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フェルスタッペンが10番手から大逆転で今季8勝目 メルセデスが2戦連続W表彰台【F1ハンガリーGP】

2022 8/2 17:00河村大志
2022年F1第13戦ハンガリーGP決勝で優勝したマックス・フェルスタッペン,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ラッセルが自身初のポールポジション

F1第13戦ハンガリーGPは曇り空の中、気温19度、路面温度27度というコンディションで行われた。舞台となるハンガロリンクは低速コーナーが連続し、抜きどころの少ないテクニカルなサーキットだ。マシンの特性上、フェラーリが他を圧倒すると予想されていたが、予選でポールポジションを獲得したのはメルセデスのジョージ・ラッセルだった。

ラッセルはラストアタックでカルロス・サインツ(フェラーリ)を逆転し、自身初のポールポジションを獲得。2位にはサインツ、3位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が入った。予選Q3でトラブルに見舞われたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が10番手からのスタートということもあり、フェラーリにとってはフェルスタッペンとのポイント差を埋めるチャンスがやってきた。

スタートはサインツが好ダッシュを決めラッセルに襲い掛かるも、トップを奪うことができない。トップ集団に順位の変動はなかったが、7番手スタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)がスタートで5番手に浮上した。後方ではアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)にターン2で接触し、パーツが散乱。これによりVSC(バーチャルセーフティカー)が導入される。

フェルスタッペンの猛烈な追い上げ

リスタート後、フェルスタッペンは抜きにくいコースながら徐々にポジションを上げていき、7周目には6番手まで浮上。以降も着実にポジションを上げていった。

フェラーリ勢が迫る中、17周目にラッセルがピットイン。ソフトタイヤからミディアムタイヤに交換するも作業に手間取り6番手でコース復帰する。18周目にサインツがピットインするも、こちらもタイヤ交換に手間取り、ラッセルをオーバーカットすることができない。

22周目にルクレールがピットイン。ラッセルに先行を許すもサインツの前でコースに復帰し、2番手に浮上した。勢いそのままにトップのラッセルに仕掛けていくルクレールだが、ラッセルも巧みにディフェンスし、ルクレールの猛攻を凌いでいく。しかし31周目のターン1でルクレールがついにトップに浮上した。その後方では4番手に上がったフェルスタッペンがサインツとの距離を縮めていく。

39周目、4位のフェルスタッペンが2度目のピットインを敢行し、ミディアムからミディアムに交換した。翌周にトップのルクレールと2位ラッセルが同時ピットイン。ルクレールはハード、ラッセルはミディアムに交換しコースイン。ルクレールはフェルスタッペンの前に出るも、温まりの悪いハードタイヤを装着するルクレールはフェルスタッペンにオーバーテイクを許してしまう。

しかしターン13でフェルスタッペンがまさかの単独スピン。これにより再びルクレールがトップに立つも、45周目のターン1でフェルスタッペンが再びトップに浮上した。

マシンも仕上げ、作戦もハマったメルセデス

各車2度目のピットインを終える中、第2スティントを引っ張るハミルトン。52周目にハミルトンはピットインし、タイヤをソフトに交換。第3スティントを縮めることに成功したハミルトンはソフトタイヤで残り周回をハイペースで追い上げていく。

フェルスタッペンに逆転を許してしまったルクレールだが、ハードタイヤを選択しペースが上がらない。そこへラッセルが迫り54周目のターン1でラッセルが2番手に浮上。ルクレールはたまらずピットに向かい、ソフトに交換。6番手でコースに復帰した。

ルクレールは新品のソフトが残っておらずユーズドのソフトしか手元になかったのである。2度目のピットストップで中古のソフトを履くと残り周回数を走り切ることができないため、ハードを選ぶしかなかった。つまりスタートタイヤにミディアムを選択してしまったことがフェラーリのレースを台無しにしてしまったのだ。

一方、新品のソフトタイヤを履くハミルトンは周回数を気にする必要がなく、ファステストラップを連発しながら追い上げる。63周目についにサインツを、そしてチームメイトのラッセルもパスし2位に浮上。レッドブル同様、メルセデスもきっちり作戦を決め上位に上がってきた。

68周目にバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)にトラブルが発生し、コース脇にマシンを止めた。これによりVSCが導入され、最終周にレースがリスタート。フェルスタッペンがそのままトップチェッカーを受け、10番手スタートから大逆転優勝を果たした。ハミルトンが見事な追い上げで2位を獲得。レースでのパフォーマンスがよかっただけに、予選のトラブルが悔やまれた。3位にはラッセルが入り、メルセデスが前戦に続きダブル表彰台獲得となった。

勝たなくてはいけなかったフェラーリは、作戦ミスによりまたしても勝利を逃してしまった。これでドライバーズランキングトップのフェルスタッペンと2位ルクレールとの差が80点と大きく広がった。コンストラクターズでもフェラーリはレッドブルに97ポイントという大差をつけられた。

逆にメルセデスがフェラーリとわずか30ポイント差まで詰めており、フェラーリはランキング2位も危うくなってきた。夏休み明けのベルギー、スパ・フランコルシャンではどのような戦いが待っているのだろうか。

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