超豪華メンバーでも低レベル?
6月末という開催時期に加え、内回りの荒れ馬場ということもあり、なかなか頭数が揃わない宝塚記念。ただ、今年は社会情勢もあってか、2010年以来のフルゲートに。
とはいえ、特殊条件であることに変わりはない。参考レースを振り返って、有力馬の潜在能力を掘り下げる。
【有馬記念】
週中はほとんど雨が降らず乾いた馬場での開催。見た目には野芝が枯れて内側を中心に芝が茶色に映ったが、内目を通った馬の好走も出ており、トラックバイアスは「馬場無し」の評価。
レースはアエロリットが後続を大きく離した逃げに出たが、2番手以降も前半1000mを59.6秒程度で通過しており、前傾1秒以上のハイペース。上がり3F上位馬が上位着順を独占したことからもわかる通り「差し有利」の展開だったといえる。
2着馬サートゥルナーリアは終始外々を回り、直線入り口では先頭を捉える勢い。ただ、さすがに横綱競馬過ぎたか、自身の上がり3Fの個別ラップは11.4-11.6-12.4程度とラスト1Fで大きく失速。父ロードカナロア、母シーザリオという血統らしくトップスピードの爆発力に秀でる半面、G1での持続力勝負ではやや分が悪い印象。本レースは3~5着馬もベスト条件ではなく何とか2着と粘ったが、勝ち馬リスグラシューとの差が舞台適性を物語っていたように思う。ベストは東京芝2000~2400mだろう。
5着馬キセキは出遅れて後方からの競馬。典型的なストレッチランナーでコーナリングに課題のあるタイプで、中山は9、5、5着と苦戦。自身の上がり3Fの個別ラップも11.7-12.0-12.1とややいびつで、差し有利の流れにはのったが、自身の持ち味は出し切れなかった印象だ。今回の阪神内回りコースは3~4角中間部のコーナー角が緩やかなため、G1で2度の2着がある通り、中山内回りよりは向いているだろう。
内有利のイス取りゲーム
【大阪杯】

週中水曜日に22mmを超えるまとまった雨が降ったが、週末には乾き、土日ともに良馬場での開催。Bコース替わりで内目の馬場状態が良く、内外回りともに「内有利」のトラックバイアス。
レースはダノンキングリーがハナを切ったが、終始ジナンボーにつつかれる展開。60.4-58.0の後傾2.4秒の緩い流れだっただけに3番手以降は「前有利」だったが、5F目に11.6を刻んでいるダノンキングリーには厳しい展開だった。
勝ち馬ラッキーライラックはラチ沿い3番手の絶好位。直線では狭いところを割ってこれるだけの気の強さと反応の良さもあり、まさに完璧な競馬っぷりだった。ただ、展開利を受けられた点、そして右にもたれる面を見せた点は考慮したい。余力のあるうちは問題ないが、苦しくなると右にもたれる面はこれまでも見せてきた悪癖。外を回すと阪神牝馬Sのようなことになりかねない。内枠を引けなかっただけに、M.デムーロ騎手の手腕が問われそうだ。
2着馬クロノジェネシスは大外枠からラッキーライラックの外につける。少頭数とあって大きく外を回らされることはなかったが、内で脚をタメた馬が上位着順を占める中での2着は高く評価できる。ラッキーライラックとの差はほとんどない。
4着馬カデナは11.2-11.1-11.2の豪脚で強襲。一時期の硬さが無くなり、今は本当にデキがいい。ただ、ギリギリまで追いだしを我慢した点、馬場のいい最内を終始ロスなく回ってきた点は考慮したい。あの競馬では3~5着が精一杯だ。
7着馬ブラストワンピースは内枠から外差しで展開不利。ラスト1Fで失速したが、3角からエンジンをかけて11.4-11.2-11.2-11.9程度なら当然の失速だろう。元々、11秒台後半の中速持続力勝負に強い馬で、18年有馬記念以後の上がり3F36秒台のレースでは3戦3勝。雨馬場なら巻き返し濃厚。
5着馬ワグネリアン、8着馬レッドジェニアルは物足りない競馬。大幅な上積みが必要だ。
超長距離戦に合わぬ逃げ
【天皇賞(春)】
乾いた良馬場ではあったが、内目はやや荒れ気味。前週、好走馬の直線平均進路は土曜日4.9頭目、日曜日6.4頭目だったのに対して、天皇賞(春)当日は10.1頭目とかなり外目が良かった。道中の位置取りは問わないが、直線は「外有利」とみる。
レースは前半1000mは63.0秒と緩めだが、1周目ゴール前でキセキがマクッて行き、中間1200mは73.1秒(1000m換算60.9秒)とやや速め。とはいえ、馬群はついていかなかったため、ラスト1000mは3番手で59.5秒、5番手で58.5。ペースが結果に与えた影響は少ないだろう。
2着馬スティッフェリオはステイゴールド×Mtotoという血統らしく距離延長で新味を出した。中速持続力性能に優れ、上がりのかかる競馬なら引き続き要注意。ただ、やや非力な面があり、阪神よりは京都向き。
5着馬トーセンカンビーナはラスト4F(11.5)で追いだすが、他馬も加速している区間では無駄に消耗しただけ。その結果大外を振り回す形になり、距離&スタミナロスが激しかった。ラスト1Fは11.8を出しているだけに、フィエールマンを後追いする形だったら3着もあっただろう。
6着馬キセキはゴール前でハナを奪う形。中間1200m73.1秒(1000m換算60.9秒)だから、超長距離戦としてはタフなラップ。キセキにとっては11秒台後半~12秒台前半がマイペースだから、やはり超長距離戦のペース配分は合っていない。距離短縮はプラス材料だ。
7着馬モズベッロは中距離馬。距離短縮はプラス。
◎クロノジェネシス
○ブラストワンピース
▲キセキ
ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人弱)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどから目の前のサラブレッドの本質を追求することが趣味。