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【大阪杯】大阪杯はいまも昔も大阪杯!?GⅠ昇格で変わった傾向とは

2020 3/29 19:00勝木淳
大阪杯データインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

大阪杯とはどんなレースなのか

GⅡ産経大阪杯がGⅠ大阪杯になった2017年、GⅠ初代ウイナーはキタサンブラックだった。スワーヴリチャード、アルアインときて4年目。GⅠ昇格による大阪杯の傾向の変化とはどのようなものだろうか。

大阪杯過去10年勝ち馬成績ⒸSPAIA


2017年以前と以後にはどのような変化があるのか。過去10年の時計レベルを比較していくと、確かにGⅠ以後は2度1分58秒台が記録されている。ところがそれ以前の7年間も馬場状態とペース次第ではあるが、57秒台、59秒台も記録されており、昨年は良馬場で2分1秒0。時計面はあくまでレベルではなくペースによって左右されると考えた方がよさそう。

前半1000m通過は59~61秒とバラつきがあるが、後半は57秒台もありほとんどの年で後傾ラップ。11年は前半1000m59秒3-後半1000m58秒5、17年は59秒6-59秒3、前半やや突っ込んで入っても後半速くなるという傾向はGⅡ時代から変化がない。それは言いかえればハイレベルな決め脚比べという性質である。以前からGⅠに近いGⅡと言われていただけあって、古馬中距離路線のA級馬が出走するという状況に変わりない。

もちろん、上がり最速や次位といった決め脚に優れた馬の上位進出は必須ではあるが、勝ち馬でみるとそうでない馬も多い。これは勝ち馬は4角である程度の位置にいることを示し、内回り2000m戦という設定が原因だろう。ある程度の決め脚と機動性が必要な舞台、 それが大阪杯だ。

その傾向とは

ではどのような馬が好走するのか。具体的に調べていく。

前走距離別成績(過去10年)ⒸSPAIA


過去10年の距離別成績では1800~2000m組が優勢のようではあるが、これらは出走数も多く、確率でいえば2200~2500mの距離短縮組の成績がいい。前走2400m戦出走馬は【2-0-2-3】、前走2500m戦出走馬【2-2-3-10】は注目すべきだ。

これをGⅠ昇格後の過去3年で区切ってみる。

前走距離別成績(2017から19年)ⒸSPAIA


たった3年なのでなんともいえないところではあるが、2000m組【2-1-1-12】に対し2500m組【1-1-0-2】なので2500m組が優勢ではあるものの、GⅠ昇格後は前走2000m戦出走馬も盛り返している。これは中京の金鯱賞が前哨戦として移ってきた影響が出ている。大阪杯の有力ステップレースである金鯱賞はここまでは機能しているといえる。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

前走クラス別成績(17~19年)ⒸSPAIA


次にクラス別の成績だが、過去10年ではGⅢ以下からもまれに馬券圏内に来るような馬が見られたが、GⅠ昇格後はGⅢ経由でここに来た馬は壊滅し、かわりにGⅡ、GⅠ組で占められている。ドバイワールドカップデー(今年は残念ながら中止)が一週前にあり、GⅠ格にふさわしいメンバーが集まらないのではという懸念もあるなか、傾向としてはGⅠ格をしっかり守っているともいえよう。

前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

前走着順別成績(17~19年)ⒸSPAIA


着順別の成績では前走1着馬がさほど数字が高くない。これは過去10年もGⅠ昇格後も変わりない数字。GⅠ昇格後は勝率が高くなっているので、ジンクスというほど注目すべきではないかもしれないが、頭の隅には入れておきたい。また前走2着馬は過去10年では5勝と好調で、GⅠ昇格後も【1-0-1-5】なのでここは変わらず狙え目といえるだろう。10着以下からの巻き返しがないのも変わらないデータであり、6~9着組に注意しつつ、馬券の中心は前走で掲示板以内だった馬でよさそうだ。

以上をまとめると
・前走2200m以上出走
・そのレースはGⅡかGⅠ
・かつ掲示板以内だった馬となる。

登録馬でいうと、マカヒキ、ワグネリアンと友道厩舎のダービー馬2頭に注目となるが、さあどうだろう。金鯱賞2着サトノソルタスあたりも怖いのではないだろうか。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

大阪杯インフォグラフィックⒸSPAIA