「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【日経賞】勝因は反応の良さにあり 天皇賞・春でミッキースワローは買い?消し?

2020 3/30 15:49三木俊幸
日経賞位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

残り1000mからペースアップ

日経賞位置取りインフォグラフィック

桜満開も無観客競馬でどこか寂しい気分になる中、3月28日(土)中山競馬場では天皇賞・春のステップレースである日経賞(GⅡ・芝2500m)が行われた。中山巧者のミッキースワロー、昨年の2着馬エタリオウという実績馬に加えて、前走の日経新春杯で重賞初制覇を果たしたモズベッロに人気が集まっていた。

スタートして気合をつけて先手を主張したのはヤマカツライデン。ソウルスターリングは折り合いに難しさを見せながらも、丸山騎手がなんとかなだめて2番手に落ち着き、正面スタンド前を通過。人気どころのミッキースワロー、モズベッロは後方4、5番手からレースを進める形となり、淡々と進んでいった。

レースが動いたのは、向正面の残り1000m標識を過ぎた時だった。なんとか折り合っていたソウルスターリングが耐えきれずにペースアップ。それまでハロン12秒台のラップを刻んでいたレースは残り1000mから800mのラップが11.3秒まで加速し、一気に縦長の隊列へと変わった。

3コーナーに差し掛かり、早めに外から進出したのはエタリオウとスティッフェリオ。内で粘るウインイクシードも粘ってはいたが、外2頭が並んだ状態で直線コースでの攻防へと移った。しかし、その動きを見過ごさなかったのが横山典騎手とミッキースワロー。瞬時に動ける器用さを生かして2頭をピッタリとマーク、直線でさらに外へと持ち出されると、しぶとく伸びるスティッフェリオを交わして先頭でゴールイン。

勝ちタイムは2:32.9、接戦となった2着争いを制したのは外から追い込んだモズベッロ。スティッフェリオは3着という結果に終わった。

天皇賞・春でも楽しみなモズベッロ

勝利したミッキースワローは、直線でフラフラする悪癖をみせたが、昨年の七夕賞に続いて重賞3勝目を挙げた。中山コースでの重賞成績は【2,2,0,1】と稍重で行われた前走のAJCC以外はすべて馬券に絡んでおり、コース相性の良さを改めて証明してくれた。そしてこの勝利で天皇賞・春の優先出走権を得たので、次走の舞台は高速馬場の京都3200mということになることが予想される。

高速馬場では2年前のジャパンC5着という実績があるが、勝ち馬アーモンドアイからは1.3秒も離されたものであり、コーナリングを上手く生かすタイプなだけに、外回りコースもベストな舞台とは言えないだろう。しかし、スタミナ比べとなった今回のレースで勝利できた経験はプラスに働くと考えるので、良馬場で人気がないようであれば穴候補として一考の余地はありそうだ。

2着のモズベッロは、後方からレースを進める形となった。ミッキースワローより1列後ろを追走し、勝負所で反応の鈍さをみせたが、長くいい脚を使って追い込んできたことを考えると距離延長は間違いなく歓迎材料。天皇賞・春に出走してきた場合は、面白い存在となるかもしれない。

重賞初挑戦で4着のサンアップルトンは、最後方からのレースとなってしまったが、大外から追い込んできたレースぶりからは着実に力をつけてきていることが伺える。重賞でも走れるメドが立ったので、次走以降も注目しておきたい一頭だ。

最後に触れておきたいのは、これが引退レースとなったソウルスターリング。前走の中山記念で3着と好走したが、古馬になってからの課題であった折り合いの難しさを露呈したラストランだった。しかし、2歳〜3歳春にかけての輝きをファンは決して忘れることはないだろう。産駒にもその能力の高さが受け継がれ、活躍する日を楽しみに待ちたい。