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松山英樹のパッティングスタイル変更後の成果は 3年ぶり米ツアーVへSGP改善なるか

2020 2/27 11:00akira yasu
松山英樹Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

勝者との差はパッティング

2月20日から2月23日に開催された米ツアーWGCメキシコ選手権で松山英樹は優勝を争った。結果6位だったものの3年ぶりの優勝が近いことを感じさせる内容だった。だが、優勝のためには一つ欠けているものがあるように見える。それはパッティングである。

WGSメキシコ選手権での、パッティングのスコアへの貢献度を示す米ツアー独自の指標SGP(ストローク・ゲインド・パッティング)は優勝したパトリック・リードの1位(出場選手72人)に対して松山英樹は33位だった。

一方、ティショットからグリーンオンするまでのショットの貢献度を示すSGT2G(ストローク・ゲインド・ティー・トゥー・グリーン)はパトリック・リードの16位に対して松山英樹は2位。ショットでは勝者の上を行っていたが、グリーン上で大きな差が生まれたということだ。

昨季パッティングスタイルを変えた松山

松山は元々ショットの精度は米ツアートップレベル。SGT2Gは毎年上位に入っている。一方、SGPは毎年下位。高精度のショットをパッティングでふいにし優勝できなかった大会はWGCメキシコ選手権以外にもある。

松山英樹の年度別SGT2G

松山英樹の年度別SGP

松山はそんな現状を打破すべく、昨季パッティングスタイルを変えた。これはマイナーチェンジというよりもモデルチェンジに近いものだ。

松山は元々広いスタンス幅で重心を落とし、両腕でしっかり五角形を作っていた。背中のラインをまっすぐにして体をできる限り固定し、より機械的にまっすぐクラブを動かそうとしているのが見て取れた。しかし、昨季からはスタンス幅を狭くし重心を上げ、背中のラインに丸みを出しリラックスした自然体のストロークを目指していることがうかがえる。

松山は完璧主義者だ。米ツアーではショットの結果と打ったあとのリアクションが一致しない選手として知られている。

あわやホールインワンというショットを放ってもいら立ってクラブを地面にたたきつける仕草を見せたりする。スイング中にうまくアジャストして良いショットを打つことができても、イメージ通りの動きができていないと納得いかないからだ。

パッティングでも寸分の狂いなくクラブを動かし、0コンマ数度のフェースの向きのずれも許さない完璧さを求めていた。それ故に、かたさが感じられるアドレスや動きだった。

もちろん、パッティングでは少しのずれで大きく結果がかわるため再現性が高い動きが求められる。しかし、そこを求めすぎると動きがかたくなり、良いリズム、テンポで打てなくなり、逆に再現性を失いやすくなるという側面がある。

松山の変えたパッティングスタイルではそのかたさが和らいでいる。慣れというものがあるのでまだ結果には表れていないが、今のスタイルの方が中長期的に見た時に安定感を得られるのではないだろうか。

3年ぶり米ツアー優勝に期待

アイアンショットの安定感は目を見張るものがある。下位に沈むSGPでありながらフェデックスカップポイントランキング上位30人のみが出場できるツアー選手権に6年連続出場していることもアイアンショットの精度の高さを物語っている。

新しいパッティングスタイルが体になじみ、効果を発揮すれば、3年ぶりの米ツアー優勝どころかメジャー優勝や米ツアー年間王者、世界ランキング自己最高位(2位)を更新し1位になった松山英樹を見ることができるかもしれない。