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ソチ五輪・浅田真央、感動のフリー演技を世界はこう見た!

2016 11/1 10:56
mao asada
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Photo by AlexAranda / Shutterstock.com

全国のフィギュアスケートファンの方へ。本稿では、記憶に新しい2014年ソチ五輪での浅田真央選手のフリー演技にスポットを当てたいと思います。完璧なスケーティングで世界中を感動させたあの4分間を、世界がどう見たのか各国実況をベースに紹介します。

【おさらい】世界中が涙を流した奇跡のスケーティング

2014年のソチ五輪、キム・ヨナと並び優勝候補と目されていた浅田真央は、ショートプログラム序盤でまさかのジャンプ失敗、以降リズムを取り戻せぬまま16位に沈んでしまいます。
しかし、翌日のフリーで冒頭のトリプルアクセルを完璧に決めると一気に波に乗り、4分間で合計8回の3回転ジャンプを決めるという驚異的なパフォーマンスを披露。奇跡のカムバックに世界中が感動しました。彼女が叩き出した得点142.71は自己ベストであると同時に、そのシーズンの世界最高得点にもなりました。

【アメリカ】氷上の主人公は浅田真央に!

アメリカNBCテレビの実況では、長野五輪の金メダリストであるタラ・リピンスキーとバンクーバー五輪に出場したジョニー・ウィアーが登場。演技が始まった時点で覚悟を決めた浅田の表情を見て、「ショートプログラムで心がバラバラになるほど折れたのに、リスクを顧みずにこれからトリプルアクセルを飛ぼうとしている」とそのメンタルに賛辞を送ります。フィニッシュの瞬間はしばし絶句。そして視聴者にこう語りかけます。「テレビの前の皆さん、今夜、氷上の主人公は昨夜1位のキム・ヨナから、16位の浅田真央に変わりました」「完全にメダル争いから脱落したと分かっていたとしても、今ご覧頂いた演技こそが、目に焼き付けるべき彼女のすべてです」と絶賛しました。

【ロシア】さぁ、いきなさい!

フィギュアスケート大国・ロシア。浅田真央もキム・ヨナも抑えて金メダルを手にしたのはロシアのソトニコワでした。ロシアの放送席にいたのは、タチアナ・タラソワさん。かつて浅田真央のパーソナルコーチを務めた人物です。終盤にビールマンスピンからの連続フットワークに移る場面では、「さぁ、いきなさい」とまるで氷上の教え子の背中を押すような言葉を残します。正確なジャンプ技術のみならず、氷上での大胆なステップワークは「タラソワステップ」とも呼ばれ、少女を大人のスケーターに変えるきっかけになった技術。自ら伝えたステップを目の当たりにして、しまいには放送席で立ち上がってしまうほどでした。終了後には、浅田真央のことを「素晴らしいスケーター」だと絶賛しつつ、 「本当にありがとう」 とコメント。師弟関係にありながらも感謝の意を隠しませんでした。

【中国】神様はその勤勉さと粘り強さを裏切らない!

放送していたのはCCTV(中国中央テレビ)。演技中はまったく実況コメントがなく、固唾を呑んで見守るように終始無言を貫いていました。演技終了後、浅田真央の涙を見て「彼女のこの頑張りを目の当たりにして、私たちも泣いています」とコメント。ショートプログラムで地獄を見ながら、一夜で切り替えて再び難易度の高いジャンプに挑み続けた彼女を「とても険しく孤独だったでしょう」とねぎらいつつ、「でも、神様はその勤勉さと粘り強さを裏切らない」と絶賛しました。完璧なまでの復活劇に、実況チームも大興奮だったのです。

【イタリア】最後の1秒まで、ラスト1つの音符まで戦い抜いた

この競技で銅メダルに輝いたのは、イタリアのカロリーナ・コストナーでした。彼女の母国・イタリアも、フィギュアスケート熱が高い国として知られています。そんなイタリアの中継を担当したSKYも、浅田真央の完璧な滑りには拍手を惜しみませんでした。演技が終わるやいなや、「8つの3回転に挑戦し、全部成功させた。これこそ彼女が披露したかった試合内容。鳥肌が立つよ」と絶賛。浅田を「本物の女王」と形容して、「最後の1秒まで、ラスト1つの音符まで戦い抜いた」とコメントしました。8つの3回転ジャンプを仕掛けるプログラムは「並外れている」ものでしたが、「クオリティの高い技術も含め、このアスリート精神は女子の世界では珍しいことなんだ」と、アスリートとしての浅田真央に対して最大限の敬意を抱くコメントで締めくくりました。

まとめ

世界中で放送されるオリンピック。それぞれの国に名場面は存在するはずですが、国境を越えて感動を呼ぶシーンはなかなかあるものではありません。ただ、2014年、ロシアのソチで浅田真央が作り上げた伝説の4分間は、世界中に感動を与えました。各国の言葉で紡ぐとさらに感動が増しますね。