福永祐一騎手の内枠での成績とは
3回阪神開幕週に組まれた宝塚記念のステップレース鳴尾記念は、昨年の天皇賞(春)3着以来1年1カ月ぶりの復帰戦となったパフォーマプロミスが、復活Vを遂げた。骨折による長期戦線離脱を強いられた8歳馬を、見事に仕上げた藤原英昭厩舎の厩舎力にも脱帽ものだが、1枠1番という絶好枠を最大限に活かした福永祐一騎手の手綱さばきが光った一戦でもあった。
福永騎手の内枠というと不安を覚えるファンは少なからずいる。今年のダービージョッキーに失礼ながら古い話をすると、16年スプリンターズSビッグアーサーがそんな不安の出発点になっているのだ。1番人気ながら1枠1番から終始スペースができず、詰まりっぱなしで終わってしまったレースはインパクトがある。
しかし、福永祐一騎手は内枠でも買えるジョッキーだ。過去5年(5/31まで)の芝レースにおける枠番別成績をみると、トップは7枠で勝率19.1%、複勝率40.1%だが、次位は1枠で勝率18.3%、複勝率47.2%でほぼ差はないに等しい。以後は3枠、2枠と続き、相対的に内枠の成績がいい。内枠への不安などファンの思い過ごしといってもいいのだ。
開幕週の馬場は、6週間の休養で絶好の状態。そうなればコーナー4回の内回り2000m戦ではロスが少ない内枠は断然有利なのは明らかだった。当然、10人気と評価が低かったのは福永騎手というより1年1カ月ぶりの出走。まして8歳馬という側面が大きかったと思う。
そんななか、福永騎手は枠なりにラチ沿いの中団をキープ。余計な動きはスタートから一切なかった。コーナーもすべてロスを消し、最後の直線で前にいたサトノフェイバー、トリコロールブルー、レッドガランら先行勢が下がってくるより先にその外側に最低限のモーションで馬を持ち出し、進路をきっちり確保。見事なまでにスマートな騎乗だった。
外からパフォーマプロミスを目標に併せにきたラヴズオンリーユーに対して、押圧されないように馬を左ステッキで誘導するアクションまで完璧だったといっていい。コントレイルの日本ダービーしかり、福永騎手のここ最近の騎乗は目覚ましいものがある。