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【鳴尾記念】パフォーマプロミス復活Vの立役者、福永祐一騎手は内枠でこそ買い!

2020 6/8 12:21勝木淳
2020年鳴尾記念位置取りⒸSPAIA

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福永祐一騎手の内枠での成績とは

3回阪神開幕週に組まれた宝塚記念のステップレース鳴尾記念は、昨年の天皇賞(春)3着以来1年1カ月ぶりの復帰戦となったパフォーマプロミスが、復活Vを遂げた。骨折による長期戦線離脱を強いられた8歳馬を、見事に仕上げた藤原英昭厩舎の厩舎力にも脱帽ものだが、1枠1番という絶好枠を最大限に活かした福永祐一騎手の手綱さばきが光った一戦でもあった。

福永騎手の内枠というと不安を覚えるファンは少なからずいる。今年のダービージョッキーに失礼ながら古い話をすると、16年スプリンターズSビッグアーサーがそんな不安の出発点になっているのだ。1番人気ながら1枠1番から終始スペースができず、詰まりっぱなしで終わってしまったレースはインパクトがある。

しかし、福永祐一騎手は内枠でも買えるジョッキーだ。過去5年(5/31まで)の芝レースにおける枠番別成績をみると、トップは7枠で勝率19.1%、複勝率40.1%だが、次位は1枠で勝率18.3%、複勝率47.2%でほぼ差はないに等しい。以後は3枠、2枠と続き、相対的に内枠の成績がいい。内枠への不安などファンの思い過ごしといってもいいのだ。

開幕週の馬場は、6週間の休養で絶好の状態。そうなればコーナー4回の内回り2000m戦ではロスが少ない内枠は断然有利なのは明らかだった。当然、10人気と評価が低かったのは福永騎手というより1年1カ月ぶりの出走。まして8歳馬という側面が大きかったと思う。

そんななか、福永騎手は枠なりにラチ沿いの中団をキープ。余計な動きはスタートから一切なかった。コーナーもすべてロスを消し、最後の直線で前にいたサトノフェイバー、トリコロールブルー、レッドガランら先行勢が下がってくるより先にその外側に最低限のモーションで馬を持ち出し、進路をきっちり確保。見事なまでにスマートな騎乗だった。

外からパフォーマプロミスを目標に併せにきたラヴズオンリーユーに対して、押圧されないように馬を左ステッキで誘導するアクションまで完璧だったといっていい。コントレイルの日本ダービーしかり、福永騎手のここ最近の騎乗は目覚ましいものがある。

ベテランが走ったら、夏がはじまる

1000m通過60秒0と息の入りにくい流れだったとはいえ、先行勢に味方した馬場状態で追い込んで4着だったサイモンラムセスには頭が下がる。

これが引退レースといわれているが、10歳まで走り68戦、8歳でオープン入りしたベテラン。深いブリンカーに独特な首の使い方、内にササるクセなど難しい部分すべてを把握しきった川須栄彦騎手の騎乗技術も、福永騎手の進路取りと同様にパトロールビデオでしっかり確認しておきたい。

また、暑い季節はしばしば高齢馬が底力のようなものを見せる傾向があり、鳴尾記念のベテラン好走は夏のはじまりを予感させるものでもあった。

後方から最後まで差を詰めてきた3着レッドジェニアル、中団から一瞬いい脚を使った5着アドマイヤジャスタの若い4歳2頭もこれからはじまる夏競馬、サマー2000シリーズを前にベテラン同様にきっちりチェックしておくべきだろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年鳴尾記念インフォグラフィックⒸSPAIA

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