開幕週は高速馬場
春の最強ステイヤー決定戦、天皇賞・春(GⅠ・芝3200m)。史上5頭目の連覇を狙うフィエールマン、歴代最多の8勝を挙げている武豊騎手と初コンビを組むキセキなどが出走を予定している。
例年、春の京都開催は高速馬場となることが多いが、今年の京都競馬場はどのような馬場傾向となっているのか、先週末に行われた芝のレース傾向を振り返るとともに、出走馬の馬場適性を分析していく。
まずは4月25日(土)と26日(日)に芝コースで行われた12レースの結果を見ていく。

2000mで行われた3歳未勝利戦の2:00.5、1600mで行われた重賞のマイラーズCの1:32.4というタイムからも、超がつくほどではないが、開幕週らしく高速馬場だということが見てとれる。
上がりタイムも1600mの六波羅特別を勝利したステイオンザトップが32.9、3着ナリスが32.8という上がりタイムを記録するなど、速い上がりタイムが求められる馬場状態となっている。

しかし脚質を見てみると、先行馬が8勝、差し馬が4勝という内訳となっており、先行馬が有利ではあるが、例年以上に差し馬が好走できる馬場傾向にあるということが分かった。

3着以内に入った馬が直線で内から何頭目のコースを通ったかを調べてみた結果、最内と内から2頭目を通って勝利した馬はゼロ。内から3頭目が6勝、4頭目が3勝、5頭目が2勝、6頭目が1勝となっていた。もちろんロスなく乗るほうが良いに決まっているが、仮に外を回されることになったとしても、致命的にはならないだろう。
まとめると、「時計、上がりともに速い馬場」「ある程度流れに乗っていれば、差し馬でも台頭可能な馬場」と言える。しかし、問題はレース当日の天気。土曜日は晴れ予報となっているが、日曜日は午後から天気が崩れる予報となっている。極端な道悪にはならないと考えるが、稍重になることは想定しておいたほうが良さそうだ。
モズベッロは3200mへの適性が高い
ここからは馬場適性分布図をもとに注目馬の適性について見ていく。なお、縦軸はスピード型かパワー型かを示す指標、横軸は瞬発力勝負と持続力勝負のどちらに適性があるかを示した指標となっている。

【フィエールマン】
昨年の天皇賞・春では早めに進出しながらも、上がり34.5という長距離戦にしては速い上がりで勝利。3歳時の菊花賞でも上がり33.9を使うなど、スピード馬場への適性が高いことが見てとれる。多少の雨であれば問題はないが、馬場悪化は不安要素ではある。
【ユーキャンスマイル】
距離適性は高いが、瞬時に加速できるタイプではない点がマイナス材料。昨秋の天皇賞・秋やジャパンCのようにじっくり構えていると馬券圏外の可能性も考えられるが、フィエールマンよりは道悪適性はあると考えるので、馬場への対応は可能。道中の位置どりがカギを握るだろう。
【キセキ】
菊花賞を不良馬場で制してはいるが、2年前の天皇賞・秋とジャパンCの高速馬場でのパフォーマンスを高く評価しており、高速馬場で逃げるレースがベストだと考える。加えて、有馬記念、阪神大賞典と近2走は出遅れているので、スタートを決めることが絶対条件となる。人気と天気、スタートのリスクを考えると今回は、手を出さない方がいいと判断して無印とする。
【トーセンカンビーナ】
前走の阪神大賞典では2着となり、ステイヤーとしての適性の高さを見せた。しかしこの馬もスタートが遅く、位置どりが悪くなってしまうのが課題だが、2戦2勝と好相性の京都コースに変わるのはプラス材料。展開次第では、馬券圏内に好走することも可能だろう。
【モズベッロ】
前走の日経賞では後方からレースを進める形となったが、スタミナを要求される展開で外を回って2着まで追い込んできた。長くいい脚を使えるタイプなので、3200mへの距離適性は高そう。日経新春杯で重賞初制覇を果たした時のように、好位からレースを進められるのであれば、好走が期待できる。雨も味方につけられるだろう。
【ダンビュライト】
昨年は京都記念1着、京都大賞典2着と京都コースで実績を残した。先行力があり、高速馬場にも対応可能なので、穴で面白い存在だ。しかし、前走のジャパンCでは馬場入場時に暴走するなど、気性面に課題があり、今回は去勢明け。不安要素もあるが、配当妙味はある。
【メイショウテンゲン】
スタミナ豊富なステイヤーだが、重賞で好走している時の上がりタイムを見ると、36.7(弥生賞1着)、37.2(ダイヤモンドS2着)、36.0(阪神大賞典3着)といずれも上がりを要している。それだけに今の京都の高速馬場は合っていないが、大雨が降って道悪になれば急浮上してくる存在だ。
【天皇賞・春予想】
◎モズベッロ
○フィエールマン
▲ユーキャンスマイル
△トーセンカンビーナ
×ダンビュライト
☆メイショウテンゲン