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【北九州記念】超ハイペースで波乱濃厚 参考レースから読み解く各馬の「潜在能力」

2020 8/22 17:00坂上明大
2020年北九州記念インフォグラフィック
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ⒸSPAIA

超スローペースの芝短距離GⅠ

直近10年平均は32.6-34.7の超ハイペースGⅢ北九州記念。小倉芝1200mに舞台を移してからは逃げ馬の3着内好走がなく、スプリント重賞としては珍しい後方勢優位のレースだ。今年も逃げ馬多数でハイペース必至の顔ぶれ。近走展開不利の末脚自慢が狙い目となりそう。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

【高松宮記念】
前夜から降った雨の影響を受けて含水率はゴール前14.5%、4角14.8%の不良馬場からスタートしたが、高松宮記念時には内目も回復傾向にあった。さらに逃げたモズスーパーフレアでも、34.2‐34.5の前傾0.3秒と過去10年で2番目に前傾度の低いペースだったが、2番手以降においては34.7‐34.0の後傾0.7秒という1200mGⅠとしては超スローペースの流れ。「先行馬有利」の傾向にあったと言える。

1着馬モズスーパーフレアは先述の通りマイペースの逃げ。それでいて後続がついてこなかったため、展開利の大きい競馬であったことは間違いない。とはいえ、Speightstown産駒らしいハイペースの逃げも苦にしないタイプではあり、展開がハマッただけのGⅠ馬と評するのは危険だ。休み明け、56.5キロ、同型多数と課題が多過ぎる気はするが……。

11着馬アウィルアウェイは、掛かり気味の追走だったがこれはいつものこと。ただ、直線は進路を探しながらの追い上げで、残り200m通過後にも減速する場面があった。展開不利と直線でのロスを考慮すると、巻き返しの余地はあるか。

16着馬ラブカンプー、17着馬ダイメイプリンセスはともに夏馬ということもあり、本レースでは見せ場がなかった。

ハイペースでも内前有利?

2020年北九州記念 参考レースのトラックバイアス


【CBC賞】
開催5週目、Bコース2週目で馬場は消耗しており、前週には宝塚記念など雨馬場で競馬が行われたことで馬場状態はさらに悪化。その影響で土曜日は「外有利」の競馬が続いた。しかし、30℃近い気温の助けもあって、含水率はゴール前14.6%→10.7%、4角13.3%→10.2%まで低下。日曜午後の好走馬平均進路が4.4頭目、内回りに限っては3.8頭目とかなり内側にシフトしてきた。さらに強めの直線向かい風が吹いていたことで差し馬には苦しい状況に。時計は33.5-35.2の前傾1.7秒だが、本レースは「内前有利」だったと見る。

1着馬ラブカンプーは押してハナに立ち、そのまま完封勝利。母父マイネルラヴの夏馬らしい良化っぷりを見せて、2年5カ月振りの勝利を手にした。2018年スプリンターズS2着の実績馬だけにフロック視は危険だが、展開利と51キロの軽ハンデがあったことは留意しておきたい。

2着馬アンヴァルも最内先行の展開通りの競馬。ただ、ラブカンプーには残り600~400mで出し抜けを食らった形で、3キロのハンデ差もあった。19年北九州記念3着の実績もあり、連続好走があっても驚けない。

3着馬レッドアンシェルもアンヴァルの直後につけて流れに乗ったが、ラスト1Fで失速。ハンデ差はあったが、やや物足りない内容だった。

4着馬タイセイアベニールは進路取りにやや苦労して、全開走行は残り300m程から。ラスト1Fの伸びは目立っており、展開不利が響いての4着であった。

7着馬アウィルアウェイは牝馬トップハンデ、かつ展開不利。ただ、ラスト1Fでタイセイアベニールに劣った点は減点が必要か。

9着馬ジョイフルはやや強引な競馬で、ラスト1Fで止まってしまった。

遅れてきた素質馬

CBC賞で好内容のタイセイアベニールを基準に取り、同馬に先着歴のあるメイショウキョウジやメジェールスーが穴候補。特にトゥラヴェスーラは、鞍馬Sで逆手前のままクビ差2着。骨折による長期休養で出世が遅れたが、素質の高さはここでも引けを取らない。

◎トゥラヴェスーラ
○タイセイアベニール
▲ダイメイプリンセス
△メイショウキョウジ
×モズスーパーフレア
×アンヴァル
☆メジェールスー

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求することが生きがい。