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渋野日向子、鈴木愛の五輪代表入りに暗雲 新型コロナでランキングポイントの加算が当面不可能に【新型コロナウイルス特集】

2020 3/12 06:00akira yasu
渋野日向子選手(右)と鈴木愛選手Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

男子より女子に大きな影響

世界中のスポーツにも影響を及ぼしている新型コロナウィルスの感染拡大。日本ゴルフ界でもトーナメント開催にあたり大打撃となっている。

特に女子ゴルフへの影響が大きく、日本女子ツアーでは3月5日からの開催を予定していた開幕戦のダイキンオーキッドが中止となった。さらに、13日からの明治安田生命レディスも中止が決定し、ツアー開幕の見通しが立っていない状況だ。

開幕の延期は東京オリンピック(五輪)の日本代表争いにも影響する。各国の五輪代表は2020年6月30日時点のオリンピックランキングで決まり、15位以内の選手は1カ国につき最大4名までの出場が認められる。16位以下は1カ国につき最大2名までとなっている。

そのため、日本代表入りを狙う選手にとっての競争相手は日本人選手だけでなく、6月30日時点で世界ランキング15位以内に入ることが可能な海外ツアー選手も含めた全選手となる。

3月11日時点で15位以内にランクインしている日本人選手は畑岡奈紗(5位)、渋野日向子(12位)、鈴木愛(14位)の3人。

米女子ツアーは3月19日からのファウンダーズカップから再開するが、日本ツアーは再開の目途が立っていない。日本ツアー選手のライバルでもある米女子ツアー選手たちはランキングに加算されるポイントを稼ぐことが可能だが、日本女子ツアー選手はポイントを稼ぐことができない。このまま日本女子ツアーの開幕が長引けば長引くほど、米女子ツアー選手との差が広がる可能性は大きくなる。

日本代表圏内の渋野日向子

ランキング12位の渋野日向子は、日本ツアー開幕前に米ツアー2試合に出場を予定していたものの、その2試合とも中止になった。日本ツアーよりもポイントが高い米ツアーで上位に入ることができれば日本代表入りの可能性を一気に高めることができたが、その2試合とも中止になったためそれは叶わなかった。

しかし、ポイントは加算できなかったのは、これから世界ランキングを争う相手となる日本ツアー選手も米ツアー選手も同じなので、渋野にとってはさほど痛手ではいと考えられる。

ただ、米ツアーの試合は開催されて日本の試合が中止、という期間が続くようだと、世界ランキング15位以内かつ日本人選手2番手の渋野でもゆったりとは構えていられない。日本ツアー開幕と同時のスタートダッシュが必要になる。

日本代表入り当落線上の鈴木愛

3月11日時点での世界ランキング14位の鈴木愛は渋野以上に心中穏やかではないはずだ。

現状、日本人選手3番手で世界ランキング14位。日本代表当落線上にいる。自分自身はポイントを加算できず、海外ツアー選手たちは地道にポイントを加算する。そんな状況が長引けば、日本ツアーで二度の賞金女王に輝いた経験豊富な鈴木といえど、焦りを感じないはずがない。

鈴木は昨季11月の日本開催の米ツアーTOTOジャパンクラシックで優勝し、今季の米ツアー参戦資格を獲得したが、東京オリンピック日本代表入りのためには日本で戦うことがベターだと判断し、米ツアー参戦資格を放棄し日本で戦うことにした。

この判断は結果として裏目に出てしまった。いつになるか不透明だが、開幕と同時に好成績を出すことができるか、シーズン早々、鈴木には勝負の時が訪れている。

大逆転での日本代表入りを狙う選手たち

世界ランキング59位ながらも日本勢4番手の稲見萌寧など、代表入り圏外から大逆転で代表入りを目指している選手もいるだろう。日本ツアー今季序盤での活躍、6月4日からの全米女子オープン出場権獲得。そして同大会上位進出により世界ランキング15位以内、もしくは日本人選手二番手、というシナリオを描いている選手もいるはずだ。こういった選手たちについても日本代表入りの可能性は消えたわけではないが、ハードルは高くなったと言えるだろう。

どれだけ自分のペースを保てるか

渋野も鈴木も、代表入り圏外から大逆転を狙う選手たちも、試合や試合のための調整は慌てず焦らず自分のペースに徹する必要がある。2019年、渋野は無欲で臨んだ全英女子オープンで優勝した。当時の渋野は怪我から復帰して間もなかったこともあり、あまり欲を出さなかったことが功を奏してか3連勝して、賞金女王を手繰り寄せた。

気持ちが揺れてしまうような状況下ほど無欲が武器になる。ここからは、五輪に対する欲と焦りを捨て去り、眼前の一打に集中することが、代表入りの必須条件となるかもしれない。


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