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【大阪杯】ダノンキングリーに黄色信号 高配の使者は今年も金鯱賞からやってくる

2020 4/2 06:00門田光生
大阪杯データインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

競馬が行われることの幸せ

コロナウイルスが終息する気配がなく、競馬もついに無観客でGIを開催。主要都市の多くは週末の外出を自粛要請している中、メインレースを中心に放送している民放やBSに加えて、グリーンチャンネルも無料で開放。

自宅でも問題なくレースは見られるが、テレビ越しに見ても、歓声が全くない状態でのレースはどこか味気なく、特に手拍子のないファンファーレは異様にすら感じた。当初は桜花賞までには、と思っていたが、どうもダービーまでに正常に戻っていれば御の字のように感じてきた。

とはいえ、開幕延期、または中断、中止というスポーツがほとんど。先のドバイもそうだが、競馬も開催が中止、または延期されている地域も多い。前回も書いたが、レースが行われていること自体が幸運なのかもしれない。そう、たとえ高松宮記念で◎を打ったクリノガウディーが1着降着したとしてもだ(泣)。


《高松宮記念予想記事》
【高松宮記念】出走できればぜひ買いたい!データから導き出された本命馬とは?

さて、4月5日(日)に阪神競馬場で行われる大阪杯は2017年にGIへと昇格。以前は天皇賞・春のステップレースとしての面が強かったが、GIとなった今はここを叩き台に、と考える陣営は少なくなったと思われる。

春の古馬三冠の緒戦となり、後半でいうところの天皇賞・秋の位置付けになるか。ただ、キタサンブラックのようにGI3連勝を視野に入れているスターホースなら大阪杯から全力投球となるだろうが、この後に続く天皇賞・春は距離も形態も違うこともあり、ダブルを本気で狙ってくる陣営が果たしてどれだけいるか。

このレースを含め、出走馬がどのGIに照準を絞っているかを見極めるのも大事になってくるだろう。今回も過去10年のデータを抽出して検証しているが、GIに昇格した2017年からのデータをより重要視した方がいいケースもあるはずだ。

昇格後のローテーションに注目

大阪杯出走馬の出走間隔(2010~2016)/大阪杯出走馬の出走間隔(2017~2019)ⒸSPAIA

ステップレースがGIに変わってしまったのだから、ローテーションはGI昇格後のデータの方を重要視した方がいいだろう。

例えば、GIに昇格する前の2010~2016年までは中3週【0-1-0-12】に対して、中10週以上は【2-2-6-15】。休み明けで登場してきた春の天皇賞を狙う実績馬が、すでに始動していた格下の馬を圧倒していたと読み取れる。

しかし、2017~2019年は中3週【2-1-1-10】、中10週以上は【1-1-0-9】と互角以上の成績となった。GI昇格後は中山記念や金鯱賞など、有力ステップレースを叩いてきた馬の方が有利とみたい。なお、休み明けでも有馬記念組だけは別格だったが、今年の出走馬にはいない。

大阪杯出走馬の前走(2010~2016)/大阪杯出走馬の前走(2017~2019)ⒸSPAIA

GI昇格後は特に金鯱賞組が強く、連対馬6頭中3頭が金鯱賞を使っていた。なお、金鯱賞は大阪杯が格上げされたことによって施行時期が移行されており、2010~2016年までは出走馬自体いなかった。今年でいえばサトノソルタス、ロードマイウェイがそれに当たる。

同じく有力ステップレースの中山記念組は昇格前【2-1-0-10】から昇格後【0-1-0-5】に、GⅡ時代は割と相性のよかった京都記念やAJCC組は、昇格後の連対馬はゼロ。GI昇格後のデータが少ないので評価が難しいところだが、小倉大賞典組は特に相性が悪いようで、GI、GⅡ時代を含めて馬券に絡んだ馬がいない。

今年はカデナ、ジナンボーの2頭出走しているが、不利なデータを覆すことができるだろうか。

大阪杯出走馬の性別ⒸSPAIA

今年はクロノジェネシス、ラッキーライラックという2頭の牝馬GI馬が出走して盛り上げにひと役買っている。ただ、ここ10年で牝馬が勝ったのは2015年のラキシスだけ。2頭にとって嫌なデータだが、GI昇格後は8歳牝馬のスマートレイアーしか出走しておらず、GI級の馬が出走したケースがない。

2頭とも牡馬相手に通用するのは証明済みで、本番でも好走する可能性は十分ある。ちなみに、5歳牝馬に限ると【1-0-1-1】と悪くない数字となり、この2頭なら4歳馬のクロノジェネシスより5歳馬のラッキーライラックを上に取りたい。

大阪杯出走馬の年齢ⒸSPAIA

牝馬は5歳が優勢だが、全体で見ると4歳馬と5歳馬の成績がいい。6歳馬となると数字が急激に落ちて、7歳以上となると勝率0%となってしまう。

所属別では栗東組が圧倒的。特に、GI昇格後の美浦組は一度も馬券に絡んだことがない。今年はダノンキングリーをはじめ4頭の精鋭がスタンバイしているが、厳しい戦いが待っているかもしれない。

昨年と同様のパターンに期待

大阪杯はGI昇格後のデータが少なく、そこをどう扱うかがカギとなりそう。まずは昇格前も昇格後も連対率0%の小倉大賞典組(カデナ、ジナンボー)、さっぱりな成績の7歳馬(マカヒキ)を消す。昇格前は勝率0%、昇格後は連対すらしていない美浦所属(クレッシェンドラヴ、サトノソルタス、ジナンボー、ダノンキングリー、ブラストワンピース)も消去対象。ただ、サトノソルタスに関しては好相性の金鯱賞組。今年は金鯱賞組が2頭しか出走していないこともあって保留しておく。

残ったのはクロノジェネシス、ステイフーリッシュ、ラッキーライラック、レッドジェニアル、ロードマイウェイ、ワグネリアン、そして保留中のサトノソルタス。

GI昇格後のデータ的で強いのは金鯱賞組。同様に有馬記念組も好成績を残しているのだが、今年は出走馬がいない。となると狙いは金鯱賞組で、その中で減点材料がないのはロードマイウェイだけ。その金鯱賞では2番人気に推されながら大敗したが、昨年の勝ち馬アルアインも金鯱賞で3番人気→着外から巻き返しての戴冠。今年も歴史は繰り返す。

大阪杯はほかに「前走から距離短縮」「ディープインパクト産駒」が好データ。それに全て当てはまっており、同様に減点対象がないのがワグネリアン。馬群を割って来たJCを見る限り闘志は衰えていないし、仕上がりに苦労するタイプでもない。現に昨年は神戸新聞杯からぶっつけで3着。これも有力候補だろう。

ローテーション以外に不満はないステイフーリッシュ、レッドジェニアルも連なら有力。そこに牝馬GI馬の2頭、そして保留中だったサトノソルタスは相性のいいディープ産駒ということで押さえておく。

◎ロードマイウェイ
○ワグネリアン
▲ラッキーライラック
△クロノジェネシス
×ステイフーリッシュ
×レッドジェニアル
×サトノソルタス

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
競馬ニホンが休刊となってもうすぐ2年。時がたつのは早いなと思いつつ、物忘れと老眼の進行の速さにも驚いている。