「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【葵S】ダービー前日に函館2歳王者が復活した意義とは

2020 6/1 14:13勝木淳
2020年葵S位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

敗者復活戦として

第3回葵Sを制したビアンフェは、昨年夏の函館2歳S馬が復活を遂げた。思えば昨年13人気2着2着と大穴を開けたアスターペガサスも前年の函館2歳チャンピオンだった。

今週からはじまる2歳戦は、3歳春クラシックを一旦はゴールに展開される。最初の重賞は1200mの函館2歳S、最後はその倍にあたる2400m戦のオークス、ダービーである。クラシックとは距離延長の戦いともいえる。そこで距離の壁に進出を阻まれがちな函館2歳王者が、2年連続で馬券圏内に来た葵Sは予想以上にその意義は大きい重賞ではないだろうか。

古馬の距離体系は整備されつつあるが、クラシックを頂点にする2、3歳戦では短距離馬がこぼれがちになる。早熟というレッテルを貼られがちな函館2歳チャンピオンや、2歳夏場のオープン好走馬たちが敗者復活戦的にダービーの前日に重賞で好走する葵Sは、日程的にも絶妙なレースだ。

同時に我々はこれをきっちり馬券に活かすようにしたいものだ。2歳夏場に活躍後、距離の壁に阻まれ、成績を落とした馬は葵Sでこそ狙いなのだ。

解放されたビアンフェのスピード

ビアンフェは持ち前のスピードを生かす逃げ戦法で、京王杯2歳S2着まではよかった。だが、その後に距離の壁に阻まれ、それを打開するために長所であるスピードを抑えるという方向へシフトしていた。今回の1200m戦出走を機に、戦法を戻したことが最大の勝因だろう。

前半600m33秒5は、ゴールドクイーンが逃げ切った2年前よりも0秒4早い厳しい流れだった。しかし、セールスポイントを解放されたビアンフェは、ほぼ馬なりで外から悠然と先頭に立ち最後まで後続を完封した。全3勝1200mだった母ルシュクル譲りのスピードを全面に発揮できたことで早熟というレッテルを破った。今後も古馬相手でもスピードを全面に表現していけば、面白い存在になるだろう。

好位のインで立ち回った2着レジェーロに対し、4角で大外を回ったワンスカイはそのロスが響いた。直線でもコーナー同様に外へ張り気味でまっすぐ走っておらず、気性面なのかもしれないが、その点さえ解消されればこちらも短距離戦線で面白い存在になりそうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年葵S位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA