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女子フィギュア韓国の15歳新星・劉永は金姸児の後継者

2020 1/23 06:00田村崇仁
韓国の新星・劉永Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

冬季ユース五輪で金メダルに輝いた天才少女

フィギュアスケート女子に新たなヒロインが誕生した。原則15~18歳を対象にした第3回冬季ユース五輪は1月13日、スイスのローザンヌで行われ、韓国の15歳、劉永(ユ・ヨン)がショートプログラム(SP)、フリーとも1位の合計214.00点でロシア勢を抑えて圧勝した。

わずか11歳の時に韓国選手権で最年少優勝記録をマークして「天才少女」の名をほしいままにした逸材。母国の国民的スターで尊敬する2010年バンクーバー冬季五輪金メダリスト、金姸児の「後継者」と呼ばれる新星が五輪につながる舞台で観客を魅了する圧巻の演技を見せた。

全日本ジュニア女王で15歳の河辺愛菜(関大KFSC)はSP4位、フリー3位の合計185.22点で4位だった。

冬季ユース五輪フィギュア女子成績

日本の浜田コーチ指導でジャンプの才能開花

15歳とは思えない大人びた容姿としなやかなスケーティング。冒頭で得意のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めると、3回転ルッツ―3回転トーループの連続ジャンプ、3回転ループなど次々と着氷し、安定した演技で滑りきった。

表現力を示す演技構成点はすべて8点台。紀平梨花(関大KFSC)や宮原知子(関大)を教える日本の浜田美栄コーチの指導を受け、日本のライバルと切磋琢磨しながらジャンプの才能も開花させた。

今季はシニアのグランプリ(GP)シリーズ第2戦、スケートカナダでもアレクサンドラ・トルソワ(ロシア)、紀平に次いで3位と表彰台に立った。会場では冬季ユース五輪の男子で金メダルを獲得した鍵山優真(神奈川・星槎国際高横浜)らが韓国の国旗を振って応援する様子を五輪チャンネルが伝え「これは一体なんということか!」と国を超えたスポーツマンシップの形を称賛した。

平昌五輪で「韓国の顔」として最初の聖火ランナー

父の仕事の関係によりシンガポールで育ち、金姸児に憧れて5歳で競技を始めると、韓国選手権では金姸児の4連覇に次ぐ3度制覇を達成。一躍、注目の存在となり、2018年平昌五輪の聖火リレーでは国内での最初の走者に抜てきされ、韓国の新たな顔になりつつある。

五輪チャンネルでは流ちょうな英語でインタビューに応じ、米人気歌手アリアナ・グランデの大ファンと公言。「悲しいときや疲れたときに聞いて、鏡の前で踊るときもある。最近は彼女の歌にもトライしている」と笑顔で明かす場面もあった。

最大目標は2022年北京冬季五輪の金

最大の目標は2022年北京冬季五輪。平昌五輪は年齢制限で出場の夢が叶わなかったが、金姸児も輝いた舞台で「ぜひとも金メダルを取りたい。もう2年しかない。体をつくり、けがをしないことも大切。ファンの応援が自分の背中を押してくれる」と笑顔で語った。

今季はシニアデビューのGPシリーズを席巻したアリョーナ・コストルナヤ、アンナ・シェルバコワ、トルソワの「ロシア三人娘」が台頭し、高度な4回転ジャンプで激動期に突入したフィギュアスケート女子の新時代。トリプルアクセルと表現力も兼ね備えた韓国のニューヒロインも参戦し、紀平をはじめとした日本勢にとって強力なライバルとなりそうだ。

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