「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

渋野日向子、1億円の大台へ記録ずくめの挑戦 日本女子プロ選手権

2019 9/12 06:00田村崇仁
数々の記録に挑む渋野日向子Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

メジャー3連勝へ大一番

2度目の挑戦で昨年7月のプロテストに合格した思い出のコースに「スマイル・シンデレラ」になった渋野日向子が戻ってきた。女子ゴルフの国内四大大会第2戦、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯は12日から4日間、兵庫県のチェリーヒルズGCで行われ、人気の沸騰と勢いが止まらない20歳の渋野が数々の記録に挑戦する。

今年5月の国内四大大会初戦、ワールド・サロンパス・カップでツアー初優勝。8月の海外メジャー「AIG全英女子オープン」では日本人女子選手として樋口久子以来、42年ぶりの栄冠に輝いた。今週は国内四大大会2連勝、海外を含めるとメジャー3連勝を目指す大一番となる。

注目される記録は(1)連続オーバーパーなしラウンド(2)日本人史上2人目のルーキーイヤーでの賞金1億円突破(3)生涯獲得1億円突破の日本人最短達成。いずれも今季の強さを証明する数字だ。

初日に29連続オーバーパーなしの新記録かかる

渋野は2週前のニトリ・レディースでオーバーパーなしの連続ラウンド数をツアータイとなる28に伸ばし、通算7アンダーの5位で終えた。天候やコースのレイアウトが刻々と変化する中、ボギーを打っても笑顔でバーディーを取り返す。パーオンしたホールの平均パット数が2位とグリーンでの安定感が強みだ。

6月のニチレイ・レディースの初日からオーバーパーを打たない抜群の安定感を維持しており、2013年にアン・ソンジュ(韓国)が樹立したツアー歴代1位の記録に並んだ。日本女子プロの第1ラウンドでオーバーパーをたたかなければ、ツアー新記録となる。

28ラウンド足跡ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

全英女子オープンから帰国後は3試合に出場。常に大勢のギャラリーに囲まれ、副鼻腔炎を発症するなど体調が万全ではない中でもトップ5に2度入り、地力を示した。失敗を恐れずピンを攻めるスタイルで好結果につなげ、ファンも喜ばせている。

男子を含めれば、通算81勝を誇る世界的スターのタイガー・ウッズ(米国)が持つ米男子ツアー記録の52ラウンドも遠い夢ではない。

年少2位の1億円大台へ

賞金ランキングⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今季の目標に掲げる「賞金総額1億円到達」も現実的なラインで見えてきた。8日時点で賞金ランキングは申ジエ(韓国)に次いで約9000万円で2位。国内に限っては、本格参戦1年目のツアールーキーで年間1億円を突破すれば、日本人では2004年宮里藍以来、史上2人目の快挙となる。宮里の19歳141日に次ぐ年少2位の記録も視界にとらえる。

年少1億円ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今大会の優勝賞金はツアー最高の3600万円で、ヒートアップする賞金女王争いにも大きく影響する。約1100万円差で賞金ランクトップの申ジエは平均ストロークも1位の実力者だが、夢に見た賞金女王も十分に狙える位置につけている。

生涯1億円、最短記録も

渋野は今大会で5位以内に入って1億円突破となると、出場23試合目での生涯獲得賞金1億円を達成し、宮里藍の27試合を抜く日本人最短記録にもなる。

生涯1億円ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

LPGAによると、今季の1ラウンド当たりの平均バーディー数は申ジエに次いで、3.7647で2位。ボギーかそれより悪いスコアとしたホールの直後に、バーディーかそれより良いスコアを獲得する率「バウンスバック率」は堂々の1位だ。先日はテレビ番組の企画で「憧れの選手」と公言してきた2008年北京五輪ソフトボール女子金メダリストの上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)と初対面して満面の笑みでキャッチボールし、英気を養う貴重な機会もあった。

来年の東京五輪も夢見る渋野は舞台が大きくなるほど力を発揮できるタイプ。「スマイル・シンデレラ」のプレーから今週も目が離せない。