「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【アンタレスS】前走3勝クラスの成績は【0-0-0-10】 連勝馬ベストタッチダウンに気掛かりなデータがいっぱい!

2020 4/19 06:00勝木淳
2020年アンタレスSインフォグラフィックⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

ベストタッチダウンの扱い

2012年にマイラーズCと入れ替わる形で春の阪神開催、そのフィナーレを飾るようになったアンタレスSは2月フェブラリーSから約2カ月、ダートグレード春の大一番帝王賞まで2カ月とローテーション的にはやや微妙な位置関係。ゆえに上がり馬の台頭には自然と警戒したくなる。今年でいえばベストタッチダウンだ。

3歳上半期までは芝路線を歩み未勝利は勝ったものの2勝目が遠く、夏の古馬との再編を契機にダート路線に矛先を変える。この路線変更が秋に結実、1勝クラスから3勝クラスまで3連勝でオープン入り。それも3戦ともにワンサイドゲーム、着差は1秒7、0秒5、0秒5、時計は1勝クラスが阪神ダ1800m良馬場で1分51秒0、3勝目の3勝クラス北山Sは京都ダ1800m重馬場1分48秒3とオープン通用の根拠として十分すぎるものだ。おまけにリーディングジョッキー川田将雅騎手が皐月賞ではなくこちらに参戦。初重賞挑戦のここも通過点といわれても異論はない。

ベストタッチダウンのパフォーマンスについて百も承知であえて逆らいたい。無謀とは知りつつ、それまでワンサイドで勝ちあがった馬がオープン緒戦の初重賞挑戦で競馬を崩すシーンを多く見てきた。ダート重賞戦線はベテランも強く常に層が厚い。

過去の傾向に照らし合わせると……

アンタレスSの傾向もベストタッチダウンにやや厳しい。

年齢別成績(過去8年)ⒸSPAIA

阪神開催になった過去8年で4歳は【1-4-2-22】と頼りなく、主力は5歳【6-1-1-17】と勝ち馬は5歳断然である。データから導かれる傾向からはベストタッチダウンよりコマビショウ、メイショウワザシ、ロードゴラッソを評価したい。

前走距離別成績(過去8年)ⒸSPAIA

こちらも過去8年で同距離の1800mは【1-3-7-59】ともっと多い出走頭数で結果はイマイチ。3着が7回あるあたりに難しさを感じる。

アンタレスSは距離短縮組が好成績で1900m【5-3-0-6】、2000m【2-0-0-15】と8年で7頭が短縮組である。コマビショウ、メイショウワザシはともにマーチS、ベストタッチダウンの北山Sも1800m戦。ここでロードゴラッソが一歩抜ける。

前走レース別成績※主要レースのみ(過去8年)ⒸSPAIA

マーチSは頭数が多く、いわゆる主要ステップだが【0-2-3-44】とその機能を果たせていない。また過去8年で前走が3勝クラスだった馬は【0-0-0-10】と散々。この10頭はすべて3勝クラス勝ちからの挑戦で、やはり昇級初戦で重賞挑戦は荷が重いようだ。

かわって好成績をあげているのが名古屋大賞典【4-3-0-4】、勝率36.4%、連対率、複勝率ともに63.6%で主要ステップはこちらだろう。本命はロードゴラッソでもういいだろう。

乗り替わりに強い浜中俊

ダメ押しというわけではないが、ベストタッチダウンに逆らう以上は肉づけが多いにこしたことはない。今回出走する騎手の過去5年間の阪神ダート1800m戦(1勝クラス以上GⅢ以下)の成績だ。

アンタレスS騎乗騎手の阪神ダ1800m戦騎乗成績(過去5年)ⒸSPAIA

ベストタッチダウンの川田将雅騎手は【29-21-11-60】リーディングジョッキーであり、元来ダートの中距離戦の成績が抜けていい騎手だけに納得だ。ここまでベストタッチダウンに不利なデータばかりだったが、このデータだけでも逆らわない方がいい雰囲気にさえなる。

ロードゴラッソに乗る浜中俊騎手は【14-11-14-60】で2位。さらに頼もしいのが、同条件での乗り替わり有無の成績だ。

浜中俊騎手の乗り替わり有無別成績(過去5年)ⒸSPAIA
川田将雅騎手の乗り替わり有無別成績(過去5年)ⒸSPAIA

川田騎手が乗り替わりも継続騎乗どちらも好成績なのに対し、浜中騎手は乗り替わり【12-6-9-47】、継続騎乗【2-5-5-13】と乗り替わりに強い。ここまで乗り替わりの成績がいいケースも珍しく、阪神ダ1800m戦での浜中騎手乗り替わりは単純に馬券作戦として使える。

ロードゴラッソを名古屋大賞典勝利に導いた川田騎手から浜中騎手への乗り替わりは巡り合わせとして面白いのだ。ベストタッチダウン以下の相手は距離短縮を中心に押さえる。

◎ロードゴラッソ
〇ベストタッチダウン
▲アングライフェン
△アナザートゥルース
×ウェスタールンド
×サトノプライム

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。