「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【CBC賞】クリノガウディー、アウィルアウェイの評価は?群雄割拠の短距離戦線!レース分析から見える各馬の「潜在能力」

2020 7/4 10:46坂上明大
2020年高松宮記念、馬場・トラックバイアスⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

ハイペースの末脚勝負

レース展開によって勝ち馬がコロコロ変わる昨今の短距離重賞。各レースで有利不利がはっきりしているため、参考レースの分析は欠かせない。今回は実績上位馬を中心に参考となる3レースを振り返る。

【シルクロードS】

この日は馬場の乾燥が激しく、同開催で最も含水率の低い馬場状態。Bコース替わり2日目で傷んだ内側は仮柵でカバーされ、例年なら内先行有利になるはずだが、インコースの好走馬はほとんど見られず。また、このレースも快速馬モズスーパーフレアが引っ張る展開で、さらに33.9-35.1の前傾1.2秒と京阪杯以上に厳しいラップ。メンバー中上がり3F上位3頭が馬券圏内を独占したことからも分かる通り「外&差し有利」のレースであった。

勝ち馬アウィルアウェイはいつも通りスタートは遅め。ただ、展開的にはこの位置取りが向いた形で、ゴール前は2着馬エイティーンガールの追撃も凌ぎ切った。ただ、同馬はやや仕掛け遅れの面があり、先述の通り、逃げたモズスーパーフレアも展開不利。評価順としてはモズスーパーフレア、エイティーンガール、アウィルアウェイの順が妥当か。ちなみにエイティーンガールは函館スプリントSで7着と敗れているが、展開不利での結果だけに、決してレベルの低い馬ではない。また、当時は斤量差もあったが、本馬は今回も55.5キロのハンデを背負っているため、その点も加点しづらい。

7着馬ジョイフルは行き脚がつかず後方から。3角手前から促されてアウィルアウェイより先に仕掛けたが、直線は伸び負けの7着。展開は向いただけにやや物足りない印象だ。次走の阪急杯も同様だが、直線で手前をスムーズに替えられない面があるため、その点も課題に挙げられる。

18着と大敗に終わったレッドアンシェルは長期休養明けで参考外。

適性ペースの重要性

【阪急杯】
開幕週で馬場状態は良好。ただ、前日に降った雨の影響で、10Rには良馬場に回復したものの路盤は緩め。内目の乾きが早かった印象で、やや内有利とも言える馬場状態だったか。ペースは34.1-34.8の前傾0.7秒。阪神芝1400m重賞としては平均ペース。勝ち馬や4~6着馬が4角二桁通過順から追い込んでいることを考慮すれば、どの馬にもチャンスのある競馬だったといえるか。

7着馬クリノガウディーは行きっぷり良く前々で運び、自身の前半3Fは34.3秒。ただ、本馬が5着以内に好走した時の自身の前半3F最速は20年高松宮記念での34.9秒。ピュアスプリンターではない本馬にとってはオーバーペースでの追走だったかもしれない。それでも大きくは失速しておらず、ペース次第では巻き返せる力は十分にある。適性ペースの重要性がわかる敗戦だった。

14着馬ジョイフルは6歳にして過去最高馬体重。やや太目だったか。

16着馬アンヴァルはラスト1Fで失速。1400mは長い。

展開は力関係を捻じ曲げる

【高松宮記念】
前日夜から降った雨の影響で外伸びが目立ったが、徐々に回復を見せて、高松宮記念時には内目も回復傾向に。さらに逃げたモズスーパーフレアでも34.2‐34.5の前傾0.3秒と過去10年で2番目に前傾度の低いペースだったが、2番手以降においては34.7‐34.0の後傾0.7秒という1200mG1としては超スローペースの流れ。「先行馬有利」とみて間違いない。

4着馬クリノガウディーは好スタートから3番手の絶好位。直線もジワジワと伸びて1位入線を果たした(ダイアトニックの進路を妨害したとして4着降着)。ただ、展開は嵌った形で、マイラーの本馬にとっては緩いペースも味方した印象。進路妨害時にも大きなピッチロスは見られず、着順以上の評価は難しい。

11着馬アウィルアウェイは掛かり気味の追走もこれはいつものこと。上がり3Fの時計もクリノガウディーに劣る。ただ、直線は進路を探しながらの追い上げで、残り200m通過後にも減速を入れる場面が。展開不利と直線でのロスを考慮すると、クリノガウディーとの力関係はまだ勝負付けがついていない。

2020年高松宮記念、馬場・トラックバイアス

群雄割拠のスプリント戦線

展開次第で着順が変わる群雄割拠のスプリント路線。今回の実績上位馬もやや信頼に欠ける印象だけに、別路線からタイセイアベニールを本命に。鞍馬Sでエイティーンガールに伸び負けなかった末脚は重賞のここでも十分に通用するだろう。

◎タイセイアベニール

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人弱)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどから目の前のサラブレッドの本質を追求することが趣味。