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【新潟大賞典】過去10年1番人気は0勝!人気の盲点をあぶりだすヒントとは?

2020 5/3 19:00勝木淳
2020年新潟大賞典インフォグラフィック
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Ⓒゲッティイメージズ

難解すぎるハンデ重賞

GⅠの裏開催にあたる新潟大賞典は例外なく難解なレース。古馬中長距離路線は前週に(昨年は同週)天皇賞(春)があり、2000m狙いの実績馬が回ってくる程度で手薄になりやすい事情も手伝い、対戦比較が難しい。また新潟外回り2000mという特殊でクセが強いコースがそこに輪をかける。

過去10年の新潟大賞典の成績

過去10年で前半1000mが後半1000mより速くなる、いわゆる前傾ラップは10年でわずか3回。ほとんどは後半が速い後傾ラップ、スローペースになる。その落差が大きな点は新潟外回り2000m戦らしい。19年は落差3秒、18年は4秒6も後半が速いという極端なラップになる。

しかしながら上がり最速馬が勝ったのは10年で4回、残る6回は上がり2位以下が勝利、勝ち馬の4角位置がふた桁だったのは3回のみでそれなりのポジションで回ってくる馬が平坦の長い直線を利用して粘り込むケースが目立つ。 そんな事前予想が難しい展開は人気にもストレートに表出する。

過去10年の人気別成績

過去10年で1番人気【0-1-3-6】と勝利数ゼロ。連対1頭、3着に3頭と苦戦。19年メールドグラースはのちにGⅠ馬となったが、当時は7番人気の伏兵にすぎなかった。

2番人気【2-1-0-7】、3番人気【2-3-0-5】は悪くはない数字なので、まずはこの辺に目をつけるべきだろう。それでも5~7番人気からも勝ち馬が出ており、10番人気【1-1-0-8】、11番人気【0-2-1-7】など穴党の出番も十分。先述したように対戦比較が難しいレースなので、人気の盲点が多く存在する。それを探したい。

カギは前走小回りコース出走

つぎに斤量別の成績を調べた。

過去10年の斤量別成績

53.5~55キロ【3-2-3-51】、55.5~57キロ【7-6-7-50】とほぼここから好走馬が出ている。荒れるとはいえハンデが著しく軽い馬は苦戦傾向で、57.5~59キロ【0-2-0-9】と斤量を背負わされた組も含め、重い方が有利である。だが、前出の主要斤量組は分母が多く、絞りにくいのが難点。さすがに斤量だけみても的中とはいかない。

過去10年の前走競馬場別成績

前走競馬場別成績をみると、福島【3-0-2-23】、中山【0-6-1-24】、小倉【1-0-2-12】と新潟外回り2000mとは真逆な小回りコース経由でここに出走する馬の成績がいい。

似た形態の東京【1-0-3-14】、中京【2-1-0-23】は悪くはないが、特に中京は回収値でみると単勝回収値66、複勝回収値28で上位人気馬の好走に限られる。中山は勝ち馬こそいないが2着が6頭、複勝回収値150、穴っぽいのは前走でイメージの異なる競馬を走っていた馬、この条件の大きな変化が人気の盲点を作っている。

前走福島組の着順別成績



福島組は単勝回収値93、複勝回収値53という数字らしく小回りといっても同じローカルという共通点から人気馬が目立ち、前走着順別でみても好走組に限られる。

一方、中山は前走4着以下から巻き返す組が目立つ。とくに前走10着以下だった組は【0-3-1-10】とこのレースで大きく着順をあげるケースがみられる。まさに人気の盲点だ。 前走福島は好走馬、中山は大敗組に目をつけよう。

内回りと外回りがある阪神は【3-2-2-26】だが、これも外回りより内回りから来る組が優勢だ。

前走阪神組のコース別成績

外回り1800m【1-0-0-5】で好走確率1/6ではあるが、複数頭好走馬を出しているのは内回り2000m【1-1-1-8】でどうも新潟芝2000mとは距離こそ同じながら競技がちがうコースから来る馬が気になる。ちなみに昨年のメールドグラースは芝内回り2200mの尼崎Sから連勝だった。また前走が阪神内回り芝2000mだった馬のその着順別成績は【1-1-1-8】となかなかの数字。

前走阪神組のコース別成績

前走阪神芝2000m組の着順別成績

中山と同様に10着以下だった大敗馬は【0-1-1-3】と巻き返すケースがみられる。 中山、阪神の芝2000m戦という新潟芝外回り2000mとは問われる適性がまったく違うコースで大敗してきた組に一変する馬が隠れている。人気の盲点はここにある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『 築地と競馬と』でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。

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