「体操」は大きく分けて3つに分類
体操競技は長い歴史があり、夏季オリンピックでは1892年のアテネ大会から実施された。ただ、当時の体操には綱登りや棒高跳びのようなものなど、現在では別の競技になっている種目も存在していた。
オリンピックで体操競技が現在と同じ種目内容になったのは、男子が1936年のベルリン大会から、女子が1960年ローマ大会からだ。そして現在では体操競技(Artistic)、新体操(Rhythmic)、トランポリン(Trampoline)の3つに分類され、それぞれが別の競技として存在している。
この記事でご紹介していくのは、3分類のうち体操競技(Artistic)についてだ。
体操競技の種目は男女で異なる?
先述した通り、夏季オリンピックで体操が実施されたのは1896年の第1回大会からだ。ただし、この時実施された体操競技は男子のみで、女子の体操競技が始まったのは1928年の第9回大会、種目は団体総合のみだった。
その後、各種目の追加や除外があって現在の種目内容に至るが、団体や総合を除くと男子は6種目、女子は4種目となっている。そのうち、男女に共通する種目は床、跳馬の2つだけ。それらも細かい内容は男女で異なる。また男子の平行棒は、女子では段違い平行棒として実施されている。
男女別の種目名は次の通りだ。
- 男子:床、跳馬、平行棒、あん馬、つり輪、鉄棒
- 女子:床、跳馬、段違い平行棒、平均台
次に、主な種目について簡単な説明していく。
空中での美しい回転と着地が魅力の「床」
体操競技で使われる床材は「タンブリングバーン」という特殊な構造で作られている。
板材の下に反発材が入っているため飛び跳ねやすく、空中での高いジャンプを可能にしている。一方で床競技は着地した際の姿勢も採点に含まれるため、反発性のある床でもきれいに着地する必要がある。また、バランス維持が難しいポーズでの静止もポイント加算の対象だ。
現在の日本代表選手は床を得意としている。日本のエース・内村航平選手をはじめ、シライ/グエン、シライ?U、シライ?Vと複雑で美しい回転ひねり技を次々と披露する白井健三選手も得意種目を床としている。加藤凌平選手も床が得意だ。
跳馬では近く「シライ/キムヒフン」を超える大技が出る可能性も
跳馬は跳躍中に繰り出す技の完成度と芸術性、跳躍時や着地での安定度で採点され、その得点を競う種目だ。
跳馬の手前に置かれたロイター板で踏み切り、跳馬に手をついて跳躍する。助走をつけるので飛距離をとることもできるが、決められた範囲内に着地しないと減点対象になるため、遠くまで跳ぶ必要はない。
日本代表の白井健三選手は、跳馬においても「シライ/キムヒフン」という自身の名が冠された技を持っているが、これに半回転のひねりを加えた新技を開発中との情報もある。
ダイナミックな動きが連続する鉄棒は体操競技ファンに人気
鉄棒は男子のみで行われる種目だが、体操ファンには人気がある。その高さは280cmもあり、体操競技用のしなる鉄棒が使われている。
演技中は静止をせず、常に動きがある状態から技が組み込まれ全体が構成される。正面、逆面、背面による車輪や方向転換、両手を同時に離して再び棒を握るなどの技があり、非常にダイナミックな種目だ。
個人・団体の両総合では鉄棒が最後の種目となるため、特に接戦では鉄棒の採点が極めて重要となるケースがある。リオ五輪では内村航平選手が最終の鉄棒で逆転、見事個人総合のオリンピック2連覇を果たした。
まとめ
リオ五輪で男子日本代表は、エースの内村選手と白井選手、加藤選手ら若い力の台頭で「体操ニッポン」の肩書に恥じない成績を残した。
今後も続く国際大会に向けて、さらなる飛躍と、それに負けない女子の躍進に期待しよう。