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渋野日向子 金メダル獲得に向けた課題のバンカーショットとの向き合い方

2019 12/22 06:00akira yasu
渋野日向子Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

サンドセーブ率向上が課題

全英女子オープンを制し一躍時の人となった渋野日向子は、今季の平均バーディ数が史上2人目の4.0越えで1位となった。ただ、強気のパットでバーディを量産する一方、グリーン周りからのバンカーショットでは苦しんだ。グリーンサイドバンカーに入ってから2打か1打でカップインする率を表すサンドセーブ率は、43.3735で34位だった。サンドセーブ率には、ファーストパットのカップイン率が大きく影響するので、渋野は平均パット数が2位でパットが得意だということを踏まえると、バンカーショットの精度はこの順位よりも下かもしれない。

東京オリンピックで日本代表に入るだけでなく、金メダル獲得を目標としている渋野は、オフの間、バンカーショットと向き合わなければいけない。

大きくて深いバンカーが特徴の霞ヶ関カンツリー倶楽部

渋野は優勝した全英女子オープン開催前に「リンクスだったら完全に予選落ちですけど、今回のコースは日本的なのでもしかしたら予選を通るかもしれない」とコメントしている。このコメントは、今回は日本でよくプレーするタイプのコースなのでチャンスがありそうだが、もし海沿いでバンカーが多いリンクスコースだったらチャンスはなさそう、という意味だ。リンクス特有の海風に対応できるかどうかという不安だけでなく、同じくリンクス特有の深いバンカーに対する自信の無さの表れだろう。

全英女子オープン開催コースのウォーバーンゴルフクラブ・マーキスコースは、イギリス特有のリンクスコースではなく、林間コースでバンカーが少なかった。好調なショットだけでなくコースも味方して、4日間で1回のバンカーショットで済んだことが優勝を後押しした。

渋野が今季日本ツアーで挙げた4勝の内、3勝はバンカーに2回までしか入れていない。茨城ゴルフ倶楽部開催のワールドレディスチャンピオンシップではバンカーに3回入れたが、これは予選通過選手の中で2番目に少ない。

東京オリンピックのゴルフ競技では、これまで日本オープンや日本女子オープン、カナダカップ(現ワールドカップ)など権威ある試合が開かれてきた、霞ヶ関カンツリー倶楽部が会場である。

霞ヶ関カンツリー倶楽部はグリーン周りに大きくて深いバンカーが多くある。渋野が東京オリンピックに出場できれば、バンカーが鍵になりそうだ。今季挙げた4勝と同じようにバンカーをうまくかわしてのプレーか、深いバンカーでも苦にしないバンカーショットの技術習得が必要となる。

バンカーをかわすコースマネージメントが必要

安定して深いバンカーからボールをふわりと上げて距離を合わせる、という技術は、渋野がこれまでしてきた体の動きや腕の使い方と大きく異なる可能性がある。それは、その新しい動きに着手した時に、現在の渋野独自のイメージを生かした動きが難しくなる可能性が生じることを意味する。バンカーショットだけでなく、アプローチショットや、ドライバー、ミドルアイアイアンなどのロングゲームへの影響もありうる。

体幹の強さを生かしたゆるみの無いスイングやストロークが武器の渋野が、クラブの操作を手先に頼ってスイングやストロークにゆるみが出ると、良いプレーは難しくなる。深いバンカーを苦にしないバンカーショットに関しては、中長期的にじっくりと取り組むと良いだろう。晴れて東京オリンピックゴルフ女子日本代表選手として霞ヶ関カンツリー倶楽部でプレーするなら、新しい技術の習得を目指すより、今季挙げた4勝と同じように、バンカーをうまくかわすプレーを目指してはどうか。これまで以上にバンカーをかわすことが難しいコースセッティングになるかもしれないが、それが賢明と思われる。

日本代表選手は他国の代表選手よりも、霞ヶ関カンツリー倶楽部でより多くの練習ラウンドをこなせるため有利となる。渋野はこの練習ラウンドで、バンカーをかわしてスコアメイクするコースマネージメントをしたいところだ。コースマネージメント通りにプレーできず、バンカーに入ってしまう時の対策としては、今持っている技術に磨きをかけるべく、これまで大事にしてきた基本動作の徹底した反復練習に取り組みたい。今持っている技術の精度にもまだ向上の余地があるはずだ。

東京オリンピックまで7か月あまり。スマイリングシンデレラのストーリーはまだ続いている。

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