eスポーツとはそもそも何なのか?
一般社団法人 日本eスポーツ協会(JeSPA)によると、e-Sportsは以下のように定義されている。
「eスポーツ(e-sports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。
出典: http://jespa.org/about
コンピューターゲーム、ビデオゲームを「スポーツ」と定義することには賛否両論あるが、そもそも英語の「sport」という言葉には「娯楽・楽しみ」といった意味が含まれており、チェスや将棋に近いイメージで捉えられている。
また、競技としてのeスポーツには大会(トーナメント)があり、観戦者がいることが大きな特徴だ。
では、eスポーツはどのようなゲームが対象となるのだろうか。主なジャンルは以下のようなものだ。
※ジャンルごとのゲーム紹介については別コラムで執筆予定
- シューティングゲーム(FPS)
- マルチオンラインゲーム
- 格闘ゲーム
- スポーツゲーム
- パズルゲーム
- カードゲーム
これらのジャンルには「ストリートファイター」のような国産ゲームも多く含まれている。しかし、日本は海外と比べてビデオゲームを「スポーツ」とする文化が浸透していないこと、また法律の問題で高額賞金の大会を開くことが難しいことなどからプロゲーマーの数も少なく、“eスポーツ後進国”と言われている。
eスポーツの歴史、日本と海外の違い
eスポーツの歴史はコンピューターゲームの歴史とともにある。
1983年に任天堂より「ファミリーコンピュータ」が発売されてから、一般家庭にもゲーム機が普及。1985年には日本最古の大会「全国キャラバンファミコン大会」が開催され、それ以降、全国各地でコンピューターゲームの大会が開催されるようになった。
90年代には「ストリートファイターII」の爆発的なヒットにより格闘ゲームがブームに。各地で大会が開催され、後に「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネスに認定されるプロ格闘ゲーマーの梅原大吾を輩出した。
00年代に入るとオンラインPCゲームの競技人口が増える。この頃からようやく「eスポーツ」という言葉が使われるようになった。さらに03年よりeスポーツ大会「闘劇」が開催され、10年に日本eスポーツ学会、15年に日本eスポーツ協会、16年には日本プロeスポーツ連盟が発足されるなど、基盤整備が本格化していく。
一方海外の歴史は古く、スタンフォード大学で1972年に行われたビデオゲームの大会が始まりと言われている。80年代になると「インベーダーゲーム」の大会に1万人が参加し、その模様はNew York Timesに掲載された。「パックマン」や「ドンキーコング」といったゲームで高スコアを獲得する著名プレイヤーも出てきた。
90年代になるとオンラインでのマルチ(複数人)プレイが可能になり、リアルタイム性も加わって戦略性が増すと、「任天堂ワールド・チャンピオンシップ」を始めとする大規模な大会が開催され、プレイヤーのプロ化が加速した。
00年代になるとeスポーツは世界規模に成長し、韓国・アメリカ・フランス・中国・イギリスで国際大会が開催されるようになった。03年には中国国家体育総局がeスポーツを99番目の正式体育種目に指定し、06年にはアジアオリンピック評議会(OCA)主催の第2回アジア室内競技大会でeスポーツが正式種目として採用された。
10年代には「Twitch.tv」を始めライブストリーミングによってより多くの人がオンラインで大会を観戦できるようになり、ますますの市場規模拡大が期待されている。
eスポーツの市場規模、2018年には2000億円に?
eスポーツの競技人口は世界で1億人以上いると言われている。海外で行われた調査によると2015年の世界のeスポーツ市場は7億4880万ドル(約840億円)まで成長し、2018年には19億ドル(約2000億円)に達すると予測されている。スポンサーはゲーム開発会社だけでなく、PCメーカーやエナジードリンク、ソフトウェア企業も参入。賞金総額が27億円ほどの大会も開催されており、トップクラスでは1億以上稼ぐプロ選手も出てきている。
このような世界的な流れを受け、日本でもeスポーツを盛り上げようとする動きが本格化している。例えば、スマホカードバトル「シャドウバース」の世界大会の優勝賞金は、2018年には100万ドル(約1億1,000万円)に設定すると発表されており、国内開催のeスポーツ大会としては最高額となっている。2018年は国内eスポーツにとって飛躍の年になりそうだ。