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【皐月賞】大外は絶好枠!東大HCの本命は敗北を糧に反撃に出る馬

過去3年の中山芝2000m枠順成績インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

とにかく前有利!

4月19日(日)に中山競馬場で行われる皐月賞(GⅠ・芝2000m)。牡馬クラシックの初戦を飾る一戦に、今年も精鋭18頭がそろった。前走GⅠからの直行となるコントレイル・サリオスの無敗馬2頭に加えて、ディープインパクト記念を制覇したサトノフラッグが人気を集めているが、これら3強を脅かす馬はいるのか。また、穴馬の台頭はあるのか。データを踏まえて検討しよう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

皐月賞・過去10年 1~3着馬の4角順位ⒸSPAIA

近年は前半5Fが58~59秒台前半と比較的に流れやすく、後半も最後までラップタイムの変動が小さいのが特徴。直線が短いため各馬が3角から4角にかけて早めに進出する展開になり、毎年のように見応えのある直線の叩き合いが展開される一戦だ。

4角5番手以内につけた馬が馬券の中心であり、近年は特に先行馬有利の傾向が著しい。昨年のサートゥルナーリアも4角ですでに前を射程に入れる競馬だったし、差し決着となった16年も向正面で強い向かい風となるコンディションのなかリオンディーズがハイペースで逃げたという明確な理由があった。そういった意味で、よほどの展開利がない限り先行馬の優位が揺るぐことはないだろう。

今年の場合、積極的に逃げたいのはキメラヴェリテくらいだが、1番人気が予想されるコントレイルをはじめ近走で先行して結果を出した馬が多い。例年どおり締まった流れになるのはほぼ確実だろう。近年の傾向に違わず、今年も先行馬が中心だ。

雨の影響がどう出るか

過去3年の中山芝2000m枠番別成績ⒸSPAIA

次に枠番別傾向。弥生賞ディープインパクト記念の際に紹介したときから傾向は大きく変わっておらず、4枠を中心に真ん中から内目の枠がやや有利。時計が出やすくなった直近の2、3回開催に絞ってみると、1~4枠の連対率が19.0%なのに対して5~8枠は12.0%にとどまっている。今年の3強はいずれも真ん中から内目の枠を確保しており、堅実な走りが期待できそうだ。

しかしながら、先週の桜花賞では想定外の大雨で本命馬が伸びあぐねる結果となっただけに、やはり心配なのは空模様。土曜にかけて降雨が予想されており、これまでの傾向が変化する可能性も十分にある。ふたを開けてみないと分からないが、現時点では極端に外差しが効く馬場にはならないものとして馬券を組み立てたい。

ヴェルトライゼンデの逆転に期待

GⅠ馬2頭に加えてクリスタルブラック、レクセランス、1勝馬テンピンと無敗馬が5頭そろった今年の皐月賞。昨年はサートゥルナーリアがディープインパクト以来となる無敗の皐月賞制覇を成し遂げたが、過去20年における無敗馬(中央無敗で臨んだコスモバルクを除く)の皐月賞成績は【3-1-5-9】というもので、単回収率23%、複回収率85%とさして強調できる数字ではない。過剰人気が世の常ならば、むしろ敗れたことで人気を落としそうな馬に妙味を求めたい。

以上を踏まえ、本命はヴェルトランゼンデとする。2走前のホープフルSは全体を通してあまり緩むところがなく、後半5Fも12.1 - 12.0 - 12.0 - 11.9 - 12.5と持続力が問われる展開。レースの質という点で皐月賞に直結するものと考えて良いだろう。そのレースでコントレイルの2着という結果は額面以上の価値がある。前走スプリングSではスローペースで勝ち馬のキレ味に屈したが、前哨戦の内容としては及第点。1Fの距離延長も歓迎であるし、逆転の目はあるはずだ。

かくのごとく買い材料には富んでいるのだが、やはり外枠に入ってしまったのが最大の懸念。初角に入るまでに上手くポジションを取れるかどうかが最初の関門だろう。積極的な競馬に期待したい。

2番手にコントレイル。前走ホープフルSでは好枠からすんなり位置を取って楽に抜け出す競馬であり、この時点では地力が違ったという印象。3強の中での信頼度という点ではやはりこの馬が一番だろう。ホープフルSと同じく内枠を引き当てたのも大きい。

3番手にはサリオスを推奨したい。前走の朝日杯FSでは前半3Fが33.8という速い流れを好位から追走する競馬で完勝。大型馬でスタートが特に鋭いというタイプではないが、マイル戦で好位を確保できるだけの先行力は魅力的だ。マイルからの距離延長や初めての中山コースなど不安要素も多いが、位置取りがモノを言うレースということでサトノフラッグよりも上位に評価したい。

2017年以降のGⅠ・前走からの間隔別成績ⒸSPAIA

前走GⅠからの直行を選択したこれら2頭であるが、昨年もサートゥルナーリアが直行ローテでの戴冠を果たしたように、外厩が発達した近年は十分に間隔を取ってレースに臨む馬がキッチリ好走する傾向にある。仕上がりを不安視する必要はないだろう。

以下、3強の一角であるサトノフラッグに加えて、共同通信杯で先行してマッチレースを演じたダーリントンホール、ビターエンダーの2頭を相手として押さえたい。当レースはかなりスローな展開で結果だけを過大評価したくはないが、両馬ともに馬場が多少渋ってもこなせそうな点や叩き合いでの強さは侮れないものがある。

京成杯で直線一気を決めたクリスタルブラックも不気味な存在だが、人気馬が力上位とみてここは印を回さないでおくことにする。ダービーを見据えるという視点では武豊騎手鞍上のマイラプソディにも注目したい。

▽皐月賞予想▽
◎ヴェルトライゼンデ
○コントレイル
▲サリオス
△サトノフラッグ
×ダーリントンホール
×ビターエンダー

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。