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【ダービー卿CT】超難解ハンデ重賞!合言葉は昇級戦と距離延長、そしてデカイ馬

2020 3/30 06:00勝木淳
ダービー卿チャレンジトロフィーインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

気になる週末の天候次第で

中山マイルのハンデ重賞は京成杯オータムハンデ、ターコイズS、そして春のダービー卿CTとどれも難解なレースばかり。傾向をしっかりつかんで大きな馬券を狙いたいところだろう。まずは過去の傾向からみる。

ダービー卿CT過去10年勝ち馬成績ⒸSPAIA


近年は良馬場であれば32秒台の決着になるような時計勝負になる傾向があり、前半より後半が速いいわゆる後傾ラップになりがちで、昨年の45秒1-46秒6のような前傾ラップが少ない。中山のマイル戦というと前傾ラップになるレースがあり、差し・追い込みが届くようなシーンも目立つが、重賞のここはそこまでオーバーペースは少ない。必ずしも上がり最速の脚を繰り出す切れる馬が有利ではなく、4角5番手以内につけられる器用さが武器となるレースだ。

しかし、これらは良馬場での話。この春は週末に雨が降るような周期に入っており、ここは馬場が悪くなることも想定しておこう。この10年で稍重だったケースは2度(14、17年)あり、いずれも勝ち時計は1分34秒台後半で、ペースに違いはあっても勝ち馬は4角好位にいた。上がりタイムでは下位の記録(14年9位、17年11位タイ)。雨が降った場合は伸びはしないが渋く走るタイプを探したいところだ。

ハンデと馬体重

ハンデ戦ということで、斤量別成績を調べる。

斤量別成績(過去10年)ⒸSPAIA


正直、ハンデにはっきりした傾向はなさそうだが、53.5~55キロ、つまり54、55キロが【5-4-5-43】と出走数も多いが確率はそれなりに高い。極端に軽い馬ではなく、手頃な軽量馬から軸馬を探してみたい。では重ハンデ馬はどうか。ハンデ57.5~59キロの実績馬はどうだろうか。過去10年で【2-2-1-14】なので、トップハンデレベルのこのレンジに当てはまる出走馬がいれば、あえて狙いたい。ハンデ戦は重ハンデ馬を狙うという格言はここでも生きているといっていい。

重さついでに馬体重別の成績をみる。というのも中山はダート戦ではデカイ馬を狙えという作戦があるが、実は芝も同様なのである。ゴール前に急坂があり、上がり時計が速くならない中山はパワー型、つまりデカイ馬が有利。この作戦、ダービー卿CTでも使えるのだろうか。

馬体重別成績(過去10年)ⒸSPAIA


答えは「使える」のだ。

520㎏以上では【4-4-2-16】と好成績である。まずは当日の馬体重520㎏オーバーのデカイ馬をチェックしておくべきである。

狙いは距離延長組

ここからは前走成績を掘り下げていく。

まずは前走距離別成績である。

前走距離別成績(過去10年)ⒸSPAIA


マイル重賞というと、安田記念がそうであるようにどちらかというとマイル以上を走ってきた馬の距離短縮が強そうなイメージがあるが、ところがどっこい前走1800m【1-1-5-29】と3連複にはいいものの狙いは立ちにくい。前走1600m【5-7-4-63】でこちらも連下、3連複にはいいかもしれないが、なにせ同距離だけあって頭数が多く、確率としてはうーんという感じなのだ。

となると、前走1400m【4-2-0-21】である。3連単でアタマ狙いをしたいのであれば、前走1400mからの距離延長組に注目してみてはどうだろう。頭数は多くなく必ずしも出走しているとは限らないが、もしも発見したらお友達には教えずにこっそりマークしておこう。

昇級組の一発注意

続けて前走クラス別成績を調べる。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA


前走3勝クラス出走馬【5-1-1-8】で過去10年のうち5勝だから見逃せない。連単系のアタマ狙いに持ってこいだ。昇級組はハンデが必然的に先に述べた54~55キロに収まるので整合性も取れる。重賞を転戦してきた組より上がり馬が強く、戦力比較をしやすい重賞常連組をしのぐ。序列的に微妙になる昇級組が強い、これもダービーCTが難解である理由のひとつだろう。

ちなみに前走3勝クラス出走馬の前走着順別成績はすべて1着で、格上挑戦が成功した例は過去にない。

ではこの昇級組を掘り下げてみる。

前走3勝クラス出走馬の前走距離別成績(過去10年)ⒸSPAIA


これは意外なことに先に述べたような同距離、もしくは距離短縮より距離延長組が強いという図式が当てはまらない。といっても1400m組はたった2頭出走で1勝なわけで、軽視は禁物なのだが……。

昇級組で前走1600m出走だと【3-1-1-4】なので、昇級であればマイルからマイルへという図式は当てはまる。少しややこしくなってきたが、既成勢力であれば1400mからの距離延長を重視、昇級組はそれに加えて前走1600m組も評価するべしである。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

ダービー卿チャレンジトロフィーインフォグラフィックⒸSPAIA