過去10年)ⒸSPAIA



キャリアが浅くどうにも横の比較がしにくい2歳重賞、とりわけ小倉2歳Sは毎年のように混戦模様になり、人気も読みにくい状況になりやすいわけだが、データでは1人気は【3-3-0-4】勝率30%、複勝率60%とオッズが割れる傾向にあるレースにしてはアテになる。

3人気以内が10年で9勝。競馬ファンの見立てはおおよそ正しいという結果だ。14年15人気1着オーミアリスの一撃はインパクトが大きいが、10人気以下の勝ち馬はこの1頭のみ、10人気以下を検討するより10人気以内に時間を割くほうがよさそう。といっても人気が読みにくいレースなので、前日発売開始後から検討しはじめるべきだろうか。

枠番別成績(過去10年)ⒸSPAIA



次は枠番別成績。3、4枠は勝率15.8%と目立つものの、正直いって3、4枠が強いことについて合理的な理由は見いだせない。3、4枠が強いとピンポイントに狙いを定めるのは少々危なっかしく、ざっくり3枠より外の複勝率が高いということぐらいにとどめておこう。

逆をいうと1、2枠はやや厳しく、キャリアが浅い2歳馬、多頭数の1200m戦という状況下ではスムーズに運べない不利を受けやすいからだろう。

ポイントはキャリアにあり

では浅いキャリアのなかでもどのぐらいのキャリアの馬がきているのか。キャリア別成績をみる。

キャリア別成績(過去10年)ⒸSPAIA



デビュー2戦目【5-5-8-51】、キャリア3戦目【4-4-1-34】とこのふたつのゾーンで好走馬は占められている。キャリア4戦【1-1-1-30】、5戦以上は好走ゼロなので、まずはキャリアが浅い組に絞ってよさそうだ。といっても2歳の夏なのでキャリアの浅い馬ばかりなのだが……。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA



当たり前だが新馬はデビュー2戦目と全く同じ数字。どうしたってここを掘り下げねば先に進めまい。

前走新馬組の前走着差別成績(過去10年)ⒸSPAIA



では、新馬勝ち直後の馬ではどんな馬が小倉2歳Sで好走するのか。その指標として前走着差を調べる。

1秒以上差をつけて勝った馬は【0-0-0-3】。内訳は3、11、4人気で15、11、8着。大きな着差はインパクトにもつながるため上位人気に支持された馬もいながらさっぱりで、どうも罠っぽい。ただし0秒6~0秒9差【1-2-1-5】と結果を残しており、0秒3~0秒5差も【2-1-3-13】も悪くない。注目は0秒0差【2-2-1-8】勝率15.4%、複勝率38.5%だ。タイム差なしで勝ちあがった組も数字上は同格に扱わなくてならない。

一見ギリギリ勝った、地味な勝ち方だった馬でも好走でき、そこが人気の盲点になりやすい。前走タイム差なしは逆をいえば勝負強いともいえるわけで、混戦模様の重賞ではその部分が武器になるのではないだろうか。つづいて前走未勝利組【2-2-1-36】だが、こちらは新馬組とは対照的だ。

前走未勝利組の前走着差別成績(過去10年)ⒸSPAIA



新馬で強かったタイム差なしは【0-0-0-6】、好走は1秒以上【1-0-0-0】、0秒6~0秒9【1-1-0-4】が大半で、こちらはインパクトある強い勝ち方をした馬にだけフォーカスすればよさそうだ。

前走オープン組は【3-3-1-35】勝率7.1%、複勝率16.7%。キャリアの浅い組が強いといいながらも勝率は新馬と変わらない。こちらは具体的なレース名をみる。

前走オープン組の前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA



着度数2位の中京2歳Sは今年まだ未実施なので除外すると、フェニックス賞【2-3-0-24】にしぼっていいだろう。同レースは小倉開幕週に施行、勝ったのは九州の星ヨカヨカ。同馬はひまわり賞出走。

前走フェニックス賞組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

1着【1-2-0-4】と好走確率は高いわけだが、ヨカヨカはひまわり賞出走なので、このデータは使用できない。2着【1-0-0-5】、3着【0-1-0-4】と好走馬は出ているので、想定されるセレッソフレイム、ゴールドチャリスは注意が必要だろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

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