ミヤギテレビ杯 ダンロップ女子オープンで初優勝
ウィニングパットを決めた後、優勝をかみしめるように小刻みなガッツポーズを10数回繰り返した。
2019年9月27日~29日に開催されたミヤギテレビ杯 ダンロップ女子オープンでアマチュア時代から大器と謳われていたプロ6年目の柏原明日架が、悲願の初優勝を遂げた。
「15番パー3のティショットを打ったあとに優勝を確信した」と言う柏原。ダンロップ女子オープンの開催コースの利府ゴルフ倶楽部15番ホールはグリーンの手前から左サイドに池がある。
片山津ゴルフ倶楽部で開催された4年前の日本女子オープン最終日、柏原は最年少メジャー優勝を狙える状況にあったが、17番ショートホールでティショットが左の池につかまり優勝争いから脱落。苦い記憶が頭をよぎる中でのショットだった。
今回は、15番ホールのティショットはグリーンをオーバーしたが、ピン方向へまっすぐボールを飛ばした。4年前のトラウマに打ち勝つことができたのではないだろうか。第2打もグリーン奥からから難なく寄せてパーでしのいだ。
ミヤギテレビ杯 ダンロップ女子オープンは縁起の良い大会
柏原はプロ入り2年目の2015年から4年連続で賞金ランキング50位以内の選手に与えられる賞金シードを獲得している。プロ入り2年目は20試合の出場でありながら50位に滑り込んだあたりはさすがだ。
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しかし、2018年はシード落ちのピンチが訪れた。2017年まで毎年徐々に賞金ランキングを上げてきたが、2018年はシーズン終盤まで賞金シード当落線上にいたのだ。
最終的に賞金ランキング44位で終え賞金シード権を獲得したが、賞金ランキング50位で終えた選手の獲得賞金を超えたのが、今回初優勝となったダンロップ女子オープンである。
2018年は11位に入り賞金シードを決定付け、2019年は初優勝と柏原にとって縁起が良い大会のようだ。
ショートゲームの安定感は女子プロゴルフ界トップクラス
柏原は宮崎県出身である。ジュニア時代は、男子ゴルフトーナメント「ダンロップフェニックス」が開催されていることでも知られている、宮崎県のフェニックスカントリークラブの練習場で、徹底的にパッティングやアプローチなどのショートゲームの腕を磨いた。
その甲斐あってか、プロデビュー以降、パットが高いレベルで安定している。今季は平均パット数が1位だ。
また、パーオンしないホールでパーかそれより良いスコアを獲得する率を表すリカバリー率や、グリーンサイドバンカーから2打以内でカップインする率を表すサンドセーブ率が、今季飛躍的に向上した。
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今回のダンロップ女子オープンでも、平均パット数が1位で、サンドセーブ率が1位タイとなり、得意のショートゲームで腕がさえた。
年下の世代が台頭
柏原はプロ6年目の23歳。まだまだ若手ではあるものの「毎年若い選手が出てくるので焦りがあった」と語っている。
今季旋風を巻き起こしている柏原の3学年下の黄金世代や、プロ入りが控えている、黄金世代の2学年下のプラチナ世代の存在を考えると、「若手」と悠長に構えてはいられないのは当然だろう。
安定感のあるショートゲームを武器にしての、黄金世代やプラチナ世代との戦いがこれから楽しみだ。