最も権威ある「The Open」の歴史
世界の男子ゴルフトーナメントの中で最も歴史と権威のある全英オープン「The Open」。正式名称は「The Open Championship」である。第1回目は1860年に開催されており、全米オープンより35年も歴史が長い。その当時はほかに選手権が存在しなかったため、British(英国)という文字が名称に入っていないといわれる。
イギリスのゴルフ競技団体R&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュース、英国ゴルフ協会)が主催。トロフィーには優勝者の名前が刻印されるため、ゴルフ史へその名を刻むことになり、多くのプロゴルファーの憧れとなっている。
「The Open」のコースにはいくつかの特徴があり、2つの点で出場選手を悩ませている。
ひとつは毎回コースが違う点。13コースあり、それぞれ難易度が違うのだ。もうひとつは、コースにほとんど手が加えられておらず、芝や雑草が伸びきったままで、プレーを邪魔するケースもあるということ。「The Open」で勝利を収めるには、天候や芝の状態など、ハードな自然条件に対応する必要があるのだ。
出場資格は厳しく、世界のトップクラスであることが要求される。「The Open」をはじめ、マスターズ、全米オープン、全米プロの優勝者など世界の権威ある大会で好成績を収めた選手や、世界ランキング上位の選手にだけ出場資格が与えられる。まさにゴルフの祭典という言葉がふさわしく、出場するだけでも名誉あるゴルファーとして認識される大会だ。
過去に優勝した名プレーヤー
世界でもっとも名のある選手権、全英オープンの優勝者には、ゴルフ界伝説の人物が多い。
全英オープンの最多優勝者はハリー・バードンで 6回、次いで、ジェームス・ブレイド、J.H.テイラー、ピーター・トムソン、トム・ワトソンの 5回だ。
ハリー・バードンは「モダンスイングの父」と呼ばれ、オーバーラッピンググリップを初めて取り入れ完成させた人物だ。右手の小指を左手の人差し指に被せるように握るこの方法は、別名バートングリップとも言われ、体全体でスイングしボールコントロールをよくする方法として、ゴルフスイングの基本となっている。
さらに、バードン・トロフィーという賞の名前の由来にもなっており、彼の存在がゴルフ界にとって大きいものであることがうかがえる。また、ジェームス・ブレイド、J.H.テイラーとともに3大巨頭として、ゴルフ界の歴史に残る人物とされている。
他に見逃せないのは、3回の優勝経験があるボビー・ジョーンズ。彼は後に自分の故郷であるアメリカ合衆国のジョージア州に、マスターズのコースとなるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブを設計。マスターズ・トーナメントの創設にかかわるなど、アメリカのゴルフ界にも大きな遺産を築いた。
世界に名を轟かせた日本人選手たち
全英オープンに日本人選手が本格的に出場し出したのは1970年代後半からで、青木功、尾崎将司、中嶋常幸、倉本昌弘らが90年代にかけて活躍した。近年注目されたのは、2002年5位の丸山茂樹、2006年5位の谷原秀人、2013年6位の松山英樹だ。
丸山茂樹は2002年、トップとわずか一打差という僅差で惜しくも優勝を逃したが、世界で渡り合える実力者の一人として知られるようになった。また、松山英樹は2016年に米ツアー「WGC HSBCチャンピオンズ」で、日本人として初めて世界ゴルフ選手権優勝を果たすなど、今後の活躍が期待される若手選手の一人。全英オープン制覇が期待される選手として注目されている。
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