世界で最もクリケットが盛んな国、インド
クリケットの発祥地はイギリス(イングランド)だ。旧大英帝国時代のイギリスは、植民地や領土にクリケットを広めていった。
現在、世界で最もクリケットが盛んな国であるインドも、かつてイギリスの植民地だった。インドは世界で一番クリケット人口の多い国だと言われている。
クリケットがボールと板があればすぐにでき、整備された競技場が不要であることも、貧困層の多いインドで広まった背景にあると言えるだろう。
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世界で最もクリケットが盛んな国はインドだ。元々人口が多いこともあるが、かつてイギリス領であったことも大きな理由。世界最大のクリケット大国、インドのクリケット市場を陰で支えるスポンサー企業に注目した。
クリケットの発祥地はイギリス(イングランド)だ。旧大英帝国時代のイギリスは、植民地や領土にクリケットを広めていった。
現在、世界で最もクリケットが盛んな国であるインドも、かつてイギリスの植民地だった。インドは世界で一番クリケット人口の多い国だと言われている。
クリケットがボールと板があればすぐにでき、整備された競技場が不要であることも、貧困層の多いインドで広まった背景にあると言えるだろう。
インドのクリケット市場では世界的な企業がスポンサーに名を連ねている。たとえば、ペプシコーラの製造メーカー「ペプシコ」は、インド最大のクリケットリーグ「インディアン・プレミアリーグ」のメインスポンサーとなった。
2013年からの5年契約で、スポンサー料は39億6000万ルピー(約60億円、年額12億円)。日本のプロ野球のユニフォームスポンサーは、一番目立つ胸の部分で年額2億円ほどといわれているので、ペプシコの支払ったスポンサー料はかなり高額であることがわかる。
インドのクリケットには、多くの日系企業もスポンサーとなっている。
スズキやホンダのように現地の自動車産業でトップシェアを誇る企業が率先してインドのクリケットリーグなどのスポンサーとなっている。2016年8月には、ソニー系列企業がインドのテレビネットワークを買収した。
これはインド最大の視聴者数を誇るクリケットのテレビ中継の放映権を手中に収めることで、今後期待される巨額のスポンサー収入をあてこんでのことと言われている。
インドのクリケットには、アメリカや日系の企業だけではなく、地元企業もスポンサーとして積極的に出資している。
ペプシコが2013年にプレミアリーグのメインスポンサーとなる前は、インドの不動産開発会社「DLF」が、リーグ発足当初からのメインスポンサーだった。スポンサー料は20億ルピー(約36億円)。インド国内の物価をふまえると、36億円というスポンサー料は額面の数倍の価値をもった金額と言えるだろう。
また、インドの携帯電話機器メーカー「マイクロマックス」社も、ナショナルチームのメインスポンサーとなっている。スポンサー料として1試合開催につき2200万ルピー(約3960万円)を支払う契約となっており、ナショナルチームへの期待の大きさがうかがえる。
インドのクリケット界最高のスターであるサチン・テンドルカール選手は、引退前年の2012年に1860万ドル(1ドル100円とすると約19億円)の年収があった。そのうちチームからもらう年俸が210万ドルであるのに対し、スポンサー収入が1650万ドルとスポンサー収入が大半を占めている。
テンドルカール選手がトッププロアスリートである証だろう。トッププロアスリートは動く広告塔であり、トップ選手とスポンサー契約を交わして企業の名前を広めてもらうという凄まじい宣伝効果がある。
テンドルカール選手引退後、インドクリケット界のトップスターとなったのが、ナショナルチームのキャプテンでもあるマヘンドラ・シン・ドーニ選手だ。
マヘンドラ選手の2015年の収入は40億円近くで、やはり大半がスポンサー収入。2015年のインドの大卒者初任給は400ドル(約4万円)で、日本の1/5であることをふまえると、実質的な価値は200億円に相当する。インドのクリケット界は、ボクシングやF1レースなどと同様に、巨大なスポンサーマネーが動く業界だと言えるだろう。
インドのクリケット界が世界一の盛り上がりを見せている背景には、巨大なスポンサー市場が存在する。プロスポーツの中でも世界で3本の指に入る人気スポーツであるクリケットは、企業にとっても格好の宣伝の場となっているのだ。