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【競馬】発汗している馬は買い?消し?夏競馬はレース間隔と発汗に注目!

2020 7/2 06:00鈴木ショータ
夏競馬レース間隔別データⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

馬もやっぱり暑さは堪える!?疲れていない馬を買え

「夏競馬」というだけあって、夏の暑さもレース結果に影響を与える重要なファクターになる。人間と同じように、暑い中でレースをすれば、そのぶん蓄積される疲労も大きくなると予想される。

サラブレッドにとって夏のレースで戦うべき相手は、他の出走馬だけではなく己自身。そこで、注目したいのは前走からの「レース間隔」。

夏競馬レース間隔別データⒸSPAIA



暑さで疲れが溜まりやすい夏競馬では、適度に間隔をあけた方が好走に繋がる。最もレース間隔が詰まる「連闘」は、単勝回収率42%、複勝回収率62%と、かなり低い。対して、5~8週の余裕のあるローテーションの馬は、単勝回収率77%、複勝回収率80%と、明らかに連闘の馬よりも高期待値だ。

もちろん状態面だけでなく素質を見込まれている馬は、無理してレースで使われることも少なく「単純に能力が高い」ということもある。それもあいまって、適度に間隔をあけている馬の好走率、回収率は優秀になる。

よって、夏競馬はいつも以上に「レース間隔」を気にして予想するのが賢明と言える。

科学的にも激しい発汗はマイナス!?

暑い夏だからこそ、いつも以上にパドックでファンが注力するのは「発汗」だろう。「発汗している馬はイレ込んでいて買えない」というのが競馬ファンの中では通念。しかし、『なぜ発汗している馬は良くないのか?』という疑問に答えられる人は少ないのではないだろうか。

生物学の専門ではない筆者も全てが合っているとは言い切れないが、自分なりに納得した理由を紹介する。発汗=イレ込み=体力の消耗、と考えることは自然な推測。だが実は「ただ汗をかいて疲れている」という以上のことがある。

JRA競走馬総合研究所の著書『競走馬の科学』によると、人間の汗は水分がほとんどだが、馬は人間に比べ多くの電解質を体外に放出する。電解質というのは、体内に含まれているナトリウム、塩素、カリウムなどのミネラルのことだ。この電解質があることによって、正常な神経と筋肉活動を促している。この電解質が不足すると、疲労や筋肉の強直が起こる。

このように、科学的に見ても激しい発汗は馬体に影響を与えプラスになることはない。そのため夏競馬では、相対的に見て発汗が激しい馬は割り引いて考えるのが効率の良い立ち回りと言える。

発汗は精神的な悪影響も

肉体的に発汗は良くないこともあるが、精神的な面でマイナスに働くこともある。発汗はイレ込みのサインだととらえれば、気が散漫になりレースに集中していないことがわかる。イレ込んでいる馬がレースで陥りやすいのは、出遅れや、折り合いを欠くこと。もちろん、それは他の馬と比べて大きなディスアドバンテージになる。

実際に、調教ではものすごいパフォーマンスを出すのに、レースでは全く結果が出ないという馬を五万と見てきた。その理由のほとんどは、精神的な問題が影響している。どんなに能力がある馬でも、”本気”で走らなければ全く結果は出ないのだ。激しい発汗(イレ込み)は、馬が”今日は本気じゃない”というサインなので、注意して観察したい。

ひとつ補足すると、この精神的な部分に関しての注意点は縦の比較も必要だということだ。イレ込んでいるのが通常運転という馬もいる。近年では、手軽に前走のパドック映像も見ることができるので、より精度を上げるならば、その馬自身の縦の比較もして検討することをオススメする。

ライタープロフィール
鈴木ショータ
競馬伝道師。競馬エイトトラックマンを経てフリーに。オリジナルのweb競馬新聞「PDF新聞」を毎週発行。根っからの大穴党で、馬券格言は「人の行く裏に道あり”穴”の山」