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飛ばし屋 渡邉彩香に復調の兆しか 強風下で今季自己最高2位

2018 8/28 13:00SPAIA編集部
渡邉彩香,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

復調を感じさせるプレーを披露

LPGAツアー25戦「ニトリレディスゴルフトーナメント」は、8月23日~26日の4日間、北海道の小樽カントリー倶楽部で行われ、韓国のアン・ソンジュが通算7アンダーで優勝を飾り。今季4勝目で賞金ランキング首位の鈴木愛と約1千万円差となった。

2位には3打差で渡邉彩香が入り、終盤まで優勝争いを演じるなど、復調を思わせるプレーを見せた。

試合は、台風の影響による強い風の中行われ、互いに我慢のゴルフとなった。3日目を終わって3アンダー5位タイの渡邉は、最終日5アンダーのアンを追って、2組前でスタート。前半は3バーディ1ボギーとスコアを伸ばしたが、アンも同じくスコアを伸ばし、2打差はなかなか縮まらない。

後半はボギーが先行、バーディを先行させたアンに4打差をつけられたが、14番でバーディを取り返すと、15番をボギーとしたアンに再び2打差まで迫り、逆転の可能性を残した。

そして迎えた16番は、421ヤードと長いミドルホール。ここで会心のドライバーショットを放ち、追撃開始かと思われたのだが、セカンドショットが少し大きく、カラーに止まると、3打目を寄せきれずボギーとして、首位に迫ることはできなかった。

一方のアンは、16番をパーで乗り切ると、続く17番ショートホールの第1打を約80cmにつけるスーパーショットでバーディ。18番をボギーとしたが、3打差をつけて優勝に輝いた。

プロ転向後はリオオリンピック候補に

渡邉は1993年9月19日生まれの24歳。静岡県の出身だが高校時代は埼玉県の埼玉栄高等学校のゴルフ部で活躍した。2012年のプロテストに合格した84期生だが、同期には比嘉真美子や葭葉ルミなど飛ばし屋が多い。2018年度ドライビングディスタンスでは、8月26日時点で、1位葭葉、3位比嘉で渡邉は7位に着けている。

プロ1年目の2012年QTを29位で通過して、2013年シーズンは33試合に出場した。前半は予選落ちも多く上位進出も少なかったが、終盤になると「富士通レディース」の2位を皮切りに、「樋口久子森永製菓ウイダーレディス」4位タイ、「伊藤園レディスゴルフトーナメント」7位タイと次々にトップ10入りを果たし、賞金ランキング46位でシード権を獲得した。

以降は順調に2014年の「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」で初優勝を挙げると、2015年は年間2勝を挙げて賞金ランキングは6位に躍進。暮れの女子ゴルフ世界ランキングでは59位まで上昇し、一躍リオ五輪代表候補に名乗りを上げた。

逃したオリンピックと押し寄せる不調、そして復調への一歩

リオオリンピックの日本選手代表枠は2枠、世界ランキングの上位2名が自動的に選ばれる。最終戦の「全米女子オープン」を残して、1番手の野村敏京は22位で選出確実だったが、2人目の代表を巡って、大山志保42位、宮里美香45位、渡邉46位と僅差の大接戦だった。

3人の争いは思いがけない展開となった。大山と宮里の上位2人が揃って「全米女子オープン」で予選落ちをしたのだ。

しかし、最終日を20位タイから出た渡邉は、18番池越えのロングホール、バーディが必要だとギリギリに打った第3打は少し足りずに池の中へ。38位まで順位を落とし、試合は終わった。

結果、世界ランキングは45位に上がったものの、43位の大山を捉えきれず、オリンピック出場はならなかった。

既に、不調の波は押し寄せていたのかもしれない。この頃を境に予選落ちが目立つようになり、2016年の賞金ランキングは12位まで下がってしまった。

2017年になると33試合中予選落ちが16試合と約半数になり、賞金ランキングも34位まで落ち込んだ。2018年も23試合に出場して、予選落ちが13試合と決して好転はしていない。それでも、強風の中1年4カ月、52試合ぶりの2位に入って手応えを得た。

170cm超の長身から放たれるロングショットという武器は強力なアドバンテージだ。五輪代表落選以来くすぶっていたが、この勢いに乗って再びランキング上位に上がってこられるだろうか。