「飛躍した」2019年シーズン
ホンダとレッドブルのパートナーシップ1年目となった2019シーズン。ホンダにとって後がない状況であったが、見事なパフォーマンスを見せてくれた。2018年まではルノーのパワーユニットを使用していたレッドブルだが、2018年と2019年の成績を比較してみるとホンダは非常に良い仕事をしたと言っていいだろう。
2018年のレッドブルの成績は獲得ポイント419、優勝4回、表彰台13回、リタイア11回、ポールポジション(PP)2回であった。一方ホンダと手を組んだ2019年の成績はポイント417、優勝3回、表彰台9回、リタイア3回、PP2回である。総獲得ポイント、優勝回数、表彰台回数は前年を下回ったが、リタイア数が大幅に減っている。
パワーユニットの信頼性が低かったことがルノーとのパートナーシップ解消の大きな要因となっていたため、レッドブルの求めていたことに対してホンダはしっかり応えた形となった。信頼性だけでなく、優勝も3回達成し、表彰台も9度獲得と初年度にしては上出来だったのではないだろうか。
またレッドブルもトップチームとして開発を続けてきた。Tウィングやミラーなど細かな空力を投入してきたことにより、ドライバーの腕でカバーできるまでのマシンになった。
エースのマックス・フェルスタッペンはオーストリア、ドイツ、ブラジルでレッドブルに、そしてホンダに優勝をプレゼントした。オーストリアではスタートに失敗しながらも後方から追い上げ、フェラーリのシャルル・ルクレールとの一騎討ちを制し感動的なホンダ復帰後初の優勝を達成した。
ドイツではリタイアが続出する難しいウェットレースを制し、ブラジルでは最強メルセデス、ルイス・ハミルトンを圧倒する見事なパフォーマンスを見せた。当初の年間5勝という目標は達成できなかったが、モナコや鈴鹿など不運でレースを落としたものもある。それをふまえると十分満足できる結果になったことだろう。
レッドブルとホンダのパッケージでチャンピオンを獲れると確信したのか、フェルスタッペンは2023年までチームと契約を延長した。長期契約は信頼の表れでもあり、余計な交渉に神経をすり減らす必要もないため、走りに集中することができる。勝ちにこだわる若き才能が認めたパッケージはトップ2を追い抜くことができるのだろうか。