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マキロイ、ケプカ、ジョンソン 世界のトップ選手のスイングに見える飛ばしの要素

2020 6/9 06:00akira yasu
イメージ画像ⒸStudioByTheSea/Shutterstock.com
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ⒸStudioByTheSea/Shutterstock.com

世界ランキングトップ5かつドライビングディスタンストップ10

3月12日から開催された第5のメジャー、ザ・プレイヤーズ選手権の2日目が中止になって以降、ようやく米ツアーが再開。6月11日から開催されるチャールズ・シュワブチャレンジがそうだ。ザ・プレイヤーズ選手権の初日に単独トップに立っていた今季好調の松山英樹は出場しないが、世界ランキングトップ5が全員出場するため豪華な顔ぶれになる。

今回は大会に出場するトップ5中、ロリー・マキロイ、ブルックス・ケプカ、ダスティン・ジョンソンに注目。米ツアードライビングディスタンスでも上位の3人。飛距離も武器の1つとして世界のトップレベルを維持している。

この3人の飛距離の源は何か。スイングを分析すると、フィジカルだけでなく技術的な部分でも飛ばしの要素があることが分かる。それぞれに見える飛ばしの要素を挙げていく。

世界ランキングと2019年度米ツアーDDⒸSPAIA

体幹の柔軟性と強さが際立つマキロイ

身長175センチと決して大きくないマキロイの飛距離の源は、体幹の柔軟性と強さだ。バックスイングでは腰部と肩の回転量の差、つまり捻転差が大きい。おそらく、胸椎の可動域が広いのだろう。

ダウンスイングの体の回転速度につなげ勢いよく加速させた手の振りを体幹で受け止め、タイミングよく減速させている。振りの加速と減速の差があるとシャフトのしなりを使え、効率よくクラブヘッドを加速することができる。そのためスムーズにフェースが返り、つかまりの良い強弾道が打ちやすくなる。

クラブを引く力が強烈なケプカ

ダウンスイング以降、グリップエンド側を引き上げる動きが特徴的だ。ダウンスイングにより低くなったグリップエンドを引き上げることで、クラブヘッドを加速させている。右手が支点で左手が力点、クラブヘッドが作用点のイメージだ。

引き上げは体幹と下半身で行われているため、ドライバーショットを見るとインパクトで左足かかとが浮いているのが分かる。それぐらい地面からの反力を使い、体幹の左側の伸展、左肩甲骨挙上からグリップエンドの引き上げへとつなげている。また、上下の動きを強めることで左右のスイング軸のブレを防いでいる。

過去、ケプカのフェイスブックやインスタグラムではトレーニング風景が投稿されていた。その多くは、地面を押す脚力を鍛えるためのスクワット系。この点から見ても、下半身の使い方でスイングをコントロールしようとしていることがうかがえる。

フェースを閉じて使うジョンソン

スイング中、クラブフェースを閉じて使っていることに注目したい。左手を強めのフックグリップにするトップオブスイングでは、左手首が手の平側に折れ(掌屈し)、クラブフェースが空に向いている。これは、クラブフェースが閉じている状態。

クラブフェースが閉じたまま下ろし、ハンドファースト(手元が先行)でインパクトを迎えると、閉じすぎて左に飛ぶことを避けつつも、つかまりの良いボールを打っている。

2019年米ツアーのドライビングディスタンスは5位だが、クラブスピードは30位。身長193センチという体格を生かしたスイングスピードだけでなく、しっかりとボールをつかまえるテクニックがあってのビッグドライブなのだ。

フィジカルだけでなくテクニックも駆使

どれだけクラブを速く振れても、ヘッド軌道やクラブフェースの向きが合っていないと飛距離を出すことはできない。効果的にクラブを振り飛距離を出すためには、フィジカルだけでなくテクニックも重要なのだ。

小柄な人はマキロイの体幹の回旋による振りの加速と減速のコントロールを、筋力がある人はケプカの体幹や脚の上下の力の使い方を、球がつかまらずスライスになることで飛距離をロスしている人はジョンソンのクラブフェース向きのコントロールをイメージし、飛距離アップにチャレンジしてみても良いかもしれない。

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