データを覆した1、2着馬
06年に1800mから1200mに距離変更されてから、北九州記念に前走GⅠ1着から参戦したのはモズスーパーフレアが初。それどころか、前走GⅠ組は15年マヤノリュウジンの前年スプリンターズS8着が最高着順。前走GⅠ掲示板以上から出走した馬すらいない。
過去10年の逃げ馬【0-0-0-10】、1番人気11連敗中といったデータをモズスーパーフレアに当てはめるべきなのか否か、予想のポイントはそこにあった。鬼門とみるのか、過去の出走馬とはレベルがちがうからとデータを度外視するのか。データとはその取捨選択にセンスが問われる。
結果としては1番人気の連敗は12に更新、逃げ馬として過去10年ではじめて馬券圏内の2着。数字上、北九州記念では消しだと潔い決断を下した方はハズレだったわけだが、これはあくまで結果。賭けごとぐらいは、大きな決断を下す場面があっていい。
繰り上がり1着だったことが考慮されたか、ハンデは陣営の想定より0.5キロ軽い56.5キロ。実質トップハンデのモズスーパーフレアはスタートでジョーカナチャンに見劣らなかった。厳密にはジョーカナチャンのダッシュ力が勝っていたわけだが、枠順の差から危なげなくモズスーパーフレアがハナに立ち、それをジョーカナチャンがマークする形で隊列はすんなり決まった。
競り合いがなくても前半600mは11.5-10.3-10.6の32秒4。スタートから一気に3角へむけて下る小倉の1200mでは、モズスーパーフレアが無理なく出せるラップ。先行勢がハナを競い、オーバーペースになる例年のレースとはちがった。下ってから平坦が続く小倉でモズスーパーフレアはそうは止まらない。全体の後半600m35秒4で2着確保はまさにGⅠウイナーの走りだった。
最後の200m12秒5でジョーカナチャンが踏ん張れず、直後の好位組も伸びないなか、その背後にいたレッドアンシェルが馬群を縫って粘るモズスーパーフレアを捕らえた。自身もトップハンデ57キロを背負ってGⅠ馬を最後にねじ伏せた結果は、賞賛ものだ。06年以降北九州記念で57キロを背負った馬は【0-0-0-10】。ジンクスに近いこのデータを覆す力はモズスーパーフレアと同等。となれば、GⅠでもと思わせる競馬だった。
CBC賞3着を受けてブリンカー着用という判断が吉と出たこともあるが、直線に向くまでこのペースを馬なりで追走、余裕をもって馬群をさばいてきた。力は抜けていたと言わざるをえない。















