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本田真凜、フィギュア全日本8位の先に見える才能開花の可能性

2019 12/23 17:00田村崇仁
全日本選手権で8位に入った本田真凜Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

昨年15位から復調への一歩

華のある18歳の人気スケーターが、氷上で鮮やかな青色の衣装で人気映画「ラ・ラ・ランド」のテーマ曲を演じきり、復調への一歩を印象付けた。フィギュアスケートの全日本選手権は12月21日、東京・国立代々木競技場で行われ、女子フリーでショートプログラム(SP)6位の本田真凜(JAL)はフリーで8位の115.42点をマークし、合計181.34点で8位となった。

2016年の世界ジュニア選手権女王。当時から愛くるしいルックスと大人っぽい滑りで一躍脚光を浴びたが、練習拠点を米国に移すなど環境の変化があった昨季は全日本選手権で15位に沈んで心身とも精彩を欠いた。可憐な演技、伸びやかで表現力豊かな潜在能力は国内外で期待が高い。来春には青森・青森山田高から明大に進学することが決まっており、殻を突き破る大きな躍進への可能性も示した。

SPは感極まって涙

SPの演技を終えると、本田は思わず感極まって両手で目頭を押さえた。二つのジャンプで回転不足があったが、テーマ曲「セブン・ネーション・アーミー」の力強い女性ボーカルに乗って、情感も込めてキュートに氷上を舞い、女優兼スケーターの妹、望結や紗来も見守った会場の雰囲気を引き込んだ。

SPで18位に沈んだ昨年から大幅に順位を上げて6位。ジャンプに回転不足や踏み切りの警告など細かいミスがあって65点台にとどまっても、久しぶりに味わう感覚に満面の笑顔で充実感を漂わせた。

今季はグランプリ(GP)シリーズ第2戦のスケートカナダ直前に交通事故に遭うなど思わぬ不運もあった。そんな「厄年」を振り払い、逆境も乗り越えて全日本のフリーで最終グループに戻る覚悟を示した演技でもあった。

フリーは冒頭のジャンプ転倒も巻き返し

2019年を締めくくるフリーは冒頭の3回転ルッツで回転不足となって転倒し、さすがに悔しさも残った。それでも続くダブルアクセル(2回転半)、3回転ループ、2回転フリップと次々に着氷。「失敗」も含めて自分の作品と冷静に受け止め、持ち前の伸びやかなスケーティングで表現力をアピール。

後半には単発の予定だった3回転ループに2回転トーループをつけて連続ジャンプに変更。最後は3回転サルコーも難度の高いフリップに変えて着氷し、意地の巻き返しで成長した姿を見せた。表現力を示す演技構成点だけで見ると、64.63点で全体5位だった。

才能開花へ明大入学後も拠点は米国

女子フィギュア界は今季、ロシア勢が難度の高い4回転やトリプルアクセル(3回転半)を次々と組み込む新時代に入った。本田は明大に進学後もこれまで通り練習拠点は米国に置き、世界選手権金メダルのネーサン・チェン(米国)らを指導する名伯楽のラファエル・アルトゥニアン・コーチに師事する。明大にはフィギュアスケート女子で2018年世界選手権銀メダルの樋口新葉が今年入学。スケートと学業の両立を目指していくという。

才能豊かな妹の紗来も今夏にメインコーチを同じアルトゥニアン氏に変更。異国の環境で姉が背中で引っ張る立場となり、姉の責任感も増している。

才能を秘めた本田は4回転時代にどう立ち向かっていくのか。異国での暮らしは2シーズン目を迎え、今季は国内での活動時に本田武史コーチの指導も受けている。もともとジャンプは連続3回転を複数の組み合わせで跳べる非凡さを持ち、ロシア勢にも十分対抗できる美しさと芸術的な表現力を併せ持つ「天才肌」とも称される。来季は長かったトンネルの出口がはっきりと見えてくるか。全日本選手権8位という結果の先に、シニアでも才能を開花させる時間はまだ十分に残されている。

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