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フィギュア界を席巻する「恐ロシア」のスケーターたち

2018 4/25 10:51川浪康太郎
ザギトワとメドベージェワ
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Ⓒゲッティイメージズ

世界に衝撃を与えた15歳の五輪金メダリスト

アリーナ・ザギトワ。2017-18年シーズンのフィギュアスケート界に最も衝撃をもたらしたのは、間違いなくこの天才スケーターだろう。
2016-17年シーズンに彗星の如く現れ世界の舞台でその名を轟かせると、オリンピックイヤーはさらなる飛躍を見せる。グランプリシリーズ2大会、グランプリファイナル、欧州選手権、と次々と大きな舞台でタイトルを獲得。平昌五輪でも完璧な演技を見せ、見事金メダルに輝いた。

SP、フリーともにジャンプを全て後半に跳ぶ難しい構成をこなしてきたザギトワ。しかし、シーズンの最後には思わぬ壁にぶつかった。
初めて出場した世界選手権でSP2位と好スタートを切ったが、フリーでは転倒が相次ぎまさかの5位。世界最高峰の大会で、15歳の少女が大粒の悔し涙を流した。

このまま難しい構成を続けるのか、体型の変化とどう向き合っていくのか。来季のザギトワからも目が離せない。

世界のレベルを引き上げた女子フィギュアスケート界の功労者

ロシアのフィギュアスケート界を語る上で外せないのが、エフゲニア・メドベージェワの存在だろう。2016-17年シーズンは出場した全ての国際大会で優勝し、絶対女王の名を欲しいまま手にした。
しかし、2017-18年シーズンの途中に故障し、一時リンクを離れる。

復帰後の欧州選手権と平昌五輪ではザギトワとの直接対決が注目されたが、いずれも後塵を拝し表彰台の頂点に戻ることはできなかった。それでもメドベージェワの果たした功績は大きく、世界記録を次々と更新し、近年の女子フィギュアスケートのレベルを引き上げたのだ。

オリンピックイヤーに味わった悔しさをバネに、もっと強い姿を見せてくれるはずだ。

ロシアの2トップを追う「エテリ組」のニューヒロインたち

ザギトワ、メドベージェワを支える名コーチがいる。エテリ・トゥトベリーゼ。ソチ五輪でロシアの団体金メダルに貢献したユリア・リプニツカヤも、このコーチのもとで育った選手の一人だ。
数々の名スケーターを輩出してきた「エテリ組」の次世代スターも続々と育ってきている。

早くも先輩たちを脅かす存在となりそうなのが、ジャンプが武器のアレクサンドラ・トゥルソワだ。世界ジュニア選手権の女子では、安藤美姫以来となる4回転サルコーを成功させ、続いて4回転トーループも決めた。
史上初、一つのプログラムで2度の4回転ジャンプを成功させるという快挙も成し遂げ、大会史上最高得点である225.52点で優勝した。次なるロシアエースの最右翼だ。

世界ジュニア選手権、ジュニアグランプリファイナル、ロシアジュニア選手権でいずれもトゥルソワの次につけたのは、アリョーナ・コストルナヤだ。4回転ジャンプを跳ぶわけではないが、シニア顔負けの高い演技力を持ち、総合力ではトゥルソワに引けを取らない。
トゥルソワとは今後もいいライバル関係となりそうだ。

その他にも、ジュニアグランプリファイナル3位のアナスタシア・タラカノワや、ロシアジュニア選手権5位のダリア・パネンコワらも同門で後を追っており、期待がかかる。

着々と力をつけてきているロシア男子

ロシア男子といえばエフゲニー・プルシェンコのイメージが強いが、新世代も着実に育ってきている。
シニアでは、平昌五輪で実力を出し切れなかったミハイル・コリヤダが、世界選手権で銅メダルを獲得。ジャンプの確実性を上げ、各国の並み居るライバルたちを脅かしたい。

ジュニアでは、世界ジュニア選手権でアレクセイ・エロホフとアルトゥール・ダニエリャンが1、2ィニッシュを達成するなど、女子同様明るい材料が多い。ロシアジュニア選手権2位のローマン・サボシンらも今後の成長が楽しみだ。

男女共に、今後もしばらく世界のトップに君臨し続けそうなロシア。彼らの人間離れした技や演技でこれからも我々を驚かせてくれることだろう。