ジャパン・オープンで4度の4回転着氷
フィギュアスケート界に今季シニアデビューした15歳の新星、アレクサンドラ・トルソワ(ロシア)の衝撃的な演技だった。ルッツ、サルコー、2度のトーループと3種類計4度の4回転ジャンプを女子で初めて着氷し、男子選手顔負けといえる驚きの構成。
日本、欧州、北米によるチーム対抗戦、ジャパン・オープンは10月5日、さいたまスーパーアリーナで行われ、昨季グランプリ(GP)ファイナル覇者、17歳の紀平梨花(関大KFSC)は2022年北京冬季五輪を見据え、底知れぬ才能で「ロシアのロケット」の異名を取るニューヒロインに大きな刺激を受ける結果となった。
2度のトリプルアクセル成功も
シニア2年目の紀平は9月に痛めた左足首が完治せず、4回転サルコーを回避せざるを得ない状況で厳しい現実を突きつけられた形だ。
大技の代名詞トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を2度決めたものの、最後の3回転ループで着氷がやや乱れ、トルソワに15.77点差つけられて3位。オフにはサルコーだけでなく、トーループの4回転を成功させただけに闘争心にも再び火が付き、現在地と新たな目標が明確になったようだ。
チーム対抗戦の今大会で紀平、宮原知子(関大)宇野昌磨(トヨタ自動車)島田高志郎(木下グループ)の日本は合計602.16点で2位。欧州が614.73点で1位、北米が593.42点で3位だった。
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大会形式は各チームの男女2人ずつがフリーを滑って合計点を競い、紀平は144.76点で女子の3位、宮原が134.94点で4位。トルソワは160.53点で1位、平昌冬季五輪金メダルのアリーナ・ザギトワ(ロシア)が154.41点で2位となった。
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男子で2018年平昌冬季五輪銀メダルの宇野はコーチ不在で臨むシーズン初戦で169.09点の2位、島田が153.37点で4位。世界選手権2連覇中のネイサン・チェン(米国)が189.83点で1位と圧倒的な強さを証明した。
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GP第2戦でトルソワと再戦
女子でも4回転時代が幕を開け、ジュニア勢が世界を席巻するロシアの壁はさらに高まろうとしている。
トルソワの技術点は男女を合わせ、チェンに次ぐ97.51点。9月のネペラメモリアルでマークしたフリーで世界最高の163.78点には3.25点及ばなかったが、堂々の1位。五輪女王のザギトワがノーミスの演技でも上回れなかった。
「4回転の申し子」とも呼ばれる天才ジャンパーが今季デビューのシニアを席巻しそうだ。新たなライバル、トルソワと再戦するグランプリ(GP)シリーズ第2戦のスケートカナダ(10月25日開幕)に向け、紀平は4回転の投入も視野にさらにギアを上げていく覚悟だ。
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