日本初開催の米ツアーでサム・スニードに並ぶ
最終日、おなじみの赤いシャツで約3メートルのウィニングパットを沈めた。
豪雨による順延で10月24日から28日の5日間開催となった、日本初開催の米ツアーZOZOチャンピオンシップはタイガー・ウッズが優勝した。今年4月のマスターズでの奇跡のメジャー復活優勝以来だ。
米ツアーの2019-20シーズンは9月から始まっているが、タイガー・ウッズの2020年度シーズン初戦は今回のZOZOチャンピオンシップ。2018年、2019年は12月のヒーローワールドチャレンジ(非公式)がシーズン初戦だったことを考えると、近年の中では早いシーズンのスタートと言える中で、最高の形となった。
今回の優勝でサム・スニードの米ツアー歴代最多勝利記録の82勝に並び、世界ランキングも東京オリンピックのアメリカ代表の圏内に入った。
ショットとパットかみ合いバーディ量産
大会中のフェアウェイキープ率はラウンドが進むにつれて向上し、7位タイ。パーオン率が3位タイ。そして、パーオンしたホールでの平均パット数は1位。
第1ラウンドのスタート2ホールではパーオンせず、3ホール目ではパーオンしながら3パットをし、3ホール連続ボギーとしたが、4ホール目以降ショットとパットが噛み合い、結果72ホールで27個のバーディを積み重ねた。
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本人も認めているように、度重なる故障などの影響もあり、全盛期のようなティショットで他の選手たちより飛距離を出し短いクラブでグリーンを、そしてピンを狙う、という攻め方はもうできない。
一年間で3つのメジャーを制した1999-2000年シーズンはドライビングディスタンスが2位だったが、昨季のドライビングディスタンスは71位相当(ラウンド数の関係で正式なランキングに反映されない)となっている。
1999-2000年シーズンのドライビングディスタンス1位はジョン・デーリーの301.4ヤードだった。そして、2位がタイガー・ウッズで298.0ヤード。3位がデービス・ラブ・3世の288.7ヤード。ジョン・デーリーとタイガー・ウッズが3位以下を大きく引き離していることが分かる。ということは、タイガー・ウッズは、ジョン・デーリー以外の選手に対し、有利な状況から第2打を打っていたことになる。
一方、2019年度のドライビングディスタンス1位はキャメロン・チャンプで317.9ヤード。そして、タイガー・ウッズは71位タイ相当で296.8ヤード。現状は2000年度とは逆に、多くの選手に対し、タイガー・ウッズの方が不利な状況で第2打を打っていることになる。
米ツアー歴代最多勝利新記録を樹立し、そして東京オリンピックアメリカ代表になる為には、今回のZOZOチャンピオンシップでそうだったように、飛距離的に他の選手よりハンデを背負った状況から、ショットの正確さとパットを噛み合わせてバーディを取り、パーオンできなかったホールでもしぶとくパーを拾っていく必要がある。
東京オリンピックアメリカ代表圏内に
タイガー・ウッズは来シーズンのZOZOチャンピオンシップだけでなく東京オリンピックにも「出場したい」と、出場に意欲を示している。
東京オリンピックの出場権は国際ゴルフ連盟が発表するオリンピックゴルフランキングから決定される。いくつかの条件があるが、その一つに15位までは各国最大4名出場できるというものがある。タイガー・ウッズは、今回の優勝で世界ランキングを6位とし、オリンピックゴルフアメリカ代表候補の4番手となり、代表圏内に入った。
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1998年のカシオワールドオープンが日本ツアー初出場のタイガー・ウッズは、ZOZOチャンピオンシップの優勝で、日本での6試合で3勝、勝率50%となった。日本のコースと相性が良い。
東京オリンピック開催コースは埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部。2020年は千葉だけでなく埼玉でも、相性が良い日本のコースを味方につけ、進化した強いタイガー・ウッズを見ることができるかもしれない。