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香妻琴乃、パット見直し安定感 プロ8年目、混戦制し初優勝【女子ゴルフ】

2018 9/18 11:54SPAIA編集部
香妻琴乃,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

最終日3打差を逆転、切れなかった集中力で引き寄せた初優勝

LPGAツアー28戦「マンシングウェアレディース東海クラシック」は9月14日~16日の3日間行われ、香妻琴乃が最終日3打差を逆転して、プロ初優勝を勝ちとった。

初日7バーディ1ボギーの6アンダー首位タイでスタートを切った香妻は、2日目2バーディ1ボギーとスコアを伸ばせず、首位と3打差の10位タイまで後退してしまう。首位にはこの日8アンダーを出した中国のセキ・ユウティンと、ささきしょうこが10アンダーで並び、最終日は3打差の中に12人がひしめく混戦模様となった。1打差の3位タイに、アン・ソンジュ、キム・ハヌル、イ・ミニョンの実力派韓国勢に加え、新垣比菜、鈴木愛が並び、最終日も、スコアの伸ばし合いが予想された。

そんな中、最終組から3組前でのスタートとなった香妻は、フロントナインを5バーディ・ノーボギーで乗り切ると、バックナインでも11番、12番と連続バーディを奪い、この時点で、14アンダーとして単独首位に立った。

13番、14番をパーとして迎えた15番は、477ヤードと2オン可能なロングホール。難易度も18ホール中18番と最も易しく、優勝のためには、バーディを取って後続との差を広げておきたいところだった。

ところがセカンドショットをグリーンエッジまで運び、アプローチでピン奥約1mに着けたバーディパットは、大きく右に切れて、スコアを伸ばせない。

絶好のチャンスを生かせなかったが、集中力を切らさずプレーを続け、迎えた最終18番ミドルホールでは、ラフからのセカンドショットを、ピンそば約2.5mにつけると、フックラインを読み切る見事なバーディで15アンダーとしてホールアウト、後続を待った。

後続の選手も、さすがに実力者揃いで、それぞれがプレーオフのチャンスを残して18番ホールに臨んだが、15アンダーに並ぶ選手は最後まで現れなかった。

「60点のゴルフ」に活路

香妻琴乃は鹿児島県出身、1992年4月生まれの26歳だが、プロ生活は今年で8年目になる。

宮崎県の日章学園高等学校を卒業して2011年のプロテストに合格、83期生としてプロの道を歩み始めた。2011年は2試合の出場でどちらも予選落ちを喫したが、この年のQTを34位で通過して、2012年シーズンは30試合に出場、賞金ランキング62位まで順位を上げた。

2012年のQTは95位に終わり、10試合しか出場できず、賞金ランキングは112位に低迷。それでも、転んでもただでは起きない。ステップ・アップ・ツアー「ANA PRINCESS CUP」でプロ初優勝を果たし、完璧を求めるあまり空回りの多かった「100点を目指すゴルフ」から、完璧でなくとも安定した結果を目指す「60点を100%出し続けるゴルフ」というプレー観を身につける。

その効果があったのか、QTランキング61位で臨んだ2014年シーズンは、22試合しか出場できなかったものの、トップ10に7回入る成績を残し、賞金獲得額47,519,825円で19位に入る活躍を見せた。

2回の2位は、どちらもプレーオフでの敗退によるもの。特にUSLPGAツアー公式戦として開催されていた「ミズノクラシック」では、韓国のイ・ミヒャン、イ・イルヒとのプレーオフとなり、5ホールに及ぶ死闘を戦って力尽きたが、いつ優勝をしてもおかしくないと思わせるのに十分だった。

論理的に見直して取り戻したパットの自信

初優勝が期待された2015年シーズンは、腰痛に苦しめられる1年となった。31試合に出場したものの、10試合で予選落ちを喫し、賞金ランキングは48位とシードを守るのがやっとの状態だった。

そのシードも2016年には賞金ランキング52位で失ってしまう。2017年は賞金ランキング63位となり、QTはファイナルまで進めなかった。2018年はQTランキング104位での参戦となり、前半は出場できない試合が多く、リランキングで55位まで上げて、出場試合は多くなったものの予選落ちも多かった。それが一転したのが8月に行われた「CAT Ladies」から。それまで感覚に頼っていたパットを論理的に見直して改善し、平均パット数1位だった頃の自信を取り戻した。

「CAT Ladies」で今季初の60台を2日目に出して6位タイに入ると、9月初めの「ゴルフ5レディス プロゴルフトーナメント」3日目に66を出して10位タイに入り今回の優勝につなげた。

これで、今季残り試合の出場権を獲得して、リランキングの心配はなくなった。賞金獲得額も2千万円を越え、ランキング40位まで上昇したが、まだシード圏内には入っていない。シード復活に向けて、2勝目への挑戦は続く。