日本ツアーが開幕
1月16日から19日、日本ツアー開幕戦SMBCシンガポールオープンが開催され、東京オリンピックで日本代表入りを狙う石川遼は24位タイとなった。男子日本代表は2名になることが濃厚で、日本のエース、松山英樹の代表入りはほぼ確定している。残る枠は1つ。日本代表入りへ向けて厳しい状況にいる石川はスタートダッシュを決めて世界ランキングを大きく上げたいところだったが、大会後の世界ランキングは3ランクアップの80位にとどまった。
1月16日から19日、日本ツアー開幕戦SMBCシンガポールオープンが開催され、東京オリンピックで日本代表入りを狙う石川遼は24位タイとなった。男子日本代表は2名になることが濃厚で、日本のエース、松山英樹の代表入りはほぼ確定している。残る枠は1つ。日本代表入りへ向けて厳しい状況にいる石川はスタートダッシュを決めて世界ランキングを大きく上げたいところだったが、大会後の世界ランキングは3ランクアップの80位にとどまった。
石川はショットのより高い精度を求めてスイングを改造し続けている。それも、シーズンオフ、シーズンに入ってからのオープンウィーク、大会期間中を問わずスイング改造を試みている。
スイングはデリケートだ。ほんのわずかな動きの変化でさえもスイング全体のタイミングが大きく変わることがある。ボールをコントロールできなくなることを恐れ、直した方が良いと分かっていてもそこに着手できない選手もいる。だが、石川は「試合は最高の練習の舞台」と公言しているように、大会期間中であっても眼前の1球の結果だけでなく、先を見据えてのスイング改造を重視。世界で注目されている理論の中から自分に必要と感じられたものを取り入れ、実践しているのだ。
石川はフェアウェイキープ率が悪い。石川のスイングのウィークポイントは、ダウンスイングで手元が浮き、クラブヘッドが垂れ下がってしまうことだ。これはドライバーショットで顕著に表れている。こうなると、基本的にはフェース面が開いて右にプッシュしやすくなる。もしくは、それを回避しようとフェース面を返し過ぎてしまい、左に引っ掛けやすくなる。
それを改良するべく、これまでゴルフ界で取り上げられてきた「スタックアンドチルト」や「パッシブトルク」などを意識し、取り組んできた。そして、昨シーズンから取り入れているのが「ジョージ・ガンカスメソッド」だ。「GGスイング」とも言われている。
世界で注目されている「GGスイング」の特徴の1つであるダウンスイング初期に、右腰や右肩を高く維持する独特な動きをイメージすることで、手元の浮きを抑制しフェース面の安定を図ろうとしている。
昨シーズン、日本プロゴルフ選手権、セガサミーカップと2連勝した。2009年にはミズノオープンからコカ・コーラ東海クラシックまで9戦して4勝した。2018年は千葉オープン、岐阜オープンと2日間競技の地方オープンではあるものの2連勝した。2年連続賞金王になった今平周吾のような年間を通した安定感は無いものの、勢いに乗っている時に圧倒的な強さを発揮するのが石川の特徴だ。
元々、フェアウェイからのショットには定評がある。米ツアーの中でもフェアウェイからのショットは高いレベルにあった。しかし、ラフからになると精度を落とした。現時点での米ツアー参戦最終年の2017年、50ヤードから250ヤードまでのショットの精度はフェアウェイ、ラフトータルで平均58.88位だった。ラフからは平均74位。フェアウェイとラフで比較すると順位の平均の差はもっと大きくなるということだ。
石川が「GGスイング」で必要なポイントを獲得し手元の浮きを少しでも抑えることができれば、フェアウェイキープ率が向上し2打目はフェアウェイから打つことが増える。そうすると、バーディチャンスも増えるだろう。バーディ数が増えると、高い勝率や連勝が期待できる。
昨シーズンは最終戦の日本シリーズで優勝した。今季初戦は24位タイと振るわなかったが、スイング改造はある程度順調に進んでいるとみて良いかもしれない。
問題はこれからだ。日本ツアーの第2戦は4月に開催される東建ホームメイトカップ。代表入りするには、代表決定までの日本ツアー残り6戦中3勝ほどが必要な状況とみられている。石川は東建ホームメイトカップまでに世界ランキングを上げるため、米ツアーなど海外を転戦予定とのこと。そこで好結果を出せば日本ツアーで必要な獲得ポイントを減らすことができるが、代表入りが厳しいことに変わりはない。
まずは1勝。今季3戦目の中日クラウンズまでに1勝して、世界ランキングに反映される大きなポイントを獲得できれば、勢いづけるかもしれない。そうなると、中日クラウンズ後の代表決定前日本ツアーラスト4戦2勝で計3勝となる。ちなみに、中日クラウンズは2010年大会で石川が最終日に当時の世界最少スコア58を叩きだして優勝した縁起が良い大会だ。
果たして今回のスイング改造は石川にはまるのか。日本のゴルフファンが期待する松山、石川ペアの形成へ向けて、石川のオリンピックイヤーの戦いが始まった。