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【武豊騎手】ディープインパクト・キタサンブラックとの出会い GⅠ77勝を振り返る(後編)

2020 4/1 06:00高橋楓
武豊騎手インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

日本近代競馬の結晶ディープインパクトとの出会い

ディープインパクトとの出会いⒸSPAIA


前回に引き続き武豊騎手のGⅠ成績について見ていく。武豊騎手といえば、ディープインパクトではないだろうか。

日本近代競馬の結晶ディープインパクトの与えた衝撃は多くの競馬ファンの心に焼き付いている。ディープインパクトのGⅠ7勝は衝撃が大きくどのレースをピックアップしてよいのか分からない。

強いてあげるとすれば、「凱旋門賞」だ。天才・武豊とディープインパクトが日本競馬の悲願をついに達成するのではないか、あの日、日本中の競馬ファンが大きな期待を胸に、出走の時を心待ちにしていた。

結果は残念だったが、あの日のレース前の胸の高鳴りは生涯忘れられないだろう。



落馬~そして復活

落馬そして復活の軌跡ⒸSPAIA


2010年3月27日毎日杯。ザタイキに騎乗していた武豊騎手は大きな落馬事故に見舞われる。左鎖骨遠位端骨折、腰椎横突起骨折、右前腕裂創、全治半年。誰しもが復帰まで長い時間がかかる事を覚悟したが、その年にローズキングダムでジャパンカップを制覇し、やはり武豊騎手は凄いんだと多くの人に感じさせた。

しかし翌2011年には1988年のスーパークリークの菊花賞以降続いていたJRA連続GⅠ年間勝利記録が23年で途切れてしまう。この頃から武豊騎手の騎乗馬に変化が表れ始める。社台グループの勝負服で競馬場を走る回数が一気に減ったのだ。決して確執等があったわけではないはずなのだが、エージェント制度の導入や外国人騎手が多く入りはじめ一戦必勝のホースマンの世界に変化が訪れ始めた。

勝ち星が減ると「終わった」と周りから見られはじめ騎乗馬の質は落ちてしまう。馬の質が下がるので勝利数は減っていく。絶体絶命の悪循環だ。そんな中で出会ったのがキズナだ。キズナでダービーを制覇した武豊騎手はダービー最多勝利数を5へ伸ばした。スペシャルウィークでダービーを制覇するまで「武豊はダービーだけは勝てない」など揶揄されていたのが嘘のように鮮やかな勝利だった。

また、2016年に出会ったのがヤナガワ牧場生産、馬主大野商事のキタサンブラックだ。積み重ねたGⅠ勝利数は6勝。この馬との出会いがなければ、約10年で7勝しかGⅠを勝てなかったこととなる。7勝挙げれば十分かと思うが、一時期は10年で30勝を挙げていた武豊騎手には物足りない成績であったに違いない。

この2010年からは社台グループの騎乗は減ったが、非社台でGⅠ勝利を積み重ねた時代であった。

今は落馬事故前の様な成績ではないが、確実にターフに武豊騎手の存在感が戻ってきている。昨年は2009年以来、騎手リーディングトップ3の座に輝いた。2020年も現在3位と近年の活躍ぶりは目につく。 武豊騎手が制していないGⅠは朝日杯FSと近年新設されたホープフルSの残り2つとなっている。今でも武豊騎手を愛してやまないファン、馬主、ホースマンの関係者の方は多い。ぜひ全GⅠ制覇を果たせる馬との出会いを心待ちにしたい。

武豊騎手インフォグラフィックⒸSPAIA


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《ライタープロフィール》
秋田県出身。競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。