【概要】フィギュアスケートの採点方法をざっくりと紹介!
男女シングルとペアの場合、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)の2つで構成され、それぞれの合計点が総合得点となる。SPもFSも、2003年から採用された「ISUジャッジングシステム」により得点が決定される。各選手の演技を技術点・構成点・ディダクション(減点=転倒・演技中断など)から算出。SPとFSの合計点から個人の総合得点が決まるのだ。
なお、総合得点が並んだ場合は、比重の高いフリーの得点が高い方が上位となる。減点については、転倒が1回ごとに-1.0、時間超過または不足は5秒ごとに-1.0、というように規定されている。
【採点:技術点】選手が実行した規定要素に対して与えられる得点
各要素の得点には、技術審判が算出する「基礎点(実行した技に関する評価/入り方・回転数・レベル)」と、演技審判が算出する「GOE(Grade of Execution=各要素の出来栄え)」で決まる。技術点は加算方式なので上限がなく、難易度が上がるにつれ基礎点も高くなる。実現できるかは置いておいても、技の組み合わせ次第ではかなりの高得点が見込めるのだ。
GOEは、各要素(エレメンツ)の出来栄え点を図る指標で、-3点から?+3点の間で決定するもの。ただ、ジャンプをしたときに踏切から着水まで完璧に成功しなければ大きな加点にはならないというのが難点だ。なので、難易度の低いジャンプを成功させてGOEの加点を狙うという方法もある。
2016年の世界選手権では、基礎点の低かったキム・ヨナが、難易度の低い技を確実に決めて高いGOEポイントを獲得。難易度の高いジャンプに挑んだ浅田真央を合計点で逆転したというケースがその最たる例だ。
【採点:構成点】プログラム全体を通して判断される5項目の合計点
5項目からなるためファイブコンポーネンツとも呼ばれるのが構成点。各項目が10点満点で0.25ポイント刻みで採点される。
完璧で文句のつけようがないスケーティングであれば、10点満点×5項目=50点満点となる。評価されるのは、スケート技術(SS)、要素のつなぎ(TR)、動作・身のこなし(PE)、振り付け・構成(CH)、曲の解釈(IN)の5項目。それぞれの得点に規定された係数を掛けて算出された数字が最終的な構成点となる。
男子シングルであれば、ショートプログラムの係数は1.0に対し、フリーは2.0。女子シングルの場合は、ショートプログラムが0.8に対し、フリーは1.6だ。
【技術点=基礎点+GOE】採点の流れ
基礎点を判定する技術審判は最大3名。意見を取りまとめる「テクニカルコントローラー」が1名。さらに、審判の入力データや選手のスケーティングに違反がないかを確認する。もう1名 or 2名は、「テクニカルスペシャリスト」「アシスタントテクニカルスペシャリスト」と呼ばれ、ジャンプやスピン各種などISUが規定した技(=エレメンツ)の種類とレベルを判断する任務を負い、同時に減点や無効になるエレメンツがないかを確認する。
GOEを決定するのが、9人の演技審判だ。演技中から9人全員が各エレメンツを「-3 ~+3」で評価するが、事前の抽選で2名が外れて7名に。さらに、7名から最大点・最小点を出した2名を除外し選ばれた5名の平均点を算出。この点数がGOEとなる。
【構成点】採点の流れ
構成点を採点するのは、GOEと同じく9名の演技審判だ。あくまで芸術性にかかるポイントを算出するのが彼らの役割だが、プログラム全体を通して判定するので、演技終了後に算出される。
基本的な流れは技術点の算出の場合と同じだ。9人全員が構成点を提示→事前抽選で外れる2名が確定し7名に→7名のうち最高点・最小点を出した審判を除外し5名に→5名の平均点を算出。
技術点と違うのは、この各項目の平均点に前述の係数を掛けて最終的な構成点が算出されるというところにある。
まとめ
ショートプログラム(SP/2分50秒)とフリー(FS/4分)のそれぞれで、(技術点)+ (構成点)-(ディダクション/減点)から各種目の得点が決まり、双方の合計で最高得点を出した選手がチャンピオンとなる。勝敗を決するのは、リンク脇で見守る3名の技術審判と9名の演技審判たち。「回転不足」「ジャンプの組み合わせが違う」などと細かいところまで見分けるのは難しいところだが、まずはその採点方法についてだけでもご理解いただければ幸いだ。